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株式会社SUBARU
航空宇宙カンパニー様
Nearly ZEB管理棟

「中島飛行場」跡地に立つ株式会社SUBARU 航空宇宙カンパニー。
その敷地内に建設した新棟において、SUBARUグループ初のZEB認証(Nearly ZEB)を取得。
そこへ至る三菱電機との取り組みを動画でご紹介します。

自動車、そして航空宇宙事業のグローバルブランドとして成長を遂げてきた富士重工業株式会社は、2017年、株式会社SUBARUへと社名変更を実施。
同時に新たな環境方針が策定され、2018年、その方針の流れを汲む「航空宇宙カンパニー新棟ZEB化プロジェクト」が発足。
今回はそうした経緯の詳細から、三菱電機をプロジェクトパートナーに選定した理由、プロジェクト進行当時の思い、さらに今後への期待などを株式会社SUBARU・航空宇宙カンパニーの石村左緒里様に伺いました。

株式会社SUBARU航空宇宙カンパニー
総務部 総務課 / エネルギー管理士
石村 左緒里さん

新たな環境方針の中で掲げたSUBARUのフィールドは
『大地と空と自然』

「2017年SUBARUに社名を変更し、ブランディングの統一を図る中で、私たちは『笑顔を作る会社』であること、そして環境方針の中で『大地と空と自然』がSUBARUのフィールドであるということを掲げました」と、当時の経緯を振り返る石村様。

「2018年に立ち上がった新棟ZEB化プロジェクトは、新たな環境方針が策定され、自然エネルギーの活用と自然との共生を目指すという思いが、より一層高まる中で立ち上がりましたので、まさに新生SUBARUの企業理念から生まれたプロジェクトと言うことができます」。

新棟は、SUBARU 航空宇宙カンパニーの従業員の皆さまが入居するオフィス棟。中島飛行機工場跡地の一画に建設するプロジェクトでした。

「ここはかつて中島飛行機工場があった土地で、戦後間もない頃の建屋がたくさんありました。
そのため今までも建て替えを行ってきましたが、工場の建て替えが多かったためZEB実現が難しい一面がありました。
今回の新棟は従業員が入る事務所棟でしたので、ZEBをしっかり狙っていこうとなったわけです」。

社名変更、そして新たな環境方針の策定を機に、社員の皆さまの環境への強い思いから生まれたのが今回のプロジェクトだったようです。

ZEB化という初の試みで、
数多くあった不明点が早い段階で解消

――初期の計画段階から、三菱電機によるZEBに関する情報提供や提案があったと聞いています。

「事業所の中でも、SUBARUグループ全体でも、ZEBを目指す建屋というのが初めてで、計画が立ち上がった頃に、何もわからないところを、おつきあいがあった三菱電機に手厚く教えていただという経緯がありました」。

さらにワンストップで具体的な提案もあり、チームが何をすべきかが明確になったと話す石村様。

「太陽光発電でエネルギーを自給するだけでなく、建屋の構造や設備の省エネ性能など、どういったことでZEB認証が取得できるのか、ZEBの中にもランクがあってどこを狙うべきかなど、ZEB認証獲得のための具体的なポイントなどもご提案いただき、プロジェクトチームが何をすべきかが早い段階で明確になりました」。

つづけてこうした初期段階の提案が、三菱電機を正式なパートナーとして選定する大きな要因になったと話す石村様。

「建物のプランがまだ概要しか決まっていない段階で、ZEBの計算をすぐ起こしてくださり、速やかにご提案いただけたということころが大きかったですね。
サンプルデータをお渡しすると、私たちにもわかりやすい提案書を何度もあげてくれました。
プロジェクトの最初から寄り添って一緒に走ってくださっていたので、他社との競合という発想はありませんでした」。

そして、三菱電機を正式に
パートナーとして選定

――その後、設計事務所への発注書に「三菱電機と共同で検討すること」を記載されたと。

「最初に計画が立ち上がった時、三菱電機から1万平米を超える延床のZEB建屋は、当時の国内では一番大規模なZEBプロジェクトだと聞いて胸が高鳴りました。
そんな期待に満ちたプロジェクトでしたが、設計の発注に至るまでの準備は予想以上に長いものでした。
その間も、三菱電機はずっと離れず一緒に伴走していただいたという思いがあり、かつZEB認証は、照明器具をはじめ内部の設備機器に関しても膨大な計算が必要ですので、それらを三菱電機にアドバイスいただきながら進めていきたいと素直に思いました。
また今回は必ずZEB認証を獲得したいという強い思いがありましたので、設計事務所への発注書に三菱電機と共同で検討することと書かせてもらいパートナーに加わっていただきました」。

定例会で感じた、
ZEB認証獲得への手応え

「プロジェクトの進捗確認から、懸案事項の話し合いなど、毎週協力会社各社と長時間の定例会を行っていました。
会議の場で設計事務所、三菱電機、さらに建設会社と、皆さんが一丸となってZEB認証へ取り組んでいただいている姿を見て、プロジェクトが成功する手応えを強く感じていました」。

――定例会では、思い出される印象的なシーンもあったとか。

「そうなんです。当時、三菱電機が関係するのは定例会序盤の設計会議パートでしたが、その後の会議にもずっと残ってくださって、最後まで熱心にメモを取っていたことをよく覚えています。そうした真剣な姿勢に頼もしさを感じていました」。

