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「駅」から広がる地域の未来

シナジーコラム ガイドブックアプリ「ekinote」×各地の事業者×口コミ 「駅」から広がる地域の未来 ライター市原淳子 三菱電機株式会社 統合デザイン研究所ソリューションデザイン部 八木澤喬樹 相鉄ホールディングス株式会社 経営戦略室 DX・ICT推進担当 関根雅人さん 三菱電機株式会社 神奈川支社 事業推進部 池尾将大 シナジーコラム ガイドブックアプリ「ekinote」×各地の事業者×口コミ 「駅」から広がる地域の未来 ライター市原淳子 三菱電機株式会社 統合デザイン研究所ソリューションデザイン部 八木澤喬樹 相鉄ホールディングス株式会社 経営戦略室 DX・ICT推進担当 関根雅人さん 三菱電機株式会社 神奈川支社 事業推進部 池尾将大

三菱電機が2022年3月にリリースしたアプリ「ekinote(エキノート)」は、全国約9,100の駅を起点に、グルメやお出かけ情報などを幅広く収集できる「駅と街のガイドブックアプリ」だ。ユーザーが駅周辺エリアの情報を投稿できるほか、地域事業者がビジネスや地域振興を目的として利用できることが特徴の一つとなっている。

開発の背景:外出先で使うアプリの
煩雑さを解消

「ekinote」の開発を担当したのは、三菱電機株式会社 統合デザイン研究所の八木澤喬樹(やぎさわ たかき)さんだ。

八木澤喬樹さんの写真
三菱電機株式会社 統合デザイン研究所
ソリューションデザイン部 専任
八木澤 喬樹(やぎさわ たかき)

八木澤:出かけた先で時間が空いてしまうこと、ありますよね。そこで時間を潰せるところを検索するのですが、地図アプリにグルメサイト、各種ポータルサイトなど、使えるアプリが多すぎる!しかも、ある情報を別のアプリにコピペし、また検索し……という作業が面倒。そして結局は、いつも似たようなカフェに落ち着く羽目になり、なんだかつまらないと思っていました。こうした面倒さ、つまらなさを解消したいと思ったのが「ekinote」開発のきっかけです。

「ekinote」の最大の特徴は「駅」が起点になっていること。全国約9,100駅をカバーしていて、駅名をタッチすると、その周辺のグルメやお出かけスポット、乗換案内や地図、天気予報など幅広い情報にアクセスできる。

お出かけ先や旅先で駅周辺の情報が調べられる「ekinote」の画面の写真
お出かけ先や旅先で駅周辺の情報を探すのに便利。地元や思い出の場所の駅の様子をチェックする楽しみもある。

八木澤:自分の住まいや地元の話をするとき、よく「◯◯駅のあたり」って言いますよね。駅は生活に欠かせないインフラだし、どの街も駅を中心に生活圏が構成されています。そこで、駅をキーワードに検索できるお出かけアプリがあってもよいのではと考えたんです。

「三菱電機らしくない」が
新たな魅力に

「ekinote」の企画が徐々に動き出したのは2020年夏頃。21年春にプロジェクトが正式に始動し、22年3月に第一弾がリリースされた。まずユーザーから届いたのは「三菱電機らしくない」という声。「ekinote」リリース直後にダウンロードした相鉄ホールディングス 経営戦略室の関根雅人(せきね まさひと)さんの第一印象も、「らしくない!」だった。

関根雅人さんの写真
相鉄ホールディングス株式会社
経営戦略室 DX・ICT推進担当 課長
関根 雅人さん(せきね まさひと)

関根:私はもともと相模鉄道で電車の設計をしていて、三菱電機さんとは20年来の付き合いです。三菱電機さんといえば重厚長大というイメージが真っ先に浮かびますし、BtoBがビジネスの中心のはず。その会社がエンタメ志向でこんなに柔らかい雰囲気のアプリをエンドユーザー向けに出したなんて、失礼ながら本当に意外でした。

