伊丹地区の生きもの調査レポート

各事業所で、生きもの調査から始まる自然との共生を推進
希少種保護と工事に伴う代替環境の整備をテーマに
伊丹地区

伊丹地区では2016年5月から4回に分けて生きもの調査を実施しました。敷地内の水辺、鎮守の森(樹林)、竹林、水路沿い、草地を調べたところ、緑が少ない中でも多様な生きものが確認でき、希少な種も見つかりました。

敷地内では現在、大規模な公共工事が続いており、環境という観点からも大きな転換点を迎えています。調査結果を踏まえて外来生物の防除や希少種の保全に取り組む一方で、生きものが暮らしやすい環境を残すための検討も進めています。2019年には新たにビオトープを設置しました。工事に伴って数年後にできる新たな緑地の内容を在来種導入などの観点から検討するほか、その緑地づくりに使用する圃場も計画し、緑と緑の多様性を増やす取組も進めています。

事業所所在地

〒661-8661 兵庫県尼崎市塚口本町八丁目1番1号

主な取扱製品

交通システム・エンジニアリング(車両システム、交通情報通信システム)及び車両用電機品(主電動機、制御装置、電源装置、ブレーキ電機品、車上情報装置、車上保安装置ほか)


主な取組テーマ

  • 生きもの調査で確認された外来生物の防除を検討[A-1-(2)]
  • 生きもの調査で発見した希少種を保護[A-2-(2)]
  • 従来存在した水環境を回復するビオトープを造成[B-4-(1)] [B-4-(2)] [B-4-(3)]
  • 新道沿いでの緑地造成にてビオトープ拡大を狙う [B-4-(1)] [B-4-(2)]
  • 社員のストレス低減にみどりを活用 [C-6-(1)]

※ 取組テーマの分類については以下を参照ください。

取組の特徴

  • 敷地内で大規模な工事が続いていることから、「工事前後で生物や植物がどう変わるのか」というテーマを設定して生きもの調査を実施
  • 構内にある鎮守の森で希少な「ムクロジ」が発見されたことから、この保護を検討
  • 工事に伴い環境が大きく変わる場所もあることから、生きものが暮らしやすい環境を残すための工夫を検討。そのシンボルとして、水場を含み、地域在来の植物からなるビオトープを造成
  • 敷地内での緑地面積の回復に向けて、新たに設けられる都市計画道路沿いに緑地をつくり、新ビオトープと連携する緑地帯造成を構想。圃場としての地域種苗導入を計画。
  • 緑の持つストレス低減効果の活用の一環として、産業医室利用者の心理へ配慮した鉢植えの設置やオフィス内での鉢植えの机上設置を開始。

伊丹地区の活動テーマ

1. 大規模工事が敷地内の生きものに与える変化を調査

伊丹地区ではこの数年、敷地内で大規模な工事が続いています。例えば、敷地内の東西を貫く水路を埋め立て、2024年までに新たな都市計画道路を施設する工事が進んでいます。

こうした変化は生きものにも大きな影響を与えると考えられることから、まずは、「工事前後で生物や植物がどう変わるのか」を生きもの調査のテーマに設定。外部の調査会社の協力のもと、2016年に最初の調査を実施しました。工事完了後に再度調査を行い、前後の環境の変化を確認する予定です。

伊丹製作所の担当者 (取組に応じて地区内の他拠点と連携) 生産システム部 環境施設課
伊丹製作所の担当者
(取組に応じて地区内の他拠点と連携)
生産システム部 環境施設課

水辺や樹林に豊かな生態系を確認
  • 水辺がトンボの繁殖場所に
水辺に生えた植物(ガマ)を利用するトンボ類

2016年の生きもの調査では全7種類のトンボが確認されています。特に水辺では、交尾や産卵といった行動、幼虫も見られ、都市部では大切な繁殖場所となっていることが明らかになりました。このほか、敷地内の鎮守の森(樹林)も餌場として利用しているとみられます。

