0その2

いまさら聞けない人工知能・その2
「AIができること」

1 AIって、
こんなことができる

活躍しはじめる、人工知能

「いまさら聞けない人工知能・その1」では、「そもそもAIとは何か」についてふれました。あらゆるものがインターネットに接続され、データが容易に収集できやすくなった時代。3度のAIブームを経て、その大量のデータをもとに、学習を重ねるAIがいよいよ実用化の段階に入っています。

コールセンターの問い合わせに自動で回答を選別し応答、保留時間を短縮するAIや、画像解析をもとに生産効率を向上させる「よい苗」を選別してくれるAI、落書きを検知し、プロ級のイラストに変換するAIなど…すでに様々な分野で実用化に向けた動きがはじまっています。

AIを支える[ビッグデータ]って?

AIが機能するために欠かせないのが[ビッグデータ]。最近よく聞くワードですが、一体どんなものをそう呼ぶのでしょう?
[ビッグデータ]は「人が行動し、発言することで集まるあらゆるデータ」のこと。

気象情報や交通情報などのデータから、何をどこで買ったか、どんな動画や画像をダウンロードしたか、などの行動はもちろん、みなさんが日々投稿するSNSの情報もまた、総じてビッグデータなのです。以前は膨大すぎて扱いきれなかったデータも、データ処理や分析の高速化によって、AIにいかせるようになってきました。

CHECK!

AIがビジネスでも活用されはじめている。その鍵が[ビッグデータ]。大量の情報で予測の精度が上がったんですね。

2 映像を解析するAI

人にはできなかったことができる?

さて、そんなビッグデータを有効活用するAI。特にめまぐるしい「映像解析」の分野に注目してみましょう。
例えば居酒屋で、お客さんが飲んでいるビールの減りを確認できたら、お店として最適なタイミングで2杯目をおすすめできるかもしれない。

映像を解析し、人ではカバーできない範囲まで目が届くAIに期待が集まっています。

監視カメラにもAIを?

これまで、定点観測だけだった監視カメラも、AIの導入で「気づけなかったこと」や「想定しにくかった未来」を予測したりできるようになることが期待されています。

広い施設で「車椅子の人」「盲導犬連れの人」をAIが検知し、施設のサービス員へ、リアルタイムに連絡し誘導を補助する[おもてなしのAI]
「長時間座ったまま動かない不審者」や「禁止エリアに立ち入った子ども」などを警備員に連絡し、事故や事件を未然に予防する[セキュリティーのAI]
施設の混む場所や時間帯、出入り口・エレベーター・エスカレーターの利用人数を把握することで、スタッフの適切な人数や配置など、販売計画に役立つ[マーケティングのAI]

人ではカバーしにくい部分にまで分析できる、精度の高いAIの登場により、商業面でも正確で効率的な役割を担うようになってきました。

CHECK!

人間ではむずかしい、大量のデータ処理や長時間・細かい部分の解析などに、AIが期待されている。

3 ディープラーニング、
何がすごいの?

[ディープラーニング]でAIは発展した?

[第3次AIブーム]をもたらした「機械学習(=人工知能自身が学習し、精度を上げていくこと)」が人工知能の進化のポイントであることを前回お伝えしましたね。

機械学習の中でも、さらに進化した[ディープラーニング]と呼ばれる技術で、先ほどの映像解析の分野も含め、人工知能は飛躍的な発展を遂げることになります。[ディープラーニング]、最近よく耳にするようになりましたね。
[ディープラーニング]は[特徴表現学習]とも呼ばれる学習技術のこと。一体なんなのでしょう?

「分ける」特徴を自分で学習する?

例えば「猫」の画像が大量にあるとして、人工知能にその画像を読み込ませると、AIが「猫の特徴」を自動で学習していきます。「耳が立っている」「背中が丸まっている」「四足で歩く」「人間と暮らすこともある」などなど。この「特徴表現」を複合的に分析し、読み込ませたことのない動物の画像を「これは猫だ」「これは猫じゃない」と自動で判断していく学習技術。それを[ディープラーニング(特徴表現学習)]と呼ぶのです。そう、この学習の根本である、何かと何かを「分ける」精度が格段に進化したことにより、AI自身が飛躍的に成長することとなったのです。

これは、通販ウェブサイトで大量のユーザーレビューを「ポジティブデータ(=好意的な意見)」「ネガティブデータ(=好意的ではない意見)」に分ける技術などにも期待されています。買い物をする場合の判断基準に、AIが大きく貢献する時代も、そう遠くないのかもしれませんね。

CHECK!

大量のデータから「特徴」を見つけ出し、何かと何かを『分ける』。この学習能力が日々向上しているんですね。