コラム
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2002年 8月分 vol. 2
女性飛行士 「出産」のタイミング
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi

写真 この夏には角野直子飛行士に赤ちゃんが生まれる。ご主人はジャニーズ系のとっても美形な方だから、赤ちゃんはカワイイに決まっている。私は楽しみでしょうがない。

 国際宇宙ステーションの建設はじりじりと遅れるものだし、完成した後に滞在できる宇宙飛行士の数は3名か7名かも未だにはっきりしない。角野さんたち国際宇宙ステーションに滞在するための宇宙飛行士が実際に宇宙にいくのは、早くて4年先。今、子どもを産んで育てておくのは、結構いいタイミングと言えるかもしれない。

 NASAには、子どもをもつ女性宇宙飛行士がけっこういる。最初に飛んだ「お母さん」飛行士はアンナ・フィッシャー。夫のビル・フィッシャーとともに宇宙飛行士をめざしていたが1978年にアンナが合格。2年遅れでビルも宇宙飛行士に。そして1983年にクリスチン・アンが誕生。翌年の1984年にアンナはスペースシャトルで宇宙飛行をしている。

 だがこんなケースは珍しい。角野さんによると、実際には宇宙飛行士に選ばれた時にすでに子どもをもっている人が多いとか。スペースシャトルの宇宙飛行士に選ばれると初飛行が終るまで訓練などで忙しく、出産はどうしてもその後になってしまう。結果的に出産は40歳前後になり、産んですぐに宇宙飛行士に復帰、という人も増えているらしい。

 たとえば女性初の船長アイリーン・コリンズ飛行士。1990年にパイロット宇宙飛行士として女性ではじめて選ばれて1995年2月、1997年5月に飛行。そして1999年7月には女性初のコマンダー(船長)として飛行。約2年2~3ヶ月の間隔で飛行しているというのに、その間にいつのまにか女の子を産んでいる。来年初頭、野口飛行士が国際宇宙ステーション組み立てミッションに飛び立つが、船長はこのコリンズ飛行士。注目したい。

 妊娠といってもNASAはそれほど特別視していないし、子どもがいることは飛行メンバーを選ぶ時のハンデにもならない。もちろん、妊娠中はサバイバル訓練やプールにもぐる船外活動訓練などできないものもあるが、それも個人と医師が相談して決めるらしい。

 子どもを持つ持たないはまったく個人の自由。しかし自由に選択できる土壌がなければ、いつまでたっても宇宙は女性にとって特別な場所でしかない。