このページの本文へ

ここから本文

生きもの調査レポート静岡製作所の
生きもの調査レポート

生きものが来たくなる“よりみち緑地”を育成

生きものが来たくなる“よりみち緑地”を育成

静岡製作所では、市街地によって緑が分断されているという周辺環境の特性を踏まえて、以下を生物多様性保全のテーマとしています。

<静岡製作所の主な活動テーマ>

  • ■“よりみち緑地”の育成
  • ■従業員の生きものへの興味喚起(情報発信、イベント)

“よりみち緑地”の育成をメインターゲットに据えつつ、この緑地を活用して、従業員向けの情報発信などを行っています。

「自然共生サイト」認定緑地

認証ロゴ

2025年2月、静岡製作所が、「自然共生サイト(維持タイプ)」の認定を受けました。

国が掲げる30by30目標※1の達成には、民間による生物多様性への取組みも不可欠とされます。「自然共生サイト」とはこれを踏まえて、企業や団体など民間による取組みで生物多様性の保全が図られている区域を国が認定する制度です。認定区域は、すでに保護されている地域との重複を除き、OECM※2として国際データベースに登録されます。

参考:環境省「自然共生サイト」新しいウィンドウが開きます

※130by30目標:2030年までに、陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標

※2OECM:Other Effective area-based Conservation Measures。保護地域以外で生物多様性保全に資する区域

活動報告

担当者・マネジメントの声

データセクション

活動報告

周辺の山々の緑をつなぐ“よりみち緑地”の整備

従業員による目視調査

静岡製作所では、敷地内にあった緑地を、鳥類や昆虫類が食事や休息に一時利用できる“よりみち緑地”として再整備しました。周辺の山々が市街地によって大きく分断されていることを踏まえ、当製作所が緑と緑をつなぐ“飛び石”となることを期待しています。

現在、構内の2か所に“よりみち緑地”を設置。地域生態系をかく乱する恐れのない植物を植栽するほか、構外の土地の開発などで除伐されそうになった地域在来の植物も引き取り、導入しています。また、緑地の機能を高めるため、工機工場北側の緑地には水辺を含むビオトープも設けています。

また、緑地の利用状況を確かめるために、数年おきに外部専門家に生きもの調査を依頼するほか、従業員による調査を毎年実施しています。

「霧ケ峰みらい研究所」横の敷地
主な植栽種:ヤマハギ、ムラサキシキブ、オミナエシ、ワレモコウ、ヤブカンゾウ、ノコンギク、ヤブヘビイチゴ、ネジバナ など

工機工場北側の敷地
主な植栽種:ヤマハギ、ムラサキシキブ、アセビ、ウツギ、サンショウ、センリョウ、クロモジ、ヤブコウジ、ノコンギク など

よりみち緑地がつなぐ生態系ネットワーク

よりみち緑地がつなぐ生態系ネットワーク

2026年7月時点の活動状況

除去されそうになった地域在来の水生植物を移植(クログワイ、イヌホタルイ、オモダカ、ヒルムシロ、カンガレイ、セリ、ジュズダマ、セキショウ)

工機工場北側の“よりみち緑地”は、2025年2月に自然共生サイトとして登録されました。これに伴い、これまで運用ベースで行ってきた緑地管理の方法を社内規程として明文化。担当者の異動などがあっても一定の管理水準を維持できる体制を整えました。また、2026年3月には、よりみち緑地の出口に自然共生サイト登録に関する取組みを紹介する看板も設置しました。

2025年10月には、静岡市内の土地開発により除去対象となった水生植物を、ビオトープへ移植し保全しました。

これらに加え、従業員・専門家による生きもの調査も継続しています。

従業員による生きもの調査の実施状況
種類 調査時期 時間帯 調査方法
チョウ類 10月 午前8時~11時
  • ●【緑地内】各緑地の前で1時間ずつ目視観察を行い、確認されたチョウの数と種類を記録
  • ●【緑地外】敷地内の決まったエリアを一定の歩速で移動し、確認されたチョウの数と種類を記録
野鳥 12月
  • ●両緑地を俯瞰できるポイントから時間いっぱい観察を行い、確認された野鳥の数と種類を記録

