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日本発の大豆加工食品がフードテックで世界を救う 代替肉ではない独自の道が市場拡大のポイントに日本発の大豆加工食品がフードテックで世界を救う 代替肉ではない独自の道が市場拡大のポイントに

人の体の約20パーセントを構成しているタンパク質。人間が生きるうえでは、タンパク質を摂取することが欠かせない。しかし、このままではタンパク質が不足する「タンパク質クライシス」が起こると予測されている。世界的に見れば人口が増加することに加え、環境問題から家畜を無暗に増やせないことなどが、その問題の根底にある。
この危機を救う有効な策の一つが植物性食品(プラントベースドフード)、中でも大豆加工食品をタンパク質源として摂取することだ。大豆のタンパク質量は肉や魚に匹敵し、牛乳の4倍はあるとされている。大手スーパーでは肉コーナーの一角に、フードテックによって肉に似せた「大豆ミート」が陳列されるケースも多くみられ、肉に替わってタンパク質を摂取できる食材の代表として市民権を獲得しつつある。
一方で、欧米と比較して日本においては大豆加工食品が、そもそも食卓に昔から並べられていた。豆腐やがんもどき、高野豆腐などは、その時代時代の技術が生み出した食品であり、フードテックもそれらの技術進化の流れともいえる。世界のタンパク質クライシスを救うために、フードテックはどのような貢献をし、どのような大豆加工食品を生み出すべきなのか。日本ソイフードマイスター協会代表理事の池上紗織氏に聞いた。

池上紗織さんの写真

一般社団法人日本ソイフードマイスター協会代表理事
ソイフード研究家・プラントベース研究家

池上紗織(いけがみ さおり)

13年前から健康や環境面で大きな役割を持つソイフード(大豆料理)に注目し、レシピ研究を続ける。自身の体質改善もきっかけとなり、2014年に日本ソイフードマイスター協会を設立。食と健康について学ぶ講座や、美味しく手軽に続けられるソイフード料理教室の開催、企業から依頼されるレシピ開発や、学校給食を考案。その他、家庭での食料備蓄を推進するデイリーストックアクション(DSA)実行委員会の委員長を務める。慶應義塾大学文学部卒業。プライベートでは小学生と園児の二児の母として日々奮闘中。

大豆加工食品はずっと技術で革新されてきた

――植物性食品(プラントベースドフード)は、フードテックの中でどのような位置付けにあるのでしょうか。

池上紗織さんインタビュー中の写真

 日本は高野豆腐をはじめお豆腐、がんもどき、納豆、おから等々、大豆加工食品をはじめとするプラントベースドフードが昔から豊富にあったので、これら大豆を食材に使った料理にずっと親しんできました。私は、そのような大豆のおいしさに惹かれて、現代人の食生活に合った和食にとらわれない大豆料理を提案するために、あえて「ソイフード」とカタカナにして普及活動を行っています。

 ではフードテックの中での大豆加工食品の位置付けですが、「最新の技術を使って大豆を加工」し、代替肉のようにお肉のような繊維感や味を目指したいわゆる「お肉寄り」の製品を作る。これが一般的なフードテックと大豆加工食品の関係のイメージではないでしょうか。

 一方で、例えば日本人が親しんできた高野豆腐も、お豆腐を凍らせ低温熟成して乾燥させて作る元祖フリーズドライ食品で、技術の賜物といえます。豆乳、お豆腐、がんもどきも、技術を使った大豆加工食品の仲間。つまり、その時々の最新の技術を使って誕生した食材であり、現在のフードテックの流れにつながるものだと言えます。

――日本では大豆加工食品が長年進化を続けてきているのですね。

 さらに日本は、ベジタリアンではないのに大豆加工食品を食べる習慣がある希有な国だという特徴があります。コンビニにもお豆、油揚げ、納豆、豆乳は必ずありますし、居酒屋に行ったらお通しで冷や奴が出てくることも多くある。ベジタリアンかどうかに関係なく大豆加工食品を食べてきました。