つづけて当時を振り返る、三菱電機総合営業担当の浜中さん。

「ありがとうございます。定例会は、SUBARUさんのいろいろなメンバーの方が出席されていて、新しい出会いがたくさんありました。
また他の協力会社様とコミュニケーションを深める重要な場でもありました。
当時は自分たちが関わっていないところでも、進捗はどうなのか、何が議題になっているかなど、プロジェクト全体を把握するのに集中していたと思います」。

新型コロナウイルスで状況は一変

――2020年に入ると、コロナウイルスの影響が国内外問わず深刻化しましたが。

「コロナの影響で航空業界も一気に落ち込みまして、SUBARUの中でも多くの議論が起こり、新棟ZEB化プロジェクトも様々な変更をせざるを得ない状況に陥りました。
当初はもっと敷地面積も広く、場所も工場敷地の中央だったプランが、場所も移動し、4階建を3階建に、フロア面積も落としまして、でもそのなかで、機能や要求はほぼ変えずに詰め込もうということで、非常に難易度の高い縮小計画へと変更されました」。

計画変更が繰り返されるなか、
新たな仕様に着々と応え続けた協力会社各社

「設計事務所、三菱電機、建設会社など、協力会社の各社がプロジェクト変更に屈することなく、力強く克服してくださいました。
現場の状況も激変していくなかで、本当に頼もしくプロジェクトを進行いただいたと思っています」。

また設備機器に関しても相当の変更を重ねたと話す石村様。

「何千個と納入する照明器具がひとつ変わってしまうと、ZEBの計算がすべて変わってしまうので、三菱電機には、おそらく何万という計算を変更のたびに行っていただいたと思っています」。

同時にZEB認証という観点で、三菱電機には安心感もあったと話す石村様。

「変更に変更を重ねる状況でも、製品面に関しては、三菱電機の豊富な製品ラインナップで対応でき、ZEB認証が危ういですよといったことはありませんでしたので、そこはもう安心しておまかせしていました」。

2023年4月25日、省エネ性能75%のNearly ZEB 管理棟竣工

コロナ禍もあり5年越しのプロジェクトとなった新管理棟ZEB化。
その竣工時の思いを打ち明ける石村様。

「実は、最初私はZEBの窓口的な役割だけで、その後ZEBに関わる設計や施工など、全てを担うプロジェクトリーダーとして任命されたのは、ちょうどコロナで設計変更が計画された頃でした。
リーダーになった当初はコロナで大変な時期でしたし、それだけ責任も大きかったので、本当に今建っている新棟の姿を見ると感慨深い気持ちでいっぱいになります。
竣工式でも挨拶させていただきましたが、かけがえのない建屋、思い入れの深い建屋になりました」。

つづけてプロジェクトを振り返る三菱電機総合営業担当の浜中さん。

「SUBARUさんという大きな会社で、今回のような大規模建設になると、実にいろいろなメンバーの方が参加し、そのなかで皆さんが1つになってプロジェクトを進行するチームワークの良さや、困難があっても克服する企業としての力強さを間近で体感させていただきました。
石村さんはそのプロジェクトの舵取り役、リーダーを務められたのですから、大変なこともおありになったかと思いますが、本当にすばらしい仕事をされたんだなと改めて思います」。

また今回のプロジェクトチームは、若手のメンバーが多かったと振り返る石村様。

「設計段階から積極的に若手に参加してもらい、プロジェクトを盛り上げていこうというコンセプトがありまして、電気関係や設備関係の担当も、20代の若手がメンバーとして関わっていました。
チームに若手が多いということで、三菱電機とは技術的な意見交換を頻繁にやりとりさせていただき、幅広く教えていただけたことが、プロジェクトを振り返ると一番思い出されます。
三菱電機は専門的な技術や新しい技術など難しい内容を噛み砕いて説明してくださり、右も左もわからないところに、私たちが迷わない1本の道を作ってくれました。
計画初期の段階から、同じ目線で伴走いただいたことに本当に感謝しています」。

航空宇宙カンパニー 新棟ZEB化プロジェクトチームメンバー

三菱電機への期待も、さらにその先へ

青空照明misola

2023年8月から本格稼働したNearly ZEB 管理棟。

「本格稼働後、創エネによるエネルギー供給量や、省エネ達成度など、順調に結果を出してくれているのでほっとしています。
今後、省エネに関してさらにという欲が出てきましたら、またぜひ、三菱電機にいろいろご提案いただきたいと思っています。
これからの時代を見据え、AIですとか、DX、GXなど、新領域のです」。

――本格稼働後に、うれしい出来事があったとお聞きしました。

「今回1つの応接室に窓がなく、そこに青空照明misola(みそら)を設置したのですが、多くの従業員が「空が見えてるんだと思った!!」と驚いてくれました。
新棟ではこれからも、従業員のそんな笑顔がいろいろなところで見られるのではないかと楽しみにしています」。

株式会社SUBARU
航空宇宙カンパニー様
Nearly ZEB管理棟

  • 竣工:2023年4月25日
  • 建物:オフィス棟
  • 住所:〒320-8564
    栃木県宇都宮市陽南1-1-11
    (工場敷地内)
  • 敷地面積:4,096 m²
  • 延床面積:11,917 m²
  • 構造:鉄骨造
  • 建物規模:地上3階
  • 設計:株式会社フケタ設計
  • 施工:株式会社安藤・間
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