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#016

地球観測衛星①

画像 地球観測衛星
これは、
人工衛星ひまわり8号・9号じゃ。なんといっても三菱電機製じゃ。
ここが便利!
雲の写真を10分ごとに地球に送ってくるぞ。さらに日本周辺であれば2.5分ごとの観測も可能じゃ。
ここがスゴい!
宇宙から観測したデータは、日本だけでなく、広く海外でも防災のために活用されているぞ。
研究生 エコちゃん

「ひまわり」の雲の写真、毎朝、天気予報で見ています。その写真を送ってくる人工衛星を三菱電機が作っているって、すごいことですね。

博士

そうじゃ。現役の「ひまわり」は8号で、9号とともに、今日も赤道上空、約36,000kmの静止軌道を飛行しておる。

研究生 エコちゃん

あの~、「静止軌道」って何ですか? 止まっているんですか。。。? それにしても、36,000kmって、何でそんな高いところを飛んでいるんですか?

博士

おぃおぃ、人工衛星は止まらんぞ。赤道上空に静止しているように見えるだけじゃ。つまり、地球の自転に合わせた速さで1日で地球を1周するんじゃ。その速さで進むときに、地球に引っ張られる「重力」と、人工衛星が地球から離れようとする「遠心力」のバランスがちょうどいい高さが36,000kmなんじゃ。

画像 静止軌道

研究生 エコちゃん

あ~っ、それで、いつも日本全体が入る範囲の雲の写真が撮れているんですね。

博士

実際に観測している範囲はこのとおりじゃ。「ひまわり」から観測して得られたデータはアジア・太平洋の30以上の国や地域に提供され、広く防災に役立っておるんじゃよ。

画像 実際の観測範囲

研究生 エコちゃん

博士、「観測」っておっしゃいますけど、「ひまわり」は雲の写真を撮影するだけではないんですか?

博士

目に見える写真は、観測して得られるデータの一つにすぎんぞ。他にも、得られたデータを計算機で処理することで、上空の風、雲の高度や種類、海面水温などの様々な情報を得ることができるんじゃ。

研究生 エコちゃん

すご~い! 雲の写真だけでなく、そのようないろいろなデータがあるからこそ、精度の高い予報が可能になっているんですね。

博士

そのとおりじゃ。宇宙から観測するからこそ得られるデータは、防災、安心、安全という点で、私たちの暮らしを豊かにする上で欠かせないものばかりじゃ。「ひまわり」をはじめ、三菱電機の地球観測衛星は、サステナビリティに大いに貢献しているんじゃよ。

研究生 エコちゃん

あの~、ということは、「ひまわり」以外にも三菱電機製の地球観測衛星ってあるんですか。

博士

なんとっ! そう来たか。。。 三菱電機は1960年代に宇宙事業に参入してから、約70機もの様々な用途の人工衛星を手掛けてきており、地球観測衛星でもリーディングカンパニーなのじゃよ。また次回も地球観測衛星を紹介しよう。次回へ威勢(えいせい)のいい話の続きを持ち越しじゃ。

研究生 エコちゃん

博士、、、寒い!? 。

#17 地球観測衛星②に続く。

ひまわり8・9号

「ひまわり8・9号」は、2015年に運用寿命を迎えた「ひまわり7号」の気象ミッションを引き継ぐ静止気象衛星です。ひまわり8・9号は、次世代の気象観測センサーを搭載し、解像度の向上や観測チャンネルの増加などによって、地球環境をより詳細に監視することができます。ひまわり8・9号は2機合わせて2029年度までの約15年間運用を行います。

スペック

世界に先駆けて次世代観測センサーを搭載

「ひまわり8・9号」は、世界に先駆けて次世代の気象観測センサーを搭載しています。解像度の向上や観測チャンネルの増加などにより、気象現象や地球環境の監視を強化することができるだけでなく、宇宙からの撮像に要する所要時間を7号と比べて大幅に短縮し、最新の観測データを正確にスピーディに送ることができます。

最新の観測データ

観測機能を強化した三菱電機の「ひまわり8・9号」

「8号・9号では、世界にさきがけて次世代気象観測センサー(可視赤外放射計)を搭載し、解像度の向上、チャンネル数の増加などを実現。これにより、画像も白黒からカラーへ、静止衛星から見える範囲の観測時間も30分から10分へと短縮でき、地球環境をより詳細に、よりきめ細かく監視することができます。2014年10月7日に打上げられた「ひまわり8号」による初画像が同12月18日に気象庁から公開されました。「ひまわり7号」と比べると画像はモノクロからカラーとなり、解像度は2倍になっています。

ひまわり7号とひまわり8号の比較
取材協力
写真

三菱電機株式会社
宇宙システム部企画管理課
西山宏

研究生 エコちゃん

「西山さん、地球観測衛星「ひまわり」の開発に携わって印象に残ったことを一言お願いします。」

写真

ひまわり8・9号は、搭載するセンサの性能が格段に向上し、地上に届く気象観測データ量は、これまでの気象衛星に比べて50倍以上あります。また、地球の画像は、スマホのカメラのように一回シャッターを切ればよいといったものではなく、カメラを動かしながら短冊形の画像を撮るため、画像データがところてんのように地上に降りてきます。このデータは地上で適切に処理されてから気象画像としてみなさんに届けられます。皆さんの役に立つ画像を作ることに、多くの技術者や科学者が携わっています。今でも天気予報や気候変動監視等に役に立てようと、日々努力している人たちのことを忘れないで下さい。