三菱電機FAについてThe Road to Automating the World
FAシステム事業 関係者インタビュー

データの活用を通して、
「ものづくり」をもっと楽しいものに三菱電機 名古屋製作所 生産システム推進部
デジタルマニュファクチャリング技術グループ
Associate Expert
辻田洋平(つじた ようへい) 2018年入社
2025-07

三菱電機FAシステム事業では、多様な従業員が、それぞれの想い・技術・こだわりを存分に発揮し、共通の旗印である“Automating the World”の実現を目指している。そのリアルな肉声を、世界各国からお届けする『The Road to Automating the World』。今回は、名古屋製作所の生産システム推進部デジタルマニファクチャリング技術グループで、デジタル技術を活用した“ものづくりの変革”に取り組む辻田洋平に話を聞いた。
トライアンドエラーを重ねた量産技術開発
── 三菱電機へ入社されたきっかけについてお聞かせいただけますか?
辻田:子供のころからものづくりが好きでしたので、将来は技術者として活躍したいと考えて機械・電気・画像処理など幅広い分野を学べる大学に進学しました。卒業後はパソコンや携帯電話の基板を製造する企業へ就職し、生産技術職として10年ほど従事。やがて「より幅広くものづくりに携わりたい」と思うようになり、転職を決意しました。いくつかの候補の中から最終的に三菱電機を選んだのは、FA製品の製造に携わることで、さまざまな業界のものづくりに貢献できることに魅力を感じたからです。入社後は新しいことにも積極的に挑戦し、自らのスキルアップと業務範囲の拡大に努めてきました。

── 三菱電機でこれまでに携わってきた業務について教えてください。
辻田:入社して最も長く携わったのは、サーボモータ「HKシリーズ」(2019年リリース)の量産技術開発です。その中で、私はモータの小型化・損失の低減につながる“かしめレス鉄心”という工法の量産技術確立に取り組んできました。 この工法は従来と比較して平均25%の鉄損低減、最大20%のモータの小型化を実現できるため業界内では非常に注目されています。最近では、特に電気自動車向けに新規参入する企業が増えてきている製造技術ですが、当時は量産化が難しいとされていました。
── 量産技術開発に取り組む中で、どのような課題に直面しましたか?
辻田:かしめレス鉄心は、かしめと呼ばれる金属のくぼみの代わりに接着剤で板材を積み上げる技術なのですが、量産化技術においては生産性を確保しつつ、接着不良をいかに減らすかが大きな課題でした。この課題を克服するため、0.001秒単位での接着剤の制御や、温度条件などを考慮し、接着不良が起きる要因を細かく検証しました。いくつもの仮説を立てて、その仮説が正しいかをデータで検証しながら、最適解が見つかるまで何度もトライアンドエラーを重ねました。その結果、影響の大きな原因の特定と、その対策を講じることができ、量産可能な技術の確立を実現しました。

データの活用によるものづくりの変革に挑戦
── 現在は、新たな分野で活躍されているようですね。
辻田:2025年4月からは、デジタル技術を活用した“ものづくりの変革”に挑戦しています。製造現場では多くのデータが取得されていますが、まだ十分に活用されているとは言えません。そこで現在、名古屋製作所内で、「PoC(Proof of Concept=概念実証)」を進めています。具体的には、ローコードツールなどを用いて、これまで眠っていたデータをどのように活用できるかを検証しています。

── そのような仕事を通じて、どのようなところにやりがいを感じますか?
辻田:サーボモータの製造技術開発やデータの活用の取り組みにおいて、自らのアイデアや創造性を活かし、新しいことに挑戦できる点に大きな魅力を感じています。また、転職前はFA製品のユーザー側でしたが、現在は開発側でもありながら時にはユーザー側の立場に立つこともあります。その両方の経験を活かし、開発に携わる際にも常にユーザー目線を大切にしながら業務に取り組めることに大きなやりがいを感じています。
── そんな「ものづくり」の魅力と、今後の目標についてお聞かせください。
辻田:自分の新たなアイデアがカタチになり、お客様にご使用いただき、さらには喜んでいただける瞬間に出会えることが、ものづくりの醍醐味だと感じています。一方で、ものづくりの競争は年々激化し、変化への迅速な対応が求められています。そのためには、データの活用が欠かせません。データを活用することで、品質の向上だけでなく、コストの可視化や迅速な意思決定が可能になります。今後の目標としては、そうした取り組みを通じて、ものづくりをより楽しく、魅力的なものにしていきたいと考えています。

この記事は2025年7月のインタビューより書き起こしたものです。