コラム
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2003年 5月分 vol. 1
CDで楽しむ「小惑星探査機 打ち上げ」
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi

60分間、たんたんとくり返される「肉声の」カウントダウン。日本科学未来館ミュージアムショップ。定価520円。  いよいよです! 約3年ぶりのM-5ロケット打ち上げ。小惑星探査機ミューゼスCは約88万人の名前を積んで、遥かかなたの小惑星に向かう。打ち上げは5月9日午後1時29分25秒を予定。発射場は、宇宙科学研究所の鹿児島宇宙空間観測所。種子島ではないので、お間違えのないように。

 行きたくてたまらないけど、この発射場の難点は鹿児島空港から遠いこと。空港から鹿屋市までバスで1時間40分、鹿屋市からさらにタクシーで約1時間。レンタカーを借りるのが手っ取り早いけど山道で不安だし、GW明けで何かと忙しいし・・・と残念ながら行けないアナタに、打ち上げ気分を味わえるちょっとユニークなCDを紹介しましょう。

 まずは「カウントダウンCD」。宇宙科学研究所で実際にロケット打ち上げのために秒読みをしている管制官の肉声を録音したCD。「まもなくカウントを開始します。よーい、はい60分前、59,58・・・」で始まり、淡々とカウントダウンが続く。1曲(!)60秒のカウントダウンが全部で60曲。つまり全体で60分のカウントダウンというCD。(ちなみにゼロになっても、リフトオフ! なんて叫んだりはしません。)実はこのCD、2003年3月から東京・お台場の日本科学未来館で開催中の「時間旅行展」のグッズとして販売されているもの。ジャケットには、ロケット打ち上げに携わる人達のインタビューも掲載されていてる。H-IIAロケットのカウントダウンはコンピューターの音声だけど、こちらは肉声。ちょい低めの落ち着いた声。タイマーにも使えるって話しだけど、ロケットのカウントダウンの声を聞きながら料理を作ったら、キッチンに緊張感が漂いそう。

ミューゼスCの旅をイメージして作られたジャズアルバム「Lullaby of Muses」 Lyla Records  LRHL1003甲斐恵美子(ピアノ) 尾久土正巳(プロデュース)2667円(税抜価格) もう一つはちゃんと音楽のCDです。「Lullaby of Muses 」。ミューゼスCが打ち上げられてから、小惑星でサンプルをとり再び地球に帰ってくるまでの様々なシーンを11曲に表現したコンセプトアルバム。作曲した甲斐恵美子さんはジャズピアニスト。DSPACE5月のムービーに登場している矢野創さんがライナーノーツを執筆。ミューゼスCは世界初の技術が目白押しだけど、惑星探査ミッションのためにオリジナル曲を集めてCDを作っちゃった、というのも世界初では? やりますねぇ。ジャズセッションに時折加わる二胡の響きも心地よくてイイ感じ。

 今回の打ち上げは宇宙科学研究所のホームページで初めてライブ中継される。CDを聞きながら打ち上げ成功を祈ってます。


「カウントダウンCD」
http://www.miraikan.jst.go.jp/time/sovenir/s_02.html

「Lullaby of Muses」
http://www.lyra-records.com/

宇宙科学研究所 ライブ中継
http://www.isas.ac.jp/tv/live.html
(5月9日13時25分から20分間中継。接続は13時10分から)