  • 希少種「ムクロジ」を確認
鎮守の森
鎮守の森

鎮守の森(樹林)では、兵庫県のレッドデータの準絶滅危惧種に指定されている「ムクロジ」も発見されました。この樹木は、石川県では絶滅危惧Ⅱ類※2にも指定されている貴重な種です。調査では樹齢10年を超えると見られる成木のほか、その実が落ちて芽吹いた若木も多数確認できました。希少な種を保全するため、2018年からは幼木の一部を鉢に移して育てる取組も始めました。

※1 「兵庫県版レッドリスト2010」C ランク

※2 「いしかわレッドデータブック植物編2010」絶滅危惧Ⅱ類

害など万一の事態に備え、幼木の一部を鉢に植えて別の場所で育てる取組を開始
害など万一の事態に備え、幼木の一部を鉢に植えて別の場所で育てる取組を開始
病害など万一の事態に備え、幼木の一部を鉢に植えて別の場所で育てる取組を開始

2. 希少種保全と代替環境の創出へ

生きもの調査で確認された希少種の保全に取り組む一方、トンボ類が暮らしやすい環境を保つため、工事で失われる水辺・緑地の代替として、2019年2月にビオトープを造成しました。規模は小さいながら、地域在来の植物を導入していることが大きな特徴です。今後は当地区の生物多様性保全のシンボルとして、敷地内の各事業所が協力して管理していきます。ゆくゆくは社員への意識浸透にも役立てていきたいと考えています。

地域の水辺から在来種を導入したビオトープ
地域の水辺から在来種を導入したビオトープ

伊丹市内を流れる「猪名川」「武庫川」の2つの川は、かつては繰り返し氾濫していたとされ、伊丹地区のある場所も氾濫域に含まれています。したがって、伊丹地区周辺に本来あるべき水辺の植生は、それらの川辺に近しいと考えられます。2019年に完成したビオトープには、2016年度に生物調査を行った専門家の協力のもと、湿地の植物が多い猪名川べりで採取した在来種を植えました。また、水に流れをつけ、場所によって深さや流速が変わるように設計。より多くの種類のトンボなどが利用できるよう配慮しています。

今後は植物の成長を待ち、他の外来種などが紛れ込んでいないか注意しながら、草取りなど必要な作業を行っていきます。こうしたビオトープの管理は、伊丹地区内で操業する8つの事業所が協力して行っていきます。

  • ビオトープ内の植生
ビオトープ内の植生

  • 長期的な維持活用に向けた工夫
動力として太陽光発電と蓄電池を活用。水には工場排水を浄化した中水を用いる
動力として太陽光発電と蓄電池を活用。水には工場排水を浄化した中水を用いる
入り口には看板を設置し、ビオトープの意義を説明
入り口には看板を設置し、ビオトープの意義を説明

これと並行して、構内に緑を増やす取組も進めています。新設される都市計画道路の両脇に緑地帯を設けるなど、工事計画のなかに緑地の造成を組み込むほか、将来その緑地帯に植える地域種のための圃場を今から準備する計画を立てています。また、緑の持つストレス低減効果の積極的な活用にも着手しています。産業医室利用者の心理へ配慮した鉢植え設置やオフィス内への設置も進めています。


マネジメントの声
マネジメントの声

緑地を通じて伊丹地区の取組をアピールしたい。

都市計画道路の周りに設ける緑地は、社員はもちろん一般の方の目にも触れるはず。ビオトープとあわせて、伊丹地区がどのような取組をしているのか、しっかりアピールできるものにしていきたいと考えています。

生産システム部長 塚崎 岳(左)

ビオトープへの期待を取組の推進力に。

構内での工事は、これまで都市計画道路の一部として機械的に進めてきたところがありました。今回ビオトープをつくって、その意識が変わったように思います。地域本来の木を植え、地域の生きものを呼び込む。そのストーリーを考えるなかで、私たちのなかにあるビオトープの将来への期待、夢がどんどん膨らんできました。これを今後の取組への推進力にしたいと思います。

生産システム部 環境施設課 課長 吉田 武生(右)


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環境への取組
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