みなさん、こんにちは。秋も深まり、冥王星が見えているへび座も、だんだんと西の空低くになってきました。もちろん、冥王星は14等級と暗いので望遠鏡を使わないと見えませんが、もうすぐ沈んでしまうと思うと、少しさびしい気分です。
この仕事をしていると、天文ニュースに対するお客様の反応をダイレクトに感じることができます。この夏の冥王星の話について、プラネタリウムの現場ではどのようなことが起こっていたのか、みなさんにお伝えしたいと思います。
■お客様の反応は…
8月17日の朝刊に「惑星が12個になる!?」という記事が出ました。始めは惑星を増やす案が大きく取り上げられましたね。職場でも早速文字スライドを作り、その日のプラネタリウムで解説しました。当初のお客様の反応は「へぇー」と感心するようなものでした。
数日後、一転して冥王星が外れる案が大きく出ると「えーっ!」という驚きに変わりました。
「最近ニュースになっている星を知っていますか?」
「めいおうせーい!!」
幼稚園くらいの小さな子ども達まで、大きな声で答えてくれました。私が出演しているラジオのこども電話相談室でも、最初の質問は「なぜ冥王星が外れてしまったの?」というもので、関心の高さを実感しました。小学生の女の子が夏休みの宿題に冥王星のことを書こうと、いろいろ質問をしては一生懸命メモを取る姿が印象的でした。
「せっかく惑星の名前を覚えたのに、冥王星が外れてさびしい…」と話しかけてくれた子がいました。その子にはそれが素直な感想なのでしょう。でも私達はそれに対してこう答えます。「冥王星がなくなったわけではないよ。惑星組から、矮惑星組にクラス替えしたようなものだから悲しまないでね。天文学が進歩して、新しい星のクラスができたんだよ。これはすごいことなんだよ!」
■月より小さい冥王星
今回のニュースについてわかりやすく伝えたい…私達解説員も様々な工夫をしました。冥王星の軌道の解説、冥王星の写真、冥王星の見えている場所…。中でも、冥王星の大きさには大人の方も驚かれていました。地球と月と冥王星の大きさを比較すると「月より小さいんだ!」という声が聞こえてきました。プラネタリウムの解説中に大人の方の反応の声が聞こえてくるのはめずらしいことです。それほど、冥王星についてあまり知られてい
なかったのだと思いました。
■プラネタリウムでは大変だったか?
友人達から「冥王星が惑星から外れて、プラネタリウムも大変でしょう?」という心配の言葉をいくつかもらいました。実際は、肉眼で見えない星なのでプラネタリウムでは映しておらず、特に大変なことはありませんでした。むしろお客様の関心がグッと高まる、よいニュースだったと思います。解説を聞いたお客様が喜んでくださる姿を見て、プラネタリウムでタイムリーな情報を提供する大切さを改めて感じました。
■まだまだこれから!冥王星探査
2015年、アメリカの探査機ニューホライズンズが冥王星に到着する予定です。その時私達は初めて、冥王星の詳しい姿を目の当たりにするのです!今の子ども達が大きくなって冥王星の写真を見た時、どのような感情を抱くのか、とても興味があります。私自身、今回の出来事で、ニューホライズンズの冥王星到着がますます楽しみになりました。
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