 これに対してアメリカやヨーロッパでは、最近こそ日本の食文化が入ってきてお豆腐がスーパーで買えるようにはなりましたが、基本的に大豆を食べる習慣がありません。料理に使用されるのはレッドビーンズやひよこ豆、えんどう豆、レンズ豆が一般的で、世界で主流とされる豆料理に大豆は含まれていません。大豆を食べる文化のない国・地域は多いのです。

「タンパク質クライシス」解決の有効な食材

――世界的に見ると、人間の食べ物として大豆はポピュラーではないのですね。

 ただ、日本人にとって食べることが当たり前の大豆が今、重要なタンパク質源として世界で注目されています。

 昨今のSDGs(持続可能な開発目標)の流れで環境や食糧危機の問題に対する関心が高まっています。そんな中で国際連合が「昆虫食が必要になる」と指摘するほど問題になっているのが、2050年には世界規模でタンパク質源が足りなくなるという「タンパク質クライシス」です。

 大豆は世界中で生産されていますが、9割以上は搾油原料として利用されます。ノルマルヘキサンという化学溶剤で大豆を全部溶かして、そこから油を抽出します。この時に油分以外の部分が「脱脂大豆」として残り、今は家畜のエサなどに主には利用されています。元の丸々とした大豆に比べると旨みが損なわれているのですが、これを原料として人間の食べ物として何か作れないかということが議論されています。大豆には多くのタンパク質が含まれていますから、様々な問題解決につながるのではないかという期待があるのです。

 大豆はお肉ではありませんから、単に加工するだけでは噛み応えのあるものにはなりません。ここで活躍するのがフードテックです。最新の技術によってお肉の繊維感に似せる工夫をするわけです。これは大豆ベースの代替肉に使われている技術ですが、この面ではむしろ、食としての大豆に長年慣れ親しんできた日本よりも、食べる文化がなかったアメリカを中心として発展しました。大豆を食べる習慣がなかったからこそ、家畜のエサ等に使われていた脱脂大豆を、タンパク質は豊富なのだから、フードテックを使って肉のような食材にしようという発想が出たのです。

培養肉にはかなわない、だから違う道の模索が必要

――代替肉の中でも「大豆ミート」と呼ばれるものですね。

 大豆を用いた代替肉には大きく分けて2タイプあります。1つは、大豆を主原料とする乾燥大豆ミート(もしくはそれを水に戻したレトルトタイプ)と、大豆を含め様々な原料を用いた加工食品(ミートボール風など)です。その他注目しておきたいのは、「培養肉」です。こちらは動物の細胞を培養していくので、「プラントベース」ではありません。

 培養肉もフードテックの進化がもたらしたものと言えますが、5〜10年後にはこの培養肉の市場が大きく伸びることが予測されています。何と言っても元々が「肉」なので、日常的に食べているお肉っぽさという点では当然、培養肉の方が大豆ミートよりも近い。植物性のものはどんなに技術が発展しても、「そっくり感」では太刀打ちできなくなると思います。すなわち、フードテックの技術で作られた植物性の新しい食材は、代替肉という観点ではない新たな切り口を見つけなければ、生き残りが難しい。ここで大事になってくると思うのは、「植物由来の肉は、何かの代替ではない」という点です。

池上紗織さんインタビュー中の写真
大豆を食材として噛み応えのあるパテを池上氏が考案。その名も「GAMMO(ギャンモ)」。パンにもあう風味に仕上がっている

 例えばクッキーを食べたい人が、お煎餅を出されてクッキーだよと言われても、「いやいやこれはクッキーじゃないよ」と思いますよね。クッキーを食べる気満々でいればいるほど、「え?」となってしまう。でも一方で、お煎餅として食べればとてもおいしいのです。ここから言えることは、フードテックを使って「似せよう」とする方向性は、どこかで限界が来る、行き詰まるのではないかということです。

 フードテックによって生まれた大豆ミートの役割や功績ももちろんあります。大豆やえんどう豆等、豆の加工食品はおしなべて柔らかく、噛み応えが出ない。お豆腐を揚げた厚揚げは、周りは硬いですが、中はトロッとしていて、何回も咀嚼しないと飲み込めないというものではない。それを大豆ミートは、フードテックの技術を使って噛み応えを出すことで、今までになかったような食べ方ができるようにした。これは大きなことです。

