Factory Automation

海外レポート

中国でも進む「e-F@ctory Alliance」のパートナー協業

2018年3月公開

中国で2015年12月に発足した中国版e-F@ctory Allianceは、中国の顧客への提案を推進するために、工業博覧会への共同出展やイベントの共同開催などを主な活動として行っています。その活動の中から具体的な成果も生まれており、案件によっては日本のe-F@ctory Allianceに参画するパートナーも協力し、中国のベンダだけでは困難なソリューションを構築するなど、国境を越えたパートナーの連携も進んでいます。3回目の開催となった2017年度年会は、そうした活動事例などを紹介するものとなりました。

もともとe-F@ctory Allianceは、e-F@ctoryをもとにしたソリューションを提供するパートナーを対象としたプログラムとして、日本で発足しました。FAとITを融合させたソリューションであるe-F@ctoryは、生産現場の各装置から管理部門の分析環境までカバーする範囲が広く、一つのベンダですべて対応できることはほとんどありません。そこでさまざまな特徴を持ったベンダが協力し、トータルでソリューションを組み上げていくことを目指して、パートナー同士が協業するための組織として発足したのがe-F@ctory Allianceです。ハードウエアを提供する機器パートナー、ソフトを提供するソフトウェアパートナー、インテグレーションを行うSIパートナーが参画しています。

その後e-F@ctoryのグローバル展開の加速に伴い、日本国内だけでなく海外でもパートナー同士の協業が求められるようになりました。そこでe-F@ctory Allianceを主催する三菱電機では、海外でも同様の協業プログラムを順次発足させています。中国では2015年12月に約40のパートナーによって中国e-F@ctory Allianceが発足。2018年1月時点では約120の企業や団体が会員として参画しています。中国の現地企業だけでなく、日本大手製造業メーカや世界著名なITベンダーなどのグローバル企業が会員として名を連ねるほか、清華大学や上海工業自動化儀表研究所など中国の工業分野で著名な大学や研究機関も含まれています。

中国では現在、製造業高度化の国家プロジェクト智能製造と、それを具体化する手段の一つである「智能製造」の実現を目指すさまざまなプログラムが進められています。スマートなものづくりを目指す智能製造では、機械や装置が生成する情報の有効活用とそれをもとにした自動化の推進が求められます。e-F@ctoryはその智能製造の実現手段として中国の製造業から注目されていますが、実際のソリューション提供には中国に根ざした地元ベンダの存在が欠かせません。そこで先進的なものづくりのノウハウを持つ日本のベンダと、現地で機動的なサポートが可能な中国ベンダが協力できる体制を作る機能を、中国のe-F@ctory Allianceが担っています。

智能製造モデルライン開設などを紹介


会の冒頭で挨拶する上海工業自動化儀表研究所の陳雲麒副院長

上海のホテルで行われた年会にはe-F@ctory Alliance会員企業100社から150名が参加。参加者を代表して上海工業自動化儀表研究所の陳雲麒副院長が中国製造業の自動化に対する三菱電機への期待を述べた後、三菱電機自動化(中国)有限公司のe-F@ctory推進統括部長の竜正城が、智能製造実現に向けたe-F@ctoryのソリューションを紹介しました。智能製造を推進するために、e-F@ctoryではエッジコンピューティングなど新たな技術を確立しており、それを具体化するためにはパートナーの力が必要なことを強調しました。


会の冒頭で挨拶する上海工業自動化儀表研究所の陳雲麒副院長


「Edgecross」について解説する
三菱電機FAソリューション事業推進部
FAソリューションシステム部次長の溝上悟史

三菱電機自動化(中国)有限公司e-F@cotry推進統括部戦略顧問の戎罡は、中国で進むe-F@ctory展開のプロジェクトとして、ITEI(機械工業儀器表総合技術経済研究所)に設けられた智能製造のモデルラインと、常熟グリーン智能製造技術イノベーションセンターの2つを紹介。また三菱電機名古屋製作所e-F@ctory推進統括部副部長の溝上悟史は、FAとITをつなぐ共通のオープンプラットフォーム「Edgecross」について解説しました。生産現場から集めたデータをFAとITの境目(エッジ)部分で分析するプラットフォームで、FAとITの統合が容易になり、IoTを活用した智能製造が進むことを強調しました。

パートナー各社による実際の連携事例の発表も行われました。NECはIoT基盤の「NEC Industrial IoT Platform」をEdgecrossに対応させる方針を示し、Schaefflerはベアリングなど機器の状態検知を可能にするソリューション「FAG SmartQB」を、三菱電機のシーケンサなどと組み合わせて活用する事例を説明しました。上海大制科技は機器の予知保全を可能にするクラウドベースのソリューション「iCare」を、三菱電機との連携で実現していることを紹介。またユーザー事例として南京電子熊猫集団は、ロボットによる加工やAGV(自動搬送機)による工場内搬送などを、e-F@ctory対応製品群で制御している事例を解説しました。


「Edgecross」について解説する
三菱電機FAソリューション事業推進部
FAソリューションシステム部次長の溝上悟史


2018年度の活動計画を説明する
三菱電機e-F@ctory推進統括部戦略課長の笠原陽介

会の最後には三菱電機e-F@ctory推進統括部戦略課長の笠原陽介が、中国のe-F@ctory Allianceの2018年の活動計画などについて説明。パートナー同士の協力を支援していく方針を示すとともに、さらに1年後の年会にはさらに多くのパートナーが参加することを期待して、会を締めくくりました。


2018年度の活動計画を説明する
三菱電機e-F@ctory推進統括部戦略課長の笠原陽介

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