コラム
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2006年 6月分 vol.2
「3人ぐらし」復活。この夏、宇宙ステーションを見よう。
ライター 林 公代 Kimiyo Hayashi


NASAケネディ宇宙センターで打ち上げリハーサルを行うSTS-121クルーたち。左端がドイツ人宇宙飛行士のトーマス・ライター氏。(NASA)  野口聡一宇宙飛行士のフライトから約1年ぶり。やっとシャトルがこの7月、打ち上げを目指す。今回のフライトが成功すれば、いよいよ国際宇宙ステーション(ISS)の建設再開。実験棟「きぼう」を早く打ち上げたい日本にとって絶対に成功してほしいミッションだ。クルー達は6月中旬、NASAケネディ宇宙センターで打ち上げのリハーサルに参加した。

 今回のミッションで注目されるのは、ドイツ人宇宙飛行士トーマス・ライター氏。彼はシャトルでISSにドッキング後そのままISSに約半年間滞在する。ヨーロッパの宇宙飛行士がISSに長期滞在するのは初めて。1958年、フランクフルト生まれのライター飛行士は、1995年にロシアの宇宙ステーション・ミールに179日間滞在した実績をもつ、ベテラン宇宙飛行士だ。今回の長期滞在中は物理学やライフサイエンスなど約20種類の実験を行うほか、ヨーロッパ人で初めて船外活動を行う予定。

 現在ISSにはロシア人とアメリカ人、計二人の飛行士が滞在しているが、ライター飛行士が加わると2003年5月以来、約3年ぶりに国際宇宙ステーションが3人体制に戻る。しかも9月半ばには、日本人のDice-k(榎本大輔)氏がツーリストとしてISSを訪れるので増々、にぎやかになるだろう。色んな国の人が頻繁に訪れてこそ「国際宇宙ステーション」。よろしいじゃないですか。ちなみにライター飛行士は、STS-116ミッションで地球に帰還。女性のサニタ・ウィリアムズ飛行士がライター氏の後に長期滞在に入る予定だそうだ。

 さて、話題の国際宇宙ステーションが、けっこう頻繁に日本上空を通ることを皆さんは、知っていますか? しかも、わりと簡単に見つけられるのです。東京工業大学附属科学技術高等学校科学部では、生徒が中心となってこの夏休みに国際宇宙ステーションを楽しむイベント「Discover the ISS」を行う。 見る・撮る・計算するの3つのコーナーがあり、ウェブサイトを使える環境にあれば、全国各地どこでも、好きな方法で参加することができる。

東工大付属高校科学部の夏休みイベントの一つ「ISS、撮れルンです!」のコーナーでは、簡単なISSの撮影の仕方も紹介している。他にも中高生にお勧めのISSの軌道計算のコーナーもある。(提供:同校科学部)  たとえば「ISS、見-つけた!」というコーナーでは、JAXAのウェブサイト等の情報を参考にISSの見つけ方が紹介されている。アナタがISSを見た日時、場所、ISSの方角を、同校科学部のウエブ上の専用ページから報告すると、生徒さんたちが集まった報告を元に日本地図上に色を塗っていく。情報が多ければ多いほど、国際宇宙ステーションの通った道筋、つまり「宇宙飛行士の足跡」を詳細に作ることができる、ということでより多くの方たちの参加を呼びかけている。

 同校科学部では、約5年前から「スペース・シャトルウォッチング」を始め、野口飛行士のフライトでも試験運用を実施。「初めて見た時、あそこに宇宙飛行士が乗っていると思った瞬間、宇宙がググーッと近づいてきた気がした。この思いをみんなと共有したい」という生徒たちの思いが原動力となり、顧問の小菅京先生と取り組んできた。

 実は私も、近所のスーパーの駐車場で夕食のお買い物時に、偶然ISSを発見。飛行機のようだけど、音もなく静かに動いていく物体を見たときに「ISSだ!」と直感。JAXAのウェブで軌道を調べると、まさしくISSだった。科学部の生徒さんと同じように、「宇宙とつながった」ような、ハッピーな気持ちになった。この夏休み、ぜひお勧めです。


東京工業大学附属科学技術高等学校科学部
国際宇宙ステーション観測イベント"Discover the ISS"
http://www1.hst.titech.ac.jp/club/sci_club/event.html