海外レポート
中国政府系機関と「智能製造」実現支援で
戦略的パートナーシップ締結
2018年8月公開
三菱電機は2017年にはITEIの施設内にe-F@ctoryのコンセプトに基づいたモデルラインを構築。モデルラインはフォトフレームの生産ラインを模したもので、顧客の要求仕様に基づいてカスタマイズした製品を生産し、倉庫に収納するものです。一連の工程が自動化と情報化されており、中国の製造業に智能製造の世界を具体的に提示しています。


調印式でのITEIの欧陽劲松所長(左)と三菱電機社長の杉山武史(右)
三菱電機はこのたびそのモデルラインをバージョンアップ。生産現場から収集したデータを現場で処理する「エッジコンピューティング」の機能などを新たに設けました。同時に人材育成などの面でITEIとの関係をさらに強化する方針で合意し、その調印式を行うことになったものです。
中国国家標準規格の取得に向けて協力

覚書にサインするITEIの欧陽劲松所長(左)と三菱電機(中国)有限公司董事長兼総経理の富澤克行(右)
今回の調印式はモデルラインのあるITEIの施設にて開催しました。ITEIの欧陽劲松所長と三菱電機(中国)有限公司董事長兼総経理の富澤克行の間で調印が行われ、覚書を交わしました。続いて日本から調印式に参加した三菱電機執行役社長の杉山武史があいさつ。「モデルラインで検証した技術について、ITEI様と協力しながら中国国家標準規格取得に向けて取り組んでいきます」と抱負を語りました。
挨拶する三菱電機社長の杉山武史
ITEI欧陽劲松所長

式典後に日中のメディア向けに行われたプレスカンファレンス
式典後に日中のメディア向けに行われた会見では、杉山は「中国市場での成長なくして当社の成長もありえません」と、中国市場への強いコミットメントを示しました。
また富澤は、モデルラインの今回のバージョンアップで加えられたエッジコンピューティングについて言及しました。「IoTで工場から集めるデータは、コンシューマ系のデータとは違い、リアルタイムで活用すべきものと、蓄積してから活用するものに分かれます」(富澤)と指摘。データとそこから導き出される分析結果によって使い分ける必要があり、現場でリアルタイムに分析するものにはエッジコンピューティングを適用していく必要性を強調しました。またエネルギー利用についても、エネルギーを必要な時に必要なだけ供給する「エネルギーのジャストインタイム」(富澤)を広めていく方針も、同時に示しています。

会見で質問に答える三菱電機(中国)有限公司董事長兼総経理の富澤克行
ITEIの新しいモデルラインは、e-F@ctoryに基づいているものの、そこでは中国メーカー製ロボットも使われているなど、e-F@ctoryのオープン性も象徴したものになっています。日本のシステムをまるごと全部中国に持ち込むのではなく、中国のパートナーと協業しながら中国のものづくりに合致したソリューションを提供していることが、ITEIとのパートナーシップが実現した理由の一つでもあるようです。

- 要旨
- 中国政府系機関と「智能製造」実現支援で戦略的パートナーシップ締結