Round-trip Letters
カヒミ・カリィ × Hello,AI Lab

【 Vol.01 From k.k 】
はじめまして。

それは、文通のようなメッセージ。以前からAIの可能性に注目していたアーティスト、カヒミ・カリィさんと、三菱電機の研究者集団「Hello,AI Lab」が、AIについて語り合いながら、発見や気づきをやり取りするコラムです。

1 はじめまして。

新しい時代。
新しい価値観。

初めまして。カヒミ・カリィです。 私は娘を出産したのを機に住まいをNYに移して、子育てに奮闘する日々を送っています。
それまではずっと音楽制作や執筆などの仕事を中心に、東京やパリなどを拠点にして自由に動き回っていましたが、子供が出来たことで生活スタイルもガラリと変わり、またアメリカの新しいカルチャーの中に根を下ろす事で、自分の様々な価値観がアップデートされたように感じています。

この10年で、世界の状況も信じられないほど変化がありました。東日本大震災やコロナウイルスの問題、BLMという人種差別に対しての抗議運動…世界中の人々の価値観を大きく揺さぶる問題が相次いでいます。私達は今一度、足を止めて振り返り、惰性的になっていた価値観を思い切って手放し、新しくより良い未来を作るために前進すべき時なのかもしれません。

多様な表現の可能性

ところで、私が娘を産んだ10年前の事を思い返すと、身の回りのシステムが随分進化した事に驚いています。当時も既にiPhoneを使っていて、本当に便利な時代になったなと思っていましたが、音楽を聴くのはまだCDがメインでしたし、レコード屋にもまだ足を運んでいました。

それがいつの間にか、Siriを使って店内でかかっている音楽を聞かせて曲名を検索したり、インターネットで簡単に音源や映像をダウン&アップロードしたり、Spotifyなどのアプリが自分の好きそうな曲までお勧めしてくれる便利な時代に。作品を発信していく立場としては、その変化と共に作品の構成やアートワークの形態など見直していかなくていけない事柄も多くて大変ではありますが、その分、新しい表現や発信方法の幅が広がったり、可能性や自由さを感じたりすることの出来る、大変面白い時代だと思います。

2 AIについて

人間の良きパートナー

AIを初めて知ったのはいつだったでしょうか。はっきりとは覚えていませんが、AIという言葉は知らなくても、幼い頃に手塚治虫などの作品を観ていたからか馴染みがあり、生物的なデザインと人間に近い感覚を持った人間の良きパートナーとして、私達の未来を良くしてくれるもの、という印象がありました。

その後、AIというのは人工知能、人間でいう脳の部分であって、生物的な形をしている必要はないのだという事を知り、だんだんと洗練されていく世界を想像するようになっていきました。ロボットのペットや進化していく家電など、ワクワクするニュースを目にすることが増えていったからです。

科学や技術の進歩に対する
疑問と願い

けれどもブレードランナーやターミネーターのような映画を観たり、世の中がどんどんデジタル化されて、改善するどころかどんどん悪化していく環境問題を知ったりするうちに、科学や様々な技術の進歩は本当に世界の平和に貢献するものなのか、という疑問がだんだん湧いてくるようになっていきました。それらの進歩は世の中を便利にしてくれるけれども、それだけでなく、人間自身がもつ感覚や才能を引き出してくれるものでもあって欲しいと思っています。

3 これからの期待をこめて

専門家以外もAIの知識を
得ることで変わる未来

私達のAIに対する期待や不安というのは、一枚のコインのようで、コイントスでは投げるたびに、未来に対する願いを込める。今回、連載のお話を頂いた時に、そんな事を思いました。
そして私のAIに対するボンヤリとした期待や不安は、どちらもAIについての知識があまりないからかもしれないとも。これを機にAIについて学ぶ事ができたら、私自身の世界も広がっていきそうです。また、AIを開発するプロフェッショナルの方々だけでなく私達がAIをもっと知る事で、AIの未来もまた違うものになっていくかもしれません。

どんなに時代が変わっても、人間が本来の目的を見失わず、より良き世界へ進む事が出来たら…。そんな願いを軸にして、これからAIについて楽しく学んでいけたらと思っています!

Hello,AI Lab さまへ

質問が3つあります。

  • 【 質問1つ目 】

    度重なる災害や環境の問題がどんどん深刻になっています。河川の監視システムなどのように、AIがその問題に関わる人々も助ける事ができるというのを知って素晴らしいと思いました。近い将来、災害や環境問題に対してAIに期待できる事は他にどんなものがありますか?

  • 【 質問2つ目 】

    ブレードランナーの映画のように、将来AIがどんどん進化して心の認識や感情を持つ事は可能ですか?

  • 【 質問3つ目 】

    近い将来、私たちの生活が大きく変わりそうなAI技術はありますか?

k.k より

※本文中における会社名、商標名は、各社の商標または登録商標です。