北伊丹地区の生きもの調査レポート

各事業所で、生きもの調査から始まる自然との共生を推進
周辺の豊かな自然と調和する「緑の工場」を見据えて

北伊丹地区は、伊丹市が都市計画法に基づいて指定する「昆陽池風致地区」の一角にあります。

風致地区とは、自然の景観を維持するために都市計画上設けられる地域のこと。北伊丹地区の南に接する瑞ヶ池をはじめ、多くの水と緑に恵まれています。

北伊丹地区では、過去に敷地内で実施した生きもの調査の結果も参考としながら、こうした周辺環境と調和する「緑の工場」の実現に向けて取組を検討しています。

  • ※風致地区:都市計画の中で、特に自然の景観を維持・保存するために設ける地区。建物の高さや建築面積、緑地面積、高木・低木の本数などに規定があり、樹木の伐採や土石の採取も制限される。
北伊丹地区
北伊丹地区
北伊丹地区

事業所所在地

〒664-8641 兵庫県伊丹市瑞原四丁目1番地

主な取扱製品

<高周波光デバイス製作所>

高周波デバイス(衛星通信・放送、携帯基地局などの無線通信機器用)、光デバイス(光通信機器用、産業・映像機器用)

<パワーデバイス製作所北伊丹地区>

パワーモジュール、大電力パワーデバイス、半導体センサー、トランジスタアレイ、HVIC、パワーデバイス用ウェハ


北伊丹地区の緑地の特徴と取組

北伊丹地区では2015年10月に生きもの調査を実施しました。“工場の敷地”という外部と遮断された環境も手伝って、調査では地域の在来種や固有種が複数確認されました。また、地元伊丹市では2014年に定められた「生物多様性いたみ戦略」のもと、近年、自然環境の保全や緑化に向けた取り組みも進められています。

こうした背景や、風致地区の特性も踏まえて、当社の環境方針に基づき、地域の生態系との共生を大切にしながら活動を進めています。

希少種・マツバランの発見

北伊丹地区で2015年11月に確認された「マツバラン」は、「兵庫県版レッドリスト2010」でBランク(準絶滅危惧)に指定されている種です。希少な種の保全を図るべく、人や車の行き来が多い場所に生えているものは往来の少ない場所に移植するほか、一部は鉢植えとしてフロア内に移入しました。これは、当社技術部会の「事業所のみどり活用研究会」が推進している、集中力アップやストレス軽減を目的として職場にみどりを導入する取組の一環として行ったものです。植物と接する機会を増やし、そこから癒し効果などの恩恵を得ることもまた、社員が生きものとの共生について意識するきっかけになると考えています。

希少種・マツバランの発見
希少種・マツバランの発見
マツバランを鉢植え、直植えの2つの方法で移植し、看板などを設置。一部は室内で世話をしている。

50年に1度の開花 ~北伊丹地区の歴史を知る花・アオノリュウゼツラン~
北伊丹地区の敷地内に植えられていたアオノリュウゼツランが、2014年6月に開花しました。本種は50年に1度の周期で花を咲かすとされる種。北伊丹地区の開設が1959年であることから、その当初から植えられ、今回初めて花をつけたと見られています。
花穂を含む全体像

こうした植栽は、外来種ながら、北伊丹地区を長年見守ってきた“隣人”でもあります。今後は外来種の管理についても考えていく必要がありますが、一律に排除するのではなく、可能であれば共存していくことも検討する、ひとつの契機となりました。

アオノリュウゼツランの花
アオノリュウゼツランの花(左)と花穂を含む全体像(右)。
開花中はNHK神戸放送局のニュースでも取り上げられたほか、地域の方の見学も受け入れ、地域交流にも活用できた。

伊丹市生物多様性交流フェスティバルに出展

伊丹市では、生物多様性の保全・再生及び持続的な利用に関する具体的な取組を推進する「生物多様性いたみ戦略」を策定しています。この戦略に基づき、活動の輪を広げるため2017年から「生物多様性交流フェスティバル」を開催しています。2018年は当地区もその参加呼びかけに応じ、独自の活動の概要をまとめたポスターを出展しました。

「自社の活動を、社員に限らず、その家族や地域の方々にも広く知っていただきたい」「生物多様性保全のすばらしさや企業が取り組む意義を理解していただきたい」——こうした思いで出展したところ、地域の大勢の方々と交流することができました。

ポスター展示の様子(於:伊丹市昆虫館 特別展示室)
ポスター展示の様子(於:伊丹市昆虫館 特別展示室)
当地区が出展したポスター
当地区が出展したポスター

「瑞ヶ池公園の桜を育てる会」で桜の維持管理活動を継続

瑞ヶ池公園の桜を育てる会
当初22人だった会員数は、現在では50人に拡大

北伊丹地区でかねて実施している取組に、近隣の瑞ヶ池公園での活動があります。当地区を訪れる人へのランドマークともなっている瑞ヶ池公園は、伊丹市の桜の名所です。ソメイヨシノや山桜を中心に約600本の桜が植えられており、1967年の開設以降、地域の憩いの場所として活用されてきました。この場所を後世に残すべく、当地区の社員が中心となって1986年に結成したのが「瑞ヶ池公園の桜を育てる会」です。社員のほか、退職者、近隣自治会の方々なども参加し、枯れ枝剪定や施肥作業など桜の維持管理に向けた活動や、周辺の清掃を行っています。

敷地内での取組に加えて、こうした取組も継続し、地域と一体となって環境の維持、向上に取り組んでいきます。

瑞ヶ池公園の桜を育てる会
瑞ヶ池公園の桜を育てる会
瑞ヶ池公園の桜を育てる会

長年の功績が認められ、北伊丹地区はこれまでに下記を表彰されました。

  • 2009年に財団法人日本さくらの会より、「さくら功労者」として表彰
  • 2011年に伊丹市より、他の模範となる善行をたたえる善行賞「つつじ賞」を受賞
  • 伊丹市が日米友好のために桜を米国へ寄贈して100周年を迎えた2012年に、「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰を受賞

担当者コメント
地域固有の生きものが、地域固有の環境をつくる。
この視点を次世代に伝えたいです。
高周波光デバイス製作所
製造管理部
環境・インフラ管理課
専任
芝田 一也
高周波光デバイス製作所
製造管理部
環境・インフラ管理課
専任
芝田 一也

取組の担当になってから、近隣の博物館や昆虫館なども見て回って、生きものについて勉強してきました。その中で痛感したのが、地域本来の環境を残すことの大切さです。地域固有の植物がある、そこには地域の虫や鳥が来る、そうやって昔ながらの環境が保たれる。地域の環境と調和するような「緑の工場」をつくるには、ただ緑地をふやすだけでなく、在来種保護や外来種の適切な管理が必須なのだと改めて感じました。

今後はこれらの取組を進めていくことはもちろん、他の社員や、次世代を担う子どもたちに、こうした視点を発信していきたいと思っています。北伊丹地区の緑地を活用して生きものの観察会などができれば理想です。 私自身、自分でマツバランの鉢植えに水をやるようにしていたら、どんどん愛着がわいてきました。直接触れることによる学びは大きいと思っていますので、職場に鉢植えをおくとか、小さな接点から増やしていけたらいいですね。


フォトギャラリー


新しいウィンドウが開きます北伊丹地区 生きものリスト(PDF:76KB)


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環境への取組
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