パワー半導体(パワーデバイス)②
< 本編は、#010 パワー半導体①からの続きです。>
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前回は、電気を「直流」から「交流」に変換する「インバータ」がとても省エネに重要、というお話で終わりました。
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そうじゃった。まず、電気の流れには「直流」と「交流」の2つのタイプがある。乾電池に電球をつなぐと、乾電池のプラスからマイナスと一方向に電気が流れ、電球が点灯する。これが「直流」。一方、 「交流」は、電気の流れる向きや電圧が周期的に変化しておる。家庭で使用している電気は「交流」じゃ。
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「直流」と「交流」との違い、理解できました! 「インバータ」は、インバータエアコンという言葉を聞いたことがある程度で。。。何をしてくれるのでしょうか。。?
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そう、その「インバータ」じゃ。「インバータ」は「直流」から「交流」に変換し、モーターを動かす装置のことじゃ。電気の流れる向きや電圧、その周期を自由に変えることで、モータの回転速度などを柔軟に変えることが出来るのじゃ。
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モータの回転速度を自由に変えることが省エネにつながるの?
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そうじゃ。モータは、止まった状態から動き始めるときに一番電力を必要とするんじゃよ。なので、モータを止めることなく、回転速度を変えながら、きめ細かく制御できることが大きな省エネ効果をもたらすんじゃ。
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「エアコンを止めない方が省エネ」って聞いたことがあるけど、そういうことだったのね。ところで、「インバータ」とパワー半導体はどう関係するの?
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モータを動かす「インバータ」回路はいくつかのパワー半導体で出来ているのじゃ。だから、パワー半導体は省エネのキーデバイスの1つといわれているんじゃよ。世の中の多くの電気製品がモータで動いておるからのぉ。
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パワー半導体、大活躍ですね! モータが使われていそうな電気製品って、身近なところでは、エアコンや洗濯機などの家電、ハイブリッドカーや電気自動車にも使われていますよね。それから、えーっと。
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鉄道車両、風力発電、産業用ロボットや工作機械、医療機器、発電機など、モータを使用している機器はまだまだあるぞ。今現在「インバータ」で制御していないモータもたくさんあるから、今後も「インバータ」による省エネは進んでいくぞ。それだけじゃないぞ。新しい材料で作るパワー半導体が、またすごいのじゃ。
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新しい材料のパワー半導体?!
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パワー半導体は、これまで主に「Si(シリコン・ケイ素)」という材料が使われてきていたが、世の中が注目する新しい材料は、「SiC(エス・アイ・シー)」といって、英語ではシリコンカーバイド、日本語では炭化ケイ素という化合物の材料じゃ。
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何がすごいの?
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簡単に言うと、材料の特性でパワー半導体の性能が大幅に向上しているのじゃ。エアコンや電車や新幹線に既に搭載されており、今後はあらゆる機器へ搭載されることで更なる省エネへの効果が期待されているのじゃ。
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インバータでモータを動かして、さらに新しい材料でますます省エネ、そして脱炭素へ貢献するのが、パワー半導体なのですね。
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「パワー半導体⇒インバータ⇒きめ細かいモータ制御⇒省エネ⇒脱炭素」の構図をご理解いただけたかな。パワー半導体は、材料や構造がどんどん進歩していくのじゃ。モータモタしていると、時代に取り残されるぞ。
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博士、、、寒い!? 。
新材料SiCパワー半導体
鉄道車両、産業機器、ビル設備、電気自動車、再生可能エネルギー、家電…
これらパワーエレクトロニクス機器の省エネ化のキーデバイスとしてパワーデバイスが欠かせません。
そこで注目されているのが、新材料のSiC*。
SiCは材料の特性により電力損失を飛躍的に低減させ、パワーエレクトロニクス機器の大幅な省エネ化が可能です。
三菱電機は、1990年代初めにSiCの要素技術開発をスタートし、SiC搭載品の実用化で省エネ効果をすでに実証しています。
革新的なSiCパワー半導体で、脱炭素社会の実現と豊かな生活の両立に貢献してまいります。
*SiC:Silicon Carbide(炭化ケイ素) シリコンと炭素を1:1で結合した化合物
SiCパワー半導体
優れた特長を持つSiC(Siとの比較)
◆「パワー半導体」Webサイトはこちら
パワーモジュール
◆「パワー半導体デバイス」についての紹介動画はこちら。
プロジェクトME 「パワーデバイス製作所」