 ただ代替肉のように何かの代わりですよと言い続ける限り、満足する人は少ないか、いても限られた人だけになってしまわないでしょうか。

おいしくなければ仕方がない、「原点回帰」がキーワード

――肉の代わりではなく、まったく違うものだという見せ方が必要になりそうです。

池上紗織さんインタビュー中の写真

 例えば、大豆ミートとお豆腐の大きな違いは何でしょうか。お豆腐だったら「大豆の甘みが」とか、「大豆のおいしさが」という点が重要視されますが、大豆ミートになると「大豆っぽくない」という点が1 番の売りになるのです。食べた時に大豆だと分からないことが良しとされる世界、それが代替肉や大豆ミートです。

 繰り返しになりますが、私は新しい技術がもたらした代替肉や大豆ミートを否定する気は全くありませんし、とても面白いものだと思います。病気で大好きな肉を食べられないけれども、どうしてもお肉っぽいものが食べたいという方にとっては、とても有り難いものでしょう。また、お肉の代わりということではなく純粋に好きという人もいますし、私自身が大豆に興味をもったきっかけも、体質改善につながった食生活も、大豆ミートでした。

 ただ、あまりにも「お肉ですよ」と主張してしまうと、実際食べた時の差が大きく、ガッカリ感も増してしまいます。今後はメーカー側も、「お肉にそっくり」とは1歩違う発信をしていかないと、厳しいことになるのではないかと思います。

 日本の大豆ミート市場が伸びるかどうかの大きなポイント。それは、「おいしいかどうか」。これに尽きると思うのです。そして、お肉に似せることだけがおいしさではない。これについては、お豆腐、高野豆腐、がんもどき等を長年食べて来た日本人にはよく分かっていることです。

 現状を見ていると、昔ながらの大豆加工食品と大豆ミートのような代替肉とで、完全に分かれてしまっている印象です。スーパーの食品売り場を見ても、お豆腐や高野豆腐はお肉コーナーには置かれていませんが、その一方で、大豆ミート等の代替肉は、食肉売り場の近くに陳列される等、打ち出し方が違います。

 ただ面白いなと感じているのは、フードテックの最新技術を駆使して出来上がった大豆ミートのハンバーグや焼き肉風の製品が、お稲荷さんのお揚げのようだったりすること。「あれ? これと似たものは、元々の大豆加工食品の中にもあるよね?」ということが多々あるのです。例えば、高野豆腐を水で戻してフードプロセッサーにかけると、ひき肉の様なものができる。昔ながらのお豆腐の技術を使うことでも、新しいものは作れるということです。つまりは、日本人がこれまで蓄積してきた加工技術の原点回帰が、これから起こるのではないかと考えています。

 そう考えるのにはさらに理由があります。例えばアメリカでは、大豆ミートに肉本来の持つ血なまぐささを出すために、遺伝子組み換えのヘモグロビンを混ぜ込んだりしているケースがあります。また、脱脂大豆の持つ独特なにおいを消すために過剰なほど濃い味を着けてしまう製品も見受けられます。

 これについて率直な感想を言えば、どこに向かおうとしているのだろう?と。確かにお肉っぽくておいしいかもしれませんが、例えば、このような食品をお父さんお母さん達は喜んで子どもたちに食べさせるでしょうか。もっと昔ながらの安全な技術でもやるべきことは多くあると考えています。

肉や魚と同じように大豆が選択肢としてある世の中に

――肉に似せようとすることで、原料に大豆を使ってもいろいろな添加物が入ることで、結局は体にいいものだか悪いものだかが分からなくなるということですね。

 とりわけ日本人にとって大豆は、貴重な食料源であり続けてきました。同じお豆でも、炭水化物が多い小豆やひよこ豆に対し、大豆は日本では昔から「畑の肉」と言われるように、タンパク質が多く、質もお肉やお魚に匹敵します。さらに今後、タンパク質クライシスの問題が本格化する中で、日本で言えば北は北海道から南は九州まで栽培できるのは大豆の強みだと思います。その強みを考えれば、無理に肉に似せる必要もないという考えが根底にはあります。

――池上さんが代表理事を務められている日本ソイフードマイスター協会の目的も、大豆のおいしさを多くの人に知ってもらいたいというところにあるのでしょうか?

