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#045

3次元計測アプリ「Rulerless」

画像
こちらは、
空間の幅やモノの大きさ、距離などを自由に計測することができるスマホのアプリじゃ。
ここが便利!
手が届かない、物が多いなど、計測しにくい状況でもメジャーや特別な道具なしで計測できるぞ。
ここがスゴい!
3次元での計測が求められる様々な現場で、使いやすさが高く評価されておる。水災の被害調査でも活躍し、早期の復旧に貢献するぞ。
研究生 エコちゃん

「ルーラレス」と読めばよいのかしら。これはどのようなアプリなんですか。

博士

「ルーラレス」とは、「ルーラ」、つまり定規やメジャーのようなもので計測する必要ナシ、という意味じゃ。Rulerlessは、スマホやタブレットで撮影した現場の様子を3次元(3D)の情報にして、指定したポイント間の計測をしてくれるアプリで、LiDAR(ライダー)スキャナ(*)が搭載されているスマホやタブレットであれば使えるぞ。

レーザー光の反射を利用して、対象物までの距離や形などを計測する機能

研究生 エコちゃん

スマホで撮影して、どのような感じで計測できるのでしょうか。

博士

とっても簡単じゃ。①スマホで対象となる空間を撮影する⇒ ②3D情報に変換する⇒ ③指定の2点を選ぶ。これだけじゃ。

音声なし。再生時間:1分9秒

研究生 エコちゃん

すご~い😊、スマホの中に3Dの空間が再現されている! 本当にメジャーで測る必要ナシですね。スマホでこんなことまでできてしまうんですね。

博士

Rulerlessは、LiDARスキャナで取り込んだ3Dの情報と、カメラで撮影した画像をうまく組み合わせて画面で表示しておるのじゃ。

研究生 エコちゃん

とても難しそうな処理をしているのね。。。 そもそもRulerlessを開発するきっかけは何だったのですか。

博士

三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)の営業担当者が、損害保険会社の現地被害調査に関するニーズを耳にして、浸水被害の調査をITで効率化できないものかと考えたところから開発がスタートしたのじゃ。

研究生 エコちゃん

近年、日本各地で大型台風による家屋倒壊や床上浸水等の水災が増えてきています。保険会社の調査員の方々も、調査の範囲や件数が増えてきているのでしょうね。

博士

保険会社の調査員は実際に現場に赴き、建物がどこまで浸水したかをメジャーで計測するのじゃが、現場の足場の状況や浸水高によってはその計測が難しい場合もある。また、調査員の数が限られる中、いつでもすぐ訪問できるわけではない。場合によっては保険契約者の相談を受けてから数週間後の訪問になることもあるのじゃ。

研究生 エコちゃん

調査の作業が大変な上に、遅れればその分、保険金額の決定や支払いが遅くなり、建物の復旧が遅くなってしまいますよね。。。

博士

そのとおり。Rulerlessで現場作業を容易に行えるだけなく、ゆくゆくは損害保険の契約者自身がRulerlessで浸水した高さを計測できるようになれば、調査員が現場まで出向く必要がなくなるというわけじゃ。

研究生 エコちゃん

是非、早くそうなってほしいです。でも契約者が自分でRulerlessを使って保険金を申請するとなると、普段スマホの操作にあまり慣れていない人にも使いやすいことが求められますね。

博士

そこ、重要じゃ。スマホのライダースキャナを使って3D情報にして計測できるアプリは他にもあるのじゃが、Rulerlessは、開発に直接携わっていない他部署の人も多く協力し、その使いやすさを評価した意見を取り入れて改良を重ねてきた自信作じゃ。また、Rulerlessで作った3D情報を、ネットを介して遠隔地のPC上でも計測作業ができるのはRulerlessだけ(*)の特長じゃ。

2024年7月時点。MDIS調べ。

研究生 エコちゃん

現場の3D情報を会社で複数人で測定できれば、効率も上がりそうですね。でもこれって、いろいろなことに使えそうですね。

博士

もちろんじゃ。かつてはLiDARスキャナの専用設備が必要だった3D空間での計測が今はスマホ1台でできる。設備点検、工場への機器搬入シミュレーション、建築測量、住居の模様替えなど、様々なシーンでの活用に向けて開発を進めているところじゃ。今後、もっともっと新しいニーズが生まれるかもしれんぞ。

図 機器搬入シミュレーション

研究生 エコちゃん

Rulerless、楽しみ~!😊 被災地の早期復旧への貢献だけでなく、これからは生活に身近な様々な計測業務の効率化を実現するんですね。私も使ってみた~い😊 他にも、例えば高所や危険な空間の計測にもRulerlessを使うことで、企業の生産性拡大だけでなく、従業員の安全にもつながりそうです。

博士

そうじゃ。いろいろな面でサステナビリティへの貢献度、大きいぞ。ここまでできるのは、 LiDAR(ライダー)を活用したRulerlessくらいだー

研究生 エコちゃん

博士、、、寒い!? 😊

Rulerless

3次元計測アプリ Rulerlessは、生成した3Dモデル内にある空間の幅やモノの大きさ、距離などを自由に計測することができるアプリです。LiDARスキャナ付のスマホまたはタブレット(*1)を使用して、誰でもお手軽に・すばやく・正確な計測が可能です。手が届かない、物が多いなど、計測しにくい状況でも特別な道具やメジャー無しで計測できます。

*1 対応機種

iPhone 12 Pro/Pro Max、iPhone 13 Pro/Pro Max、iPhone 14 Pro/Pro Max、iPhone 15 Pro/Pro Max、iPad Pro 12.9インチ(第6/5/4世代)、iPad Pro 11インチ(第4/3/2世代)(2024年4月時点)

特長

1.その場で精密3Dモデルを構築し、正確に計測

動画を撮るように対象をスキャンするだけで3Dモデルをその場で生成します。
生成した3Dモデルは360°回転させることができ、計測したい箇所の始点・終点をタップするだけで、誰でもお手軽に・すばやく・正確に計測することができます。

2.生成した3Dデータはクラウドで共有可能

Rulerlessで撮影した現場や設備の3Dモデル情報は、クラウドを通してPCブラウザ(ウェブアプリ上)での確認と計測が可能です。
生成した3Dモデルで、再計測したり気になる箇所を拡大しながら作業できるので、作業効率だけでなく作業品質の向上も期待できます。

3.生成した3DモデルはOBJファイルなどに出力可能

Rulerlessで生成した3Dモデルは、OBJファイル(*2)などに出力することができ、これを3D CADシステム等に取り込むことにより(*3) 、レイアウト変更などに利用できます。

*2 3DCGで用いる物体の形状データを記録するファイル形式の一つ

*3 Rulerlessのサービスの対象外

取材協力
写真

三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社
金融第二事業部 金融システム営業第一部 第一課
甲斐 博将

研究生 エコちゃん

「甲斐さん、Rulerlessの事業に携わって印象に残ったことを一言お願いします。」

写真

高価で大型のデバイスが主流であったLiDARスキャナがスマホに搭載されたことにより、手軽に正確な3Dモデルを生成できるようになりました。出来上がったアプリを見たとき、様々な用途への活用可能性を確信しました。各所で人手不足や業務効率化が叫ばれる現在、より簡単に、よりスピーディーに計測したいというニーズがあるだろうと考えています。
例えば本記事でも紹介している災害の被害調査では迅速な復旧復興への寄与が期待されます。また、日常においても存在する計測作業を効率化したいという声は私が想像する以上に多いことを実感しました。そういった社会課題を解決するソリューションに成長させていくことが私の使命だと思っています。