MMSD (三菱インフラモニタリングシステム)
-
一見、普通のトラックですね。正面と側面にカッコいいデザインで描かれている“MMSD”とは、どういう意味ですか?
-
三菱インフラモニタリングシステム (Mitsubishi Mobile Monitoring System for Diagnosis)からきておる。“Diagnosis”は「診断」という意味じゃ。
-
ということは、インフラをモニターする・・・? ここでいう“インフラ”って何ですか?
-
道路・鉄道やその周辺じゃ。特に最近はトンネルの内壁の点検で全国で活躍中じゃ。トンネルは長年の使用により、内壁などの劣化は避けられない。事故が起こる前に、点検して事故につながる前触れを見つけることが大切じゃ。
-
トンネルの点検って、大変そう。このトラックがどのようにして事故につながる前触れを見つけてくれるのかしら。
-
まず「高密度3次元レーザ」を使って、トンネル内壁の形状を3次元で計測するんじゃ。天井や壁に毎秒200万点のレーザを投射することで、形状を詳細にスキャンできるんじゃ。
-
毎秒200万点もレーザで計測できちゃうんですか!このトラックにそんなスゴい機器が搭載されているんですね。
-
そして、スゴい機器がもう一つ。「高解像度8Kラインカメラ」じゃ。トンネル内部の全周を撮影し、トンネル壁面に生じたひびや漏水などを検出できる。幅0.3mmの微細なひびを見つけられるぞ。
-
幅0.3mmのひび !? 細~。 そんな細かいところまで見つけることができるってことは、撮影に結構時間がかかったりするんですか?
-
何を言っておるっ。3次元レーザでの計測も8Kラインカメラでの撮影も、時速15~80km程度で計測可能じゃ。こんな感じじゃ。
-
すご~い!トラックの下から線路用の車輪が出るところも、カッコいい~!まさに、アッという間の作業ですね。
-
そうじゃ。以前は、トンネルの点検のためには、夜間に交通規制をして高所作業車に乗ったり路面を歩いたりしながら、壁面のひびなどを見つけてはチョークで印をつけたり、その印を写真撮影したりしていたんじゃ。1kmほどのトンネルを点検するのに2~3日もかかっていたんじゃぞ。
-
それがMMSDを導入すれば、トラックを走らせるだけでいいんですよね。作業を劇的に効率化できますね。
-
点検のための計測だけじゃないぞ。計測したデータを重ね合わせて、診断に役立つ、人が目で見えない形状の歪みやズレも教えてくれる。こんな感じじゃ。
-
色付けされていて、わかりやす~い。
-
MMSDには、点検のための「計測」、計測したデータの「解析」に加え、さらにそれらを「報告」するための資料を自動で作成する機能もあるぞ。
-
3次元レーザや8Kラインカメラでデータを収集するだけじゃないんですね。
-
まだまだあるぞ。MMSDで収集したデータをもとに、トンネルをデジタルデータで再現したデジタルツイン※ができるんじゃ。トンネルをデジタルデータでも確認できるから、作業員が何度も現場確認に行かなくてもよくなるぞ。経年変化や点検履歴も管理しているから、補修の計画検討にも役立つぞ。
※実際の空間にある情報をデータ化し、サイバー(仮想)空間に再現する技術
-
至れり尽くせり~!計測、点検から、補修計画まで、インフラの「診断」に関係した一連の仕事をやってくれるんですね。社会インフラって、今、いろいろなところで老朽化が問題になっているんですよね。MMSD、とても頼もしいです。
-
そのとおりじゃ!これからの時代、インフラの診断は、MMSDで安心だン!
-
博士、、、寒い!? 。
三菱インフラモニタリングシステム (MMSD)
道路や鉄道などのインフラ点検は、社会活動の維持に、さらには人命を守るために、極めて大きな役割を担っています。特に高度経済成長期に集中的に整備された社会インフラは、今後老朽化が進む見込みであり、点検の重要性が増しています。三菱電機では、走行しながら構造物を高精度で計測・解析する「三菱インフラモニタリングシステム(MMSD®)」と、計測データをもとにデジタルツインを構築し、現場作業の負担を低減する「三菱多次元施設・設備管理システム(MDMD®※1)」を開発しました。労働人口が減少する中、これら2つの技術を使って点検作業のDX※2化を進めることで、作業の効率向上・精度向上に貢献します。
※1 Mitsubishi Multi-dimensional Data Management for Diagnosisの略
※2 DX:デジタルトランスフォーメーション
現場作業時間や交通規制を低減する点検
高密度3次元レーザと高解像度8Kラインカメラを車両に搭載。走行しながら構造物の高密度3次元点群データと高精細画像を取得し、計測・解析を行います。鉄道・道路の点検は、長時間の現場作業となることが多く、事業者の負担になっていました。また、道路は点検の際に交通規制が必要なため、利用者に不便をかけていました。本技術は、交通規制を行わず昼夜を問わずに点検が行え、現場作業時間の低減、利用者の利便性向上を実現します。
取得データを解析・可視化し、小さな変化も逃さず点検
高密度3次元レーザで毎秒200万点の3次元点群データを取得し、構造物の現状を詳細に把握します。過去の計測データと比較することで、経年劣化を見つけ出し、ボルトの取り付け状態や漏水などの確認を目視同等の精度で実現します。さらに、当社AI技術「Maisart®(マイサート)※3」を活用した独自の解析アルゴリズムにより、幅0.3mmの微細なひび割れを自動で検出する技術を開発しました。MMSDで支援することで、ベテラン作業者に頼りがちだった点検作業を、経験を問わず効率的に実施できます。
※3 Mitsubishi Electric’s AI creates the State-of-the-ART in Technology の略。全ての機器をより賢くすることを目指した当社のAI技術ブランド。
【関連サイト】
https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/special/convention/ceatec2022/monitoring/
https://www.mitsubishielectric.co.jp/business/biz-t/contents/synergy/mmsd001.html
https://www.mitsubishielectric.co.jp/mmsd/index.html