八木澤:その通りで、三菱電機はモノを作って売る会社なんです(笑)。これまで家電や業務用機器を操作するための付随的なアプリなどはありましたが、「ekinote」のように、アプリそのものをプロダクトとしてリリースしたのはほとんど初めてではないかと思います。しかし今、このチャレンジをしたことには意味があります。というのは、製造業も「モノからコトへ」という方向にシフトしているからです。当社も今後はますますサービスやプラットフォームなどに事業範囲を広げていきたいのです。

セレンディピティ(想定外の発見)を
楽しむアプリ

関根さんが気に入っているのは「ekinote」のトップ画面だ。そこには日本全国の駅名とその周辺のおすすめスポットの情報がランダムに表示される。

「ekinote」のトップ画面の写真
「ekinote」のトップ画面。スクロールしていくと日本中の駅名とその周辺情報の見出しと写真が表示される。

関根:自分の知らない駅に出会えるのが楽しいですね。知っている駅の情報が表示されて「ここよりいい場所、知っているぞ」と思うこともあります。本当は相鉄線の駅がつねにトップに出るといいですけどね(笑)。そしてユーザーが「どんな駅だろう」「行ってみたい」と、どんどん深掘りしてくれたら最高です。

実はこのランダムさ、つまり「偶然性」が八木澤さんの狙いだった。

八木澤:ガイドブックや雑誌を見ていると、目当ての情報の隣によさそうなお店が掲載されていて、ピンとくることがありますよね。「ekinote」はそんな偶然の出会い、つまりセレンディピティを起こすアプリにしたかったんです。

三菱電機の神奈川支社で、神奈川県全域の営業を担当する池尾将大(いけお まさひろ)さんは、「ekinote」でセレンディピティを体験したユーザーの1人だ。

池尾将大さんの写真
三菱電機株式会社 神奈川支社
事業推進部
池尾 将大(いけお まさひろ)

池尾:神奈川県の担当になって1年ほどなので、営業に出るたびに「ekinote」を利用しています。例えば、相鉄線の二俣川(ふたまたがわ)駅といえば運転免許センターですが、「ekinote」で検索したらおいしそうなお店や居心地のよさそうなカフェがたくさんあることを知りました。すでに足を運んだお店もあります。営業先での話題にもなるので、営業マンとしても重宝しています。

「生活に根差した沿線」の魅力発信に
最適なメディア

関根さんが所属する相鉄ホールディングスは、35社を統括する持株会社で、グループ会社の相模鉄道が鉄道路線として、神奈川県の横浜駅と海老名駅を結ぶ相鉄本線、二俣川駅と湘南台を結ぶ相鉄いずみ野線を運営している。2019年には相鉄線がJRとつながり、東京都心で相鉄線の車両が見られるようになった。2023年3月18日に東急線との直通運転が始まれば、相鉄線の利便性がさらに高まる。

相鉄線の車両の写真
相鉄線の路線図

相鉄ホールディングスは東急線との直通運転開始前に「ekinote」の実証実験に参加。アプリ上で情報発信するためのビジネスアカウントを取得し、2023年3月頃には相鉄線沿線に関するディープな情報を400本ほどリリースする予定だ。

関根:相鉄線沿線は、都市部へのアクセスのよさと豊かな自然を兼ね備えていて、隠れた名店や史跡、収穫体験ができる農園など、足を運びたくなるスポットがたくさんあります。そうした魅力を掘り起こして紹介するのです。「ekinote」にはSNS映えする情報だけでなく、多様な生活情報が掲載されていますから、相鉄線沿線の豊かさ、暮らしやすさを伝える媒体として非常に優れていると思います。

八木澤:あるイベントで「ekinote」を紹介したとき、小さな子どものいるお母さんたちから、「ママ友と情報交換するような感覚で、近所の公園や病院など、生活に役立つスポットの情報が得られたらいい」というアイディアをいただき、素晴らしいと思いました。ユーザーの声を生かして成長させていけるのも、アプリというプロダクトの面白いところです。