 大豆のおいしさというのももちろんありますが、それ以上に健康面で素晴らしい効果があるということを広めたいという思いがあります。タンパク質源であるのはもとより、女性にとって嬉しいイソフラボンが豊富に含まれており、また食物繊維も多くあるので腸の運動を促す効果も期待できます。日本人はごく当たり前のように大豆加工食品を食べてきましたが、それが健康維持につながっていたという側面があります。

 ところが食の欧米化により、大豆加工食品を摂取する機会が徐々に減ってきた。ただ、ここでいったん和食に戻しましょう、というのも難しい。だったら、和食じゃなくても色々な食べ方ができますよということを伝えるために、ソイフードというカタカナを使って、「大豆を毎日食卓に」をキャッチフレーズに活動しています。具体的には、普段の食生活に大豆加工食品を取り入れるための料理教室やセミナーを開催しています。その中では、今までの大豆加工食品では作ることのできなかった唐揚げのようなものも作れるといったように、大豆ミートの調理を教えることもあります。

 人間が生きていく上でタンパク質が必要なことは言うまでもありません。ではこのタンパク質を鶏肉で取るのか、豚肉で取るのか、牛肉で取るのか、お魚で取るのか。この選択肢の中に、当たり前のように大豆で取るということが入ってくる。このような世界になることを目標に活動しています。

若者には何の先入観もなく受け入れられる可能性

――大豆製品の市場を広げていく上で、何か重視されている点はありますか。

大豆を食材とした各種の料理の写真
大豆を食材とした各種の料理。大豆ミートを使った梅煮あんかけ(左)や高野豆腐を利用したミンチカレー(右)など、「第4の肉」としてのメインディッシュを打ち出している(写真提供:日本ソイフードマイスター協会)

 今の若い世代へアピールするということでしょうか。今の若者は環境問題に対して意識が高いというよりも、SDGsを考えることが当たり前になっている世代のように感じています。だから、環境問題に対応するために畜産肉が減るのであれば、植物性の食品でタンパク質を補うことを全く抵抗なく受け入れると思います。

 SDGs時代の食のあり方や教育を、若い世代に向けて積極的に発信している食品メーカーもあります。例えば大塚食品は、学研が刊行する小学生向けの学習教材「学研まんがでよくわかるシリーズ」から、『大豆ミートのひみつ』を刊行しています。全国の小学校や公立図書館で読まれることで、自然とこども達への学びにつながっています。

 こういう背景で育つ若い世代が増えていくと、ハンバーグやミートボールの材料が植物性であってもそれが特別なことに感じない世代が増えていくことでしょう。いずれ、大豆加工食品をお肉に似せるという売り方は、あまり効果を発揮しなくなるかもしれません。日常の食生活の中に新しい大豆加工食品だったりプラントベースドフードだったりを、何の先入観もなく受け入れるのが当たり前になる。そんな中では、フードテックによって目指す方向も、自ずと変わっていくのではないでしょうか。

 また、日本とプラントベースドフード市場で言うと、これまでは意識的に「プラントベースドフード」という発信の仕方はしてきませんでした。日本のお豆腐製品はほぼ全てがプラントベースドフードなのですが、日本人にとってお豆腐製品のある食や暮らしは当たり前すぎたということです。

 それが、2018年にナチュラルローソンがプラントベースドフードという言葉を使い始めたのを機に、少しずつ広がっていきました。そして、2020年の東京オリンピックに向けたベジタリアン、ヴィーガン対応の準備だったのか、モスバーガー、フレッシュネスバーガー、ドトール等がプラントベースドフードのバーガーを相次いで投入しました。もっと前で言うと、大塚製薬が2006年に出した「ソイジョイ」は、プロテインバーのような感覚で大豆を気軽に食べさせるという点で革新的でした。