従業員に向けた情報発信やイベントの実施

直近の活動内容やそのねらいを「Greenだより」としてイントラサイトで発信

静岡製作所では、生物多様性保全に向けた取組みの状況や、他の様々な環境トピックを、イントラサイト「Greenだより」で従業員に発信しています。このサイトではほかにも、敷地内で観察された生きものの情報をまとめた「生きもの図鑑」を掲載し、定期的に更新。開催したイベントに関するアンケートも実施し、コミュニケーションにも活用しています。

こうした情報発信に加え、従業員が自ら参加し、楽しみながら生きものへの興味を育てられるような取組みとして、緑地を活用した実地イベントにも注力しています。

2026年7月時点の活動状況

クイズラリーの回答画面。2026年度版では、関連の用語やニュースなど生物多様性活動に関する幅広い内容が問われた

2025年、2026年と6月にクイズラリーを継続し、特に2026年は約270名(2025年は253名)の参加がありました。また、2026年は初の試みとして、生物多様性活動全般の知識を問うクイズを出題。これにより難度も上がりましたが、平均スコアは100点満点中93.4点と高得点となり、従業員の生物多様性への理解度や関心の高さがうかがえる結果となりました。これまで情報発信を続けてきたことがこの結果につながっているものと考え、今後も取組みを継続します。

このほか2025年10月には、静岡市内の土地開発により除去対象となった水生植物をビオトープ内に移植するにあたり、従業員と家族が参加する植栽イベントを企画しました。イベントは悪天候のため見送りとなりましたが、今後も適宜、従業員が生物多様性保全活動に直接関われるような機会を設けていきます。

担当者・マネジメントの声

担当者の声

継続は力、より効果的な方法も模索しながら

静岡製作所ではこれまで、構内の緑地の適切な維持・管理、生物多様性に配慮した環境づくりを続けてきました。昆虫や野鳥など、多様な生きものが“よりみち”してくれることを期待してのことで、従業員による目視調査でも、チョウなどの利用が確認できています。

また、従業員への情報発信、啓発活動にも注力しています。環境保全活動、ひいては環境保全という考え方を身近に感じてもらうことで、一人ひとりの環境意識の向上につなげていくねらいです。

いずれもすぐに芽が出るような内容ではありませんが、2025年には環境省「自然共生サイト」の認定を取得することもできました。これは続けてきた取組みの一つの成果だと考えています。

今後も継続的に状況を把握しながら、より効果的な活動内容を検討・推進していきます。

製造管理部 環境工務課 津野 裕康
製造管理部 環境工務課 古賀 菜月

マネジメントの声

社内外での認知度を高め、
次なる活動への一手としたい

静岡製作所は住宅地に囲まれた立地であり、その中で自然共生サイトを有することの意義は大きいと考えています。事業と緑地管理の両立が前提となるため割けるリソースは限られますが、活動をより良くしていこうと部署内でアイデアを出し合っています。

試行錯誤を重ねる中で、最近は社内で当製作所の取組みに興味を持ってもらうことが増えました。先日も別の製作所の幹部が来訪した際、工場見学の合間に「ビオトープはどこにありますか」と尋ねられる場面がありました。2025年の自然共生サイト認定を経て、こうした関心の広がりを一層感じています。

外部評価をいただいたことで、私たちとしても取組み内容を製作所の外に向けて発信しやすくなりました。グループ内外での認知度が上がれば、次の活動にもつなげやすくなります。メンバーのアイデアをかたちにしていくためにも、取組みと並行して情報発信にも力を入れていきます。

製造管理部長 岡 智弘(左)

