海外レポート
第二工場新設で中国へのe-F@ctory浸透を加速
~三菱電機自動化機器製造(常熟)有限公司~
2017年8月公開
「MEAMCは2011年に常熟市に設立、2012年から生産を開始した三菱電機のグループ会社です。もともと中国でのFA機器生産は大連で行っていたのですが、生産拡大をはかるため人口の多い上海に近い常熟に工場を建設することにしたのです。当初はCNC(数値制御装置)から生産を開始し、その後中国製造業の自動化・省力化の需要拡大を受けて、2014年からサーボアンプやモータ、表示器などFA機器全般に生産品目を拡大しています。」
「中国でのFA機器生産を担うMEAMCが基本方針としているのが『地産地消』です。地産は、中国という地域で販売するFA機器は中国で生産するというスタンスです。中国で販売する製品を日本で作って持ち込む形を取ると、通関などでどうしても時間がかかってしまいます。しかも中国の工場は大規模なものが多いためか、一度の受注量も大規模なことがあります。中国内で作ることにより、智能製造の実現にスピードをもってあたることが可能です。」

「地消は、製品に必要な部品は中国で作られたものを可能な限り使う、すなわち現地調達を推進するという方針です。部品を日本から運び込むと、コストも納期もかさんでしまいます。しかし概して中国のメーカーが作る部品には、日本のメーカーが作る部品のような高い品質を望めない場合もあります。それでも最終的な製品は、日本で作ったときと同じ品質基準を遵守する必要があります。そこで中国のサプライヤ候補に対して細かな品質指導を行い、日本の名古屋製作所での品質試験にパスさせたうえで、正式に調達するようにしています。常熟に工場を作った当初、現地調達は皆無でしたが、現在は主要部品だけでも約60社のローカルのサプライヤがいます。中国の製造業60社のものづくり改善に、MEAMCが直接貢献しているわけです。」
「工場独自の改善活動も推進しています。中国は人材の流動性が高いこともあり、継続的な技術指導が必要です。チームごとの業務改善活動などを通じて、ものづくりに不可欠な人材育成を進めています。」

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「中国にe-F@ctoryを浸透させる立場として、MEAMC自身もe-F@ctoryによるスマート化を実践しています。e-F@ctoryによるエネルギー管理はその一つです。常熟市のあるエリアは、夏は高温多湿で湿度が90%に達するときもあり、部品のさびを防止するために除湿機の稼働が欠かせません。一方で冬は乾燥しており、電子基板に悪影響を与える静電気対策として加湿器を動かす必要があります。以前はそれらを24時間稼働させていたのですが、e-F@ctoryで実際の温湿度をもとに細かく制御するようにしたことで、約30%の電力削減を実現しました。その他にも照明のオンオフ制御や、工場からの排出物の処理にもe-F@ctoryを活用しており、e-F@ctoryがスマート工場実現に寄与することを自ら体現しています。」
「こうした取り組みなどから、MEAMCはIoTを活用した最新工場として知られており、常熟市のある江蘇省だけでなく、中国全土から視察が訪れています。常熟エリアの工場視察コースの “定番” として組み入れられているほどです。新たに稼働を始めた第二工場も含め、e-F@ctoryのソリューションを製品、事例の両側面から、中国に浸透させていきたいと考えております。」(談)
第二工場新設で中国でのFA機器生産を拡大
2017年4月、MEAMCの従来の工場(第一工場)に隣接する形で、第二工場が新たに稼働を開始しました。智能製造に向けた動きが活発化する中、三菱電機のFA製品に対するニーズが中国で急速に盛り上がっています。そこで第一工場に加えて第二工場を建設し生産体制を強化することで、拡大するニーズに応えることにしました。

第二工場は第一工場と同様に、e-F@ctoryを具体的に適用したモデル工場としての役目も持ち、次世代のものづくりに関心を持つ中国の製造業関係者の視察も受け入れていく方針です。第一工場内にはe-F@ctoryによるスマート工場の全体像を紹介するビデオや、個々のソリューションなどを展示するショールームもあり、具体的なイメージを持っていただくための情報を提供する機能を備えています。

第一工場内に設けられたe-F@ctoryのショールーム
- 要旨
- 第二工場新設で中国へのe-F@ctory浸透を加速 ~三菱電機自動化機器製造(常熟)有限公司~