コラム
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2002年 12月分 vol. 7
タダで宇宙に行くには
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi

宇宙ステーション滞在の訓練をしていたランス・ベース。(左端)いっしょに訓練を受けていた右の二人は10月に宇宙に旅立ったのに。(提供:NASA) 宇宙旅行。市民に開放されたとは言っても二十数億円の旅行代を払うのは、やっぱり簡単じゃなかった。億万長者のチトー氏、シャトルワース氏に続いて2002年10月に3人目の宇宙旅行者になる予定だった、アメリカの人気グループ「インシンク」のランス・ベース。しかしランスのスポンサーの「料金未払い」で飛行はキャンセルされてしまった。

 宇宙飛行を目指して訓練を続けていたランス君をNASAのウェブサイトで発見(右の写真もその一枚)。悔しかっただろうなぁ。しかし彼の宇宙飛行は2003年4月にのびただけ、という説もある。新しくついたスポンサーはペプシ。しかもランス君の宇宙旅行はプロローグにすぎない。ランス君の宇宙飛行を見て興味をもった一般市民を宇宙飛行めざして競争させ、勝者を宇宙に招待するクイズ番組を企画しているというのだ。

 本当に実現するの? だってペプシで宇宙旅行と言えば、1998年に大々的にキャンペーンをはったもののまだ実現していない「2001 SPACE TOURS PEPSI」があったでしょう。目標の2001年は過ぎたのにまだ「飛んだ」とも「飛ぶ」とも聞いてない! そのギモンに今月のムービーで取材に行ったNTTトラベルサービスの横山さんが答えてくれた。

 ペプシと提携していた旅行社ゼグラム社は高度100kmまで上昇して帰ってくるシャトルを開発できず、懸賞当選者の権利はスペースアドベンチャー(SA)社が引き継いでいた。横山さんによると、技術的な問題より難しいのがアメリカ連邦航空局の許可をとること。安全性の確認のため飛行機と同様何百回ものテスト飛行を繰り返さないといけない。一方ロシアにはそれほど厳しい法律がない。SA社はアメリカとロシアで新型タイプのシャトルを開発中だが、法律の問題がないロシアのほうが早く実現するかもしれないそうだ。

 2005年ごろには高度100kmの宇宙旅行が開始される予定。お値段は9万8000ドルで、アラブの王様やハリウッド映画スターなど約100名が予約照会中だとか。でもお金を払わない方法もある。一つはリトアニアのスーパーマーケットチェーンIKIの宇宙旅行プレゼント懸賞に応募する。もう一つはUSエアウェイズで1000万マイルをためて宇宙旅行に招待してもらう。(1000万マイルはアメリカ大陸2000往復、地球400周に相当する)。どちらも非現実的か・・・。でも宇宙飛行士、大富豪に続いて「最強の運の持ち主」たちの宇宙旅行体験談を聞くのは楽しみ。いったいどんな人たちが、どんなコメントするんだろー。