属人化を防ぎながら地道な改善を

当製作所は2025年度に、緑地の管理方法を規程化しました。これは運用・管理面の大きな成果です。明文化された規程を活用することで、業務が属人化することを防ぎ、課内の誰でも対応できる状態にしていくことを目指します。

緑地のモニタリングにおいても、確認できる生きものの種類が当初より増えた一方で、導入していないはずのタニシが敷地内で発見されるなど、外来種対策・持ち込み管理には課題があると感じています。週1回の清掃時のチェックも含めて、継続的なモニタリングを重ねていきます。

これらに加えて、従業員参加型の活動についても改善を進めていきます。参加者は増えているものの、まだ一部の従業員による活動という側面があります。より広い層に関心を持ってもらえるよう、周知や情報発信のあり方を工夫していきたいと考えています。

今後も、「地道でもいいから継続」を抱負に、マネジメントの立場から活動を支え推進していきます。

製造管理部 環境工務課 課長 山崎 正己(右)

データセクション

フォトギャラリー

考察と行動

静岡製作所では2015年度の調査を経て、外部専門家から以下のような報告と、今後の活動へのアドバイスをいただきました。その後の効果測定の結果も踏まえて、生物多様性保全に向けた施策を展開しています。

静岡製作所の緑地の状況(2016年度時点)
ポイント1:製作所から2kmほどの距離に緑豊かなエリアが点在している
  • ■製作所から2km以上離れた東側の「有度山」、西側の「谷津山」「八幡山」に多様な植物種で構成される緑が残されている。
  • ■上記の緑は鳥類や昆虫類が利用しているものの、市街地によって東西のつながりは大きく分断されている。
ポイント2:敷地内の緑地を利用している種が限られている(2015年当時)
  • ■ハクセキレイ、ドバト、イソヒヨドリなど、森林や市街地に広く生息する適応力の強い鳥類の飛来を確認したが、構内の緑地を餌場として利用するケースはほとんど確認できず。
  • ■チョウ類を中心とした昆虫類の調査でも、花の蜜を求めて訪れたり、生息・繁殖の場として構内の緑地を利用したりするチョウ類は数種に限られている。
実施施策
  • ■試験棟「霧ヶ峰みらい研究所」横の約80m2の敷地、工機工場北側にある約235m2の敷地の2か所を、鳥類や昆虫類が採餌や休息に利用できる“よりみち緑地”として整備・管理。専門家による生きもの調査のほか従業員によるモニタリングで効果測定。
  • ■緑地を活用し、従業員とその家族を対象としたイベントを実施。
  • ■取組みの内容を従業員に向けて適宜発信。

生きものリスト・その他資料

生きもの調査結果

静岡製作所は、外部の調査会社の協力のもと、1~2年おきに生きもの調査を実施してきました。ある程度植栽が定着してからは5年おきのスケジュールとしています。
直近での調査結果は以下の通りです。

静岡製作所 生きものリスト(PDF:411KB)(2026年8月更新)PDF

活動の方向性

「3つの方向性」に基づく静岡製作所の活動分類を掲載しています。

これら活動の方向性について、詳しくは「事業所の生物多様性保全施策について」ページを参照ください。

事業所の生物多様性保全施策について

「自然共生サイト」認定における評価点

静岡製作所の緑地は、「自然共生サイト」認定基準の以下の項目に該当すると認められました。

  • (6)希少な動植物種が生息が生育生息している場あるいは生育生息している可能性が高い場

本サイトの「よりみち緑地」内では希少な植物が健全に繁殖を続けており、今後もその豊かな生育が期待されます。継続的なモニタリングを通じて状況を見守りつつ、当該種が好む環境が良好に維持されている点が評価されました。

認定基準について詳しくは、環境省「自然共生サイト」ページの掲載PDF「審査の観点(認定基準)」を参照ください。

PDF審査の観点(認定基準)新しいウィンドウが開きます

関連リンク

静岡製作所について

静岡製作所新しいウィンドウが開きます