池尾:「ekinote」を見て、「次に引っ越すなら相鉄線沿線がいいな」と思う方が出てくるかもしれませんね。私は神奈川県エリアの担当営業ですが、このエリアの魅力が全国に広く知られるようになれば、地域経済もますます活性化すると期待しています。

多種多様な事業者が
共創パートナーとして参加

相鉄ホールディングスが「ekinote」の共創パートナーになった理由の一つは、このアプリが日本全国約9,100駅をカバーしているから。

関根:これだけ大規模な情報を扱うアプリを自社で開発することはなかなか大変です。また、自社アプリを作って相鉄線27駅(2023年3月18日開業の新横浜駅含む)をカバーできたとしても、そのアプリを全国展開させるのは難しいでしょう。その点、「ekinote」の共創パートナーになれば、相鉄線の情報を全国に無償でお届けできる。参加しない手はないなと思いました。

八木澤:「ekinote」はリリースして1年足らずですが、ビジネスアカウントを取得してくださっている事業者様は、すでにたくさんいらっしゃいます。例えば、交通系ですと広島電鉄様や京都を起点に全国展開されているタクシー会社。関西でSDGs活動を展開している学生企業や、サイクリングコースの地図を全国展開している企業、地域創生をミッションとする地方銀行の関係会社も参加しています。もちろん観光業や自治体からの問い合わせもあります。

共創パートナーとの連携状況について新しいウインドウが開きます

全国のユーザーに、低コストで効果的な情報発信をすることができる説明の図版

池尾:地域のさまざまな業種の事業者様が「ekinote」を活用する共創パートナーとなってくださったらうれしいですね。三菱電機は全国に支社があり、私のような営業を介して多くの地域事業者様と接点を持っています。みなさまの声やその地域ならではのディープな情報で、「ekinote」はもっと面白いアプリになるでしょう。

「ekinote」がビジネスの
セレンディピティを起こす

関根さん、池尾さん、八木澤さんが並んでいる写真

「ekinote」を利用して、今後チャレンジしたいこと、期待することを3人に尋ねた。

関根:相鉄ホールディングスとしてはまず、鉄道や駅、商業施設などに関する面白い情報を「ekinote」を介して多くの人に発信したいと考えています。その結果、相鉄線沿線の価値が向上し、沿線にお住まいの方、相鉄ご利用者様、自治体など相鉄に関わる全ての人が幸せになることを実感できたらいいですね。

池尾:「ekinote」を中心に、例えばデータビジネスなど新しいビジネスに挑戦したいです。横浜市を擁する神奈川県は経済圏としてもポテンシャルは非常に大きい一方、自然豊かで住みやすい地域でもあります。多くの事業者様と一緒に、この地域の魅力を発信できれば、神奈川県にはより多くの人が流れ込み、さらに活性化するはずです。

人と地域をつなぐプラットフォーム説明の図版

八木澤:「ekinote」は今の状態が完成形ではなく、リリースした後も改良していけるサービスです。共創パートナーの皆様、エンドユーザーの皆様の声を聞きながら、開くたびにより使いやすく、楽しくなるようにどんどん改善していきたいです。

エンドユーザーや事業者からの情報発信が増えるたびに、「ekinote」の世界は豊かになる。「ekinote」上のセレンディピティをきっかけに、同じ地域で活躍する事業者同士の出逢いが促され、新たなビジネスが始まる可能性さえあるのだ。

ekinote公式サイト

https://ekinote.net/ 新しいウィンドウが開きます

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    「ekinote\エキノート」は三菱電機株式会社の登録商標です。
    「App Store」は Apple Inc.のサービスマークです。
    「Android」は Google LLC の商標です。

市原淳子さんの写真
取材・文/市原淳子
雑誌の編集者・記者を経て独立。食やヘルスケア、医療・介護から最前線のビジネスフィールドまで幅広いジャンルにわたり、Webメディア、雑誌、新聞、また単行本の企画・構成などを手がける。企業人や職人、アーティストへのインタビュー多数。発信者と読者をつなぐ、わかりやすくて面白いメディア作りの達人。
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