コラム
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2004年 9月分 vol.4
「世界一の星空を作る人」大平貴之さん(3)
プラネもロケットもやる。
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ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


大平さんは日本科学未来館の館長・毛利さんから「世界を目ざす男」と期待されている。プラネタリウムで?それともロケットで?どちらにしても目指すのは世界を超えて、宇宙だ。  小学生からプラネタリウムを作り続け、世界最多・500万個もの星を投影する「メガスターIIコスモス」を完成し、東京・お台場にある日本科学未来館で大好評投影中。これまで見たことのない星空を次々に見せてくれる星空の魔術師兼エンジニア、大平貴之さん。インタビュー3回目(2回目は7月でした。飛んじゃってゴメンナサイ)は「わびさび」の話から。

― 日本科学未来館の館長・毛利衛さんからは、「世界を目ざせ」と言われているそうですね。

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僕的にはメガスターってある意味日本的なもので、「わびさび」の世界だと思ってます。肉眼で見えないものが見える。「神は細部に宿る」みたいなね。そこはアメリカ人の発想ではなかなか出てこないものだと思う。アメリカのプラネタリウムは真ん中に投影機をおかないで、デジタル映像で全部やってしまう。それは一つのやり方としてはありだと思うけど、それだけで満足できないと思っているアメリカ人も多い。
 CGでなんでもできるし、メガスターでは再現できない星座の変形とか、宇宙に向かっていくこととかがテレビみたいにできるから、表現力は圧倒的なんですけど、星空を見上げた時の「わぁーっ」という感動は今のCG技術では出せない。
 その対極にある、日本的な「わびさび」のメガスターを逆に海外に出していく。日本の文化はなんでもアメリカナイズされてますけど、日本人ならではの文化を輸出したいです。

  ― 具体的に海外からのお話があったりするんですか?

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ありますよ。イベントの話とか販売の話とか。でもなかなか具体的に動くかっていうと、難しい。去年、会社をやめて1日24時間ずっと使えるから、さぞかし仕事の幅を広げられるだろうなと思ったんですけど、なんだかんだで時間が足りないですね。やみくもに組織にしちゃうと、一人でやっていく良さが失われてしまうので、難しいところです。

― そうですね・・・。500万個の星空を実現したメガスターの今後は?

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1000万個までは現実としてありうるでしょうね。でも、星の数を追求するのが最優先というよりも、むしろどこで見せるとか、何を組み合わせるとかアプリケーションの方が重要かなと思っています。技術開発としては、家庭用のダウンサイジングから超巨大空間に写す巨大メガスターまで是非やってみたい。こんなところに、家庭用の試作品があったりして(笑)、商品化も考えてます。

― うわ、是非買いたいですね! いつごろ買えますか?

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コストの問題もあって、時期は未定です。2〜3年先ぐらいかな。

― この先もずっとプラネタリウムを追求されるんですか?

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先のことはあんまり考えてない。そのときそのとき、風がふくように。プラネタリウムでこれから色々なことをやっていくけれども自分の手を離れていくと思うし、広がっていくのを上手く見届けていきたい。自分でも一台メガスターをもってオリジナルの意地を見せながら、使い手の一員として表現していく。メガスターはこうやって見せるといいんだぞーって(笑)。切磋琢磨して。あとは、ロケットをやってみたいな。

― やっぱり。大学生までかなり本格的に作ってらしたんですよね。

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実はまだ毛利館長には言ってないんですけど、未来館の人たちとこっそり話していたのは、毛利館長をもう1回宇宙にお送りするのはワタクシの役目かなと。そしたら「大平さんに本当に星にされちゃうだけじゃないの」って言われちゃいましたけどね(笑)。

 アメリカでは民間初のロケットが誕生しそうだし、 ロケットエンジニアとしての大平さんの活躍も是非見てみたい。 大平さんがどんな「風」に吹かれていくのか、今後も楽しみです。


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メガスターIIコスモス 日本科学未来館で公開中
http://www.miraikan.jst.go.jp/

大平貴之さんのページ
http://www.megastar-net.com/

水戸芸術館「カフェ・イン・水戸 2004」でもメガスターII公開中(10月3日まで)
http://www.arttowermito.or.jp/cafe2004/cafe04j.html