コラム
前のコラム 救命医療の現場が変わる
次のコラム 野口宇宙飛行士 娘達…
2003年 7月分 vol. 1
英アーティスト 火星ミッションに参加
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


「ビーグル2」。ヨーロッパ宇宙機関の火星探査機がおろす着陸船。うまく着陸したら、英ロックバンド、ブラーの音楽が送信される。(提供:ESA)  最接近する火星に向けて、世界の火星探査機がドンドコ飛び出している。探査機ラッシュの第一号となったのが、6月2日(現地時間)に打ち上げられたヨーロッパ宇宙機関の「マーズ・エクスプレス」。2003年12月には火星に到着、クリスマス明けの26日には、探査機「ビーグル2」を火星表面に着陸させてしまう、名前のとおり「火星特急」だ。

 「ビーグル2」は、かつて大量の水があったと考えられている「イシディス平原」に着陸する予定。ビーグル2はカメラや顕微鏡の他に「もぐら」と呼ばれる小型の掘削機をアームの先に持っており、穴をほってサンプルを採取し分析。生命の痕跡が見つかるかも!?

 注目して欲しいのは「ビーグル2」が着陸する時に、聞こえてくる「音楽」。着陸に成功したら、イギリスのロックバンド、ブラー(BLUR)の曲が流れてくることになっているのだ。曲名はずばり「ビーグル2」。ビーグル2はイギリスが中心になって開発を進めている着陸機。科学担当のピリンガー教授の息子がブラーの大ファンだった。教授は火星探査ミッションの宣伝にもなる、とブラーに協力をもちかけ、実現。ブラーはライブの合間にファンに「ビーグル2って知ってる?」と語りかけ、売り上げの一部を探査計画に提供しているのだとか。

 「ビーグル2」にはもう一つ、アート作品が搭載されている。カメラの色調整用のチャート板を、ダミアン・ハーストが製作。ロンドン帰りの知人によると、「ダミアン・ハーストは、90年代の初頭にイギリスの若手のアーティストがYBA(Young British Artists)という呼び名でもてはやされていた頃、もっとも賛否両論にわかれて騒がれていた作家。牛の輪切りのホルマリン漬けの作品が有名。でもいまはもう大御所になっちゃった、って感の人。」だとか。

 宇宙とアートと言えば、現代美術の殿堂とも言われるロンドンの「テイト・ギャラリー」がホームページ上に宇宙ギャラリー構想「テイト・イン・スペース」を立ち上げ、実現可能な宇宙建築プランをコンペで募り、世界の建築家やアーティストが参加して話題になった。 名前を探査機につんでもらうアイデアもすごくいいけど、アートで宇宙に参加するっていうのもさらに遊べて楽しいかも。


着陸機ビーグル2 のページ
http://www.beagle2.com/index.htm