 そして、1番最初に一般のスーパーで売られる大豆ミートを出したのはマルコメです。このマルコメが打ち出しているのが、牛肉でも鶏肉でも豚肉の代わりでもない「第4の肉を目指す」ということ。プラントベースドフードの市場が拡大するには、先ほどもお話ししたように、何かの替わりの肉ということではなく、まったく違うものだという考えが浸透するかどうかでしょう。

日本はこの市場をリードできる

――市場を広げていくためには、「第4の肉」を打ち出す方が有効だということですね。

 「肉汁ジュワーッ!!」とか、変な先入観を持たせずに、「大豆は大豆」「第4の肉」というポジションを確立することが、すごく大切だと思っています。食べるときの満足感にもつながるはずです。

 あとは、おいしいことが大前提という観点で言うと、今主流の脱脂大豆の活用研究が進むのはもちろんのこと、丸々の大豆から作る大豆ミートもものすごく伸びるでしょう。さらに、学校給食で採用されるようになると、子どもがいる家庭から浸透するのではないでしょうか。実際に、私のソイフードレシピは学校給食専門誌「学校の食事」に2018年から毎月掲載されているのですが、大豆ミートを使用したレシピもよいという流れになってきています。

 現状、お肉に寄せた大豆ミートが多いのは、お肉っぽいものを求める人たちが多いからです。消費者からのその要望はまだまだ続くでしょう。しかし、先ほどもお話ししたように意識の異なる若い世代の台頭や、培養肉のさらなる進化が見えている今、プラントベースドフードはタンパク質を十分に摂取でき、かつメインディッシュになりうる食品として、どのような方向を目指すべきかを考えることが必要になります。加えて、その方向を目指すのを具現化するために、フードテックが使われるべきでしょう。

――池上さんご自身、「第4の肉」として、大豆のおいしさを生かした料理を日々研究されています。

池上紗織さんの写真

 私が今、力を入れているのは、歴史ある元祖代替肉と言える「がんもどき」を、昔ながらのお豆腐の技術と最新のフードテックを融合して作る、ネオがんもどき「GAMMO(ギャンモ)」です。2023年春販売開始に向けて、大豆ミート製造メーカーエヌ・ディー・シーと共同開発を進めていて、2022年10月から、今回場所を提供してくださっている「My Banh Mi(マイバインミー) by グルテンフリートーキョー(原宿)」をはじめとする飲食店でのテスト販売を開始予定です。がんもどきは基本的にお出汁を染み染みにしていただくのが普通です。一方でGAMMOは、焼いて噛み応えのあるように仕上げたもの。パンにも合うので、ハンバーガーのハンバーグの代わりに利用できますし、「マイバインミー by グルテンフリートーキョー」が提供するグルテンフリーバゲットで挟めば、環境にも健康にも優しい食品となります。

 大豆で噛み応えを出すためには、昔ながらのお豆腐の技術だけでは難しい。そこで最新のフードテックで生まれた大豆100パーセントの大豆加工食品を合体させ誕生させました。噛み応えを出すのに添加物は一切使用していません。大豆に色々な具材を混ぜ込んで揚げるという、がんもどきの製法を見直したら、噛み応えを出す方法が見つかった。具体的には、これまでと違った温度や圧力で大豆を加工することで、実現しています。原点回帰と温故知新で、代替肉ではないんですけれど噛み応えのある大豆加工食品として、これだけのものが作れる。そのことを伝えたい一心で創り上げたものです。

――GAMMOに限らず、代替肉ではない日本の大豆加工食品、海外で広がる可能性はありそうです。

 ベジタリアンでもないのに大豆を当たり前のように食べてきた日本の食文化を海外に発信しないのは、とてももったいないことだと思っています。そういった意味では、高野豆腐やがんもどきなどの昔からのものを含め、日本発の大豆加工食品は世界でもっとその魅力を広められると思っています。

 GAMMOでいえば、「目指せカニカマ」と言っています。カニカマは、だれもカニだとは思ってはいません。でもカニとは違ったおいしさで、絶対的な存在になっている。GAMMOも肉ではないけど、一度食べたら一定周期で食べたくなる。そんな地位になれるといいですね。

(写真:吉成大輔)

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