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知っ得マナー
昼の10分は夜の1時間に匹敵!? 脳をクールダウンさせる仮眠術

2018年12月公開【全1回】

脳を緩める

仮眠の効果を最大限に引き上げる6カ条

Adviser

雨晴クリニック副院長

坪田 聡さん

Tsubota Satoru

1963年、福井県生まれ。日本医師会、日本睡眠学会などに所属し、睡眠の質を高めるための指導や普及に努める。『世界の超一流の人だけがこっそりやっているパワーナップ睡眠法』(フォレスト出版)など、著書多数。

1

眠気を先取りして仮眠

一度睡魔に襲われたら、振り払うのは至難の業。重要なのは、それ以前の眠気が少ない時点で仮眠すること。「眠気がピークに達してから眠るより、短時間で脳をリフレッシュでき、覚醒後の仕事の効率が上がります」(坪田さん)。「資料を読んでも内容が頭に入りにくい」など集中力の低下に気づいたら、本格的な眠気が起きる前に先取りして仮眠しよう。

2

50代までの仮眠は20分以内

脳も体も休息状態となる深い眠り「ノンレム睡眠」は4段階からなり、段階が上がるほど眠りは深まる。脳を休ませつつ、スムーズに覚醒するには、第2段階で起きることが必須。それには、20分を仮眠時間の目安としよう。ただ、年齢を重ねるほど寝付きが悪くなり、第2段階に至るまでに時間を要しがち。50代以降は30分を、仮眠時間の目安にしたい。

  • ノンレム睡眠の
    “ 第2段階 ” で起きる

    ある程度眠った満足感を得られ、即座に脳の冴えを取り戻すにはノンレム睡眠の第2段階で起きたい。理想は「寝付くまでに5分」+「ノンレム睡眠の第1段階が5分」+「第2段階に入ってから9分後に覚醒する」=約20分の仮眠を取ることだ。

  • ノンレム睡眠には4段階の深さがあるノンレム睡眠には4段階の深さがある

    ※坪田聡著『不眠症の科学』(ソフトバンククリエイティブ)を基に編集部で作成。

  • 20分仮眠の理想モデル20分仮眠の理想モデル
3

「15時までに」が鉄則

仮眠のベストタイムは、午後の眠気がピークに達する14~16時より前の12~14時頃。夜の寝付きに悪影響がないよう、遅くとも15時までには仮眠を取ろう。また、仮眠を取る日と取らない日とが繰り返されると、体内時計のリズムが整いにくい。「昼食後に20分寝る」など、日々同じ時間帯に仮眠を取るのが一番だ。

  • 昼間の眠気の
    ピークは14~16時

    体内時計のリズムにより、眠気のピークは日に2回訪れる。1回目は2~4時頃、2回目は14~16時頃だ。

  • 眠気のリズム眠気のリズム
  • ※堀忠雄編著『睡眠心理学』(北大路書房)を基に編集部で作成。
4

直前にカフェイン摂取

カフェインは脳を興奮させ集中力を高めたり、眠気を誘う睡眠物質「アデノシン」の働きを邪魔し、眠気を感じなくさせたりする作用がある。効果は摂取の20~30分後に表れる。仮眠直前に取れば、目覚めた直後から脳が働きやすくなる。カフェインは緑茶や紅茶にも含まれる。コーヒーが苦手ならお茶を飲むのも手だ。

5

スマホOK、ゲームNG

スマホ画面が発するブルーライトは、眠りを誘う睡眠ホルモン・メラトニンの分泌を抑えるため、スマホを夜見ると寝付きが悪くなるとされる。だが「そもそも日中のメラトニン分泌量は微量。仮眠前にスマホを見ても寝付きが悪くなる恐れは小さい」。一方、ゲームの強い光は脳を興奮させる。仮眠前の使用はNG。

6

寝そべらない

仮眠を取るときは姿勢にも留意したい。横になったほうが楽だが、体に負担がかからない分、本格的な熟睡モードに入ってしまいやすく、20分で起きるのがつらくなる。適しているのは「椅子にもたれる」「机に伏す」など、浅い睡眠を保てる「座ったまま」の姿勢。体を締めつけるネクタイやベルトは緩めよう。

 

 人は人生の3分の1を眠って過ごす。かくも長い眠りを要するのは「体ではなく脳」と、睡眠専門医の坪田聡さん。「睡眠は脳の機能維持のための仕組みといってもいい。十分な睡眠なしには、脳は持てる機能を発揮できません」。
 起きている間、脳は目や耳などの知覚機能から多くの情報を入手し、全身に指令を送る。「その時間が長引くほど脳は疲労し、やがて集中力や記憶力が落ちた『フリーズ状態』に陥る。解消法はただ1つ。情報を遮断し、ほてった脳を休ませる睡眠以外ありません」。

 睡眠不足は頭のえを鈍らせるだけでなく、認知症やうつ病のリスクも高める。寝不足が慢性化すると多幸感をもたらすセロトニンが減る一方、脳内細胞を破壊し、認知症を引き起こすアミロイドβが蓄積しやすくなるためだ。

 「脳の健康維持のため、確保すべき睡眠時間は7~8時間」と坪田さん。とはいえ、連続してそれだけ眠るのは難しい人も多いだろう。そこで取り入れたいのが仮眠の習慣だ。「20分程度でOK。この程度の短い仮眠でも脳の疲れが軽減され、集中力や認知能力が高まることが実証されています。昼の10分は、夜の1時間に匹敵するほどの効果も。仮眠によりセロトニンが増加し、アミロイドβが排出される可能性もあり得ます」。

 仮眠のコツは上の6つだが、特に重要なのが、眠気を「先取り」して仮眠することだ。体内時計のリズムにより、人は深夜2~4時のほか、14~16時にも睡魔に襲われる。「“ 眠気のピーク “ に眠ると熟睡になってしまい、覚醒後も眠気を引きずりがち。眠気が少ない時点で眠ったほうがすっきり目覚められ、即仕事モードに戻れます」。

 仮眠が難しければ、せめて1分でも目を閉じよう。「脳への情報は視覚からが8割以上。情報流入を短時間止めるだけでも脳は休めて、本来の能力を取り戻せます」。

仮眠後に頭をすっきりさせる秘訣

  • ガムをかむ
  • 冷たい水で顔を洗う
  • 伸びをする
  • 人と会話をする
  • 明るい所に行く

睡眠中、自律神経は副交感神経が優位になる。起きて即、頭をスッキリさせるには、体に何らかの刺激を与え、交感神経を優位にすることが重要。左は自律神経を交感神経優位に切り替える刺激策。自分に合った方法で脳を目覚めさせよう。

睡眠中、自律神経は副交感神経が優位になる。起きて即、頭をスッキリさせるには、体に何らかの刺激を与え、交感神経を優位にすることが重要。上は自律神経を交感神経優位に切り替える刺激策。自分に合った方法で脳を目覚めさせよう。

文/籏智優子 写真/PIXTA

※この記事は『日経おとなのOFF』掲載記事を再編集して構成したものです。

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