農家が守ってきた自然と共存しつつ、安心・安全を届けたい
全国に約16万箇所あるため池。その多くは農家に守られてきました。しかし、農家の減少や高齢化、近隣の都市化で管理が行き届かないため池が増え、近年は台風や集中豪雨で決壊被害が発生しています。ため池には農業用途に加え、一時的に雨を貯める防災機能や生態系の維持、景観の向上などの利点もあります。一方で日本の農業は高齢化、働き手不足といった問題を抱えています。ため池の安心・安全を人手をかけずに監視でき、高齢者にも使いやすい、ため池とそれを取り巻く環境の変化にしっかり向き合ったソリューションが求められています。
POINT 01
ブイを水面に浮かべるだけ、
ため池の水位をスマートフォンにお知らせ
「みなモニター
」はセンサーがついたブイ(浮漂)をため池に浮かべ、衛星で水位を測定し、スマートフォンに知らせるサービスです。 離れた場所からでも常にため池の状況が把握できるため、悪天候での見回り中に起こり得る転落といった二次災害を防ぐこともできます。
POINT 02
使いやすい画面デザインのために、
まずはユーザーの声を聞くことから
スマートフォン用の画面デザインにあたり、ため池管理経験者に取材を行いました。取材時には「グラフィックレコーディング」という手法を用いています。取材の結果、多くの管理者が高齢であるため、水位を数値だけでなく「水位が水位標の赤を越えたら放流する」など、水位標と呼ばれる棒の色でも状況を判断・伝達していることが分かりました。
グラフィックレコーディングとは
取材などの内容をリアルタイムで絵に起こしていく手法。要点を絵でまとめることで、内容がわかりやすく共有しやすい。
POINT 03
高齢者にも見やすく、
管理習慣に合ったデザインに
画面デザインは、屋外で高齢の管理者にも使いやすいように、全体的に文字を大きく表示し、はっきりした色使いにしました。画面の水位を示す目盛りは、水位標をモチーフにデザイン。目盛りの色は管理しているため池の水位標に合わせることができます。また、複数のため池を一覧できる画面では、ため池名と水位、警告をアイコンで表示し、広域の状況をわかりやすく表現しました。こうしたデザイン活動が認められ、2020年 IAUD国際デザイン賞「銀賞」
を受賞しました。
- ※みなモニターは三菱電機株式会社の登録商標です
- ※準天頂衛星は準天頂衛星システムサービス株式会社の登録商標です