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REALで堪能する「京の彩り」REALで堪能する
「京の彩り」

季節のうつろいで様々な表情を見せる古都京都。
その『彩り』を京都に生まれ京都を知り尽くしたフォトエッセイスト 星野佑佳氏がご紹介します。

フォトエッセイスト /
星野佑佳

フォトエッセイスト / 星野佑佳

京都市生まれ、在住の女性フォトエッセイスト
00年 海外放浪の撮影旅へ出発、帰国後は日本の自然風景を求め、全国を旅しながら撮影。05年頃から、旅のかたわら、地元である京都の風景や祭を撮影、現在に至る。
写真を担当した一般書は「京都12ヶ月 年中行事の楽しみ方」「京暦365日」他多数。全国の風景写真はクラレグループの企業カレンダーやJR北海道のキャンペーンポスターなどにも起用されている。

紅(くれない)の記憶紅(くれない)の記憶

薄暗い廊下の先に、あでやかな赤紅葉が浮かび上がる。
南禅寺塔頭・天授庵で目にした光景のあまりに幽玄な美しさに、私の足はカクカクと震えた。宵の頃にしか味わえない絶妙な色彩が、今、目の前にある。夜に覆われるまでの束の間に、これを写しこまなくては・・・という焦りと緊張にゆさぶられながらシャッターを切る。こんなに写欲を刺激される紅葉は久しぶりだった。
紅葉は旬も短く、今日が見事なら、明日にはもう見頃を過ぎているといってもいい。
私だけではないと思うが、カメラマンの審美眼は厳しく、一般の観光客が「わあーきれい」と嬌声をあげる傍らで、「もう色褪せてるやん」「葉っぱが傷んでるやん」と心中で辛口の採点をしながら、「これじゃ撮る気にならない」と、激しく落胆することもしばしば。だからこそ本当に美しい紅葉に出会えた時は、震えるほど嬉しいのだ。

もうだいぶ前になるが、父母に切願され、秋の京都を訪れた客人を案内したことがある。
渋滞回避の抜け道を駆使し、リアルタイムな紅葉の見頃番付・横綱級の名所をハシゴして、我ながら驚くほどの名ガイドぶりだった。

もちろんその方は大感激し、私も人様に喜んでもらえるのがこんなに気持ちのいいものかと新たな自分の側面を発見した。
以来、京都の紅葉がニュースで流れる頃になると、今は足が弱り遠出ができなくなったその方から、電話がかかってくる。そして長電話を終えた母から「あの時の感動と感謝」を伝言される。きっと思い出がどんどん美化されて、たった一日の京都観光が生涯の宝物に昇進したのだろう。私もつられて、当時を振り返る。お気に入りのライトアップはご案内できた。でも、私の大好きな情景のひとつ、雨上がりの地面一杯に敷き詰められた散り紅葉はまだである。これはタイミングが難しく、毎年あるわけでもない、とっておきの絶景だ。
「いつか、見せてあげたいなあ」
駆け足で過ぎゆく秋を惜しみながら、叶いそうもない想いを、今年も重ねるのだった。

  • 天授庵(左京区 南禅寺塔頭 11月中旬

    南禅寺塔頭の天授庵の東庭は、京都市内のなかでも比較的早く紅葉が始まり、幾何学模様の石と苔、白砂、紅葉の組合せも斬新だ。
    建物と紅葉の相性が素晴らしく、絵になる情景がそこここに溢れている。

  • 宝厳院(右京区 天龍寺塔頭 11月下旬

    苔の緑、紅葉の赤、黄色の発色が素晴らしい宝厳院。
    京都には散紅葉の名所がいくつかあるが、なかでも宝厳院は別格である。
    この写真は黄色い散紅葉だが、獅子岩の紅葉の真紅度は、京都でも三本の指に入るほど見事だ。

  • 光明寺(長岡京市 12月上旬

    紅葉の見頃が比較的遅めの光明寺。
    雨上がりの朝、きっと紅葉の絨毯になっているはずと、開門と同時に駆け足でこの場所に向かう。天も地もオレンジ色に染まった紅葉の参道は、想像以上の美しさだった。
    ※光明寺には駐車場がございませんので、ご来山の際には公共交通機関をご利用ください。

  • 清水寺(東山区 12月上旬

    あまりに有名な清水寺だが、実は豊かな自然とコラボしている貴重な場所。
    奥の院から、京都市内の夜景を背景に清水の舞台と紅葉を眺める。
    昼間は味気ない市街地も、夜になるとキラキラと輝きを放ち、絵心をくすぐる。

薄暗い廊下の先に、あでやかな赤紅葉が浮かび上がる。
南禅寺塔頭・天授庵で目にした光景のあまりに幽玄な美しさに、私の足はカクカクと震えた。宵の頃にしか味わえない絶妙な色彩が、今、目の前にある。夜に覆われるまでの束の間に、これを写しこまなくては・・・という焦りと緊張にゆさぶられながらシャッターを切る。こんなに写欲を刺激される紅葉は久しぶりだった。
紅葉は旬も短く、今日が見事なら、明日にはもう見頃を過ぎているといってもいい。
私だけではないと思うが、カメラマンの審美眼は厳しく、一般の観光客が「わあーきれい」と嬌声をあげる傍らで、「もう色褪せてるやん」「葉っぱが傷んでるやん」と心中で辛口の採点をしながら、「これじゃ撮る気にならない」と、激しく落胆することもしばしば。だからこそ本当に美しい紅葉に出会えた時は、震えるほど嬉しいのだ。

もうだいぶ前になるが、父母に切願され、秋の京都を訪れた客人を案内したことがある。
渋滞回避の抜け道を駆使し、リアルタイムな紅葉の見頃番付・横綱級の名所をハシゴして、我ながら驚くほどの名ガイドぶりだった。

もちろんその方は大感激し、私も人様に喜んでもらえるのがこんなに気持ちのいいものかと新たな自分の側面を発見した。
以来、京都の紅葉がニュースで流れる頃になると、今は足が弱り遠出ができなくなったその方から、電話がかかってくる。そして長電話を終えた母から「あの時の感動と感謝」を伝言される。きっと思い出がどんどん美化されて、たった一日の京都観光が生涯の宝物に昇進したのだろう。私もつられて、当時を振り返る。お気に入りのライトアップはご案内できた。でも、私の大好きな情景のひとつ、雨上がりの地面一杯に敷き詰められた散り紅葉はまだである。これはタイミングが難しく、毎年あるわけでもない、とっておきの絶景だ。
「いつか、見せてあげたいなあ」
駆け足で過ぎゆく秋を惜しみながら、叶いそうもない想いを、今年も重ねるのだった。

REAL 開発者による技術解説REAL 開発者による技術解説

京都製作所
AVディスプレイ製造部
技術第2グループ
大上戸 晃

秋も本番になると京都のお寺は目の覚めるような美しい紅葉で彩られます。
中でも写真の天授庵のように、プロのカメラマンが震える程の本当に美しい紅葉に出会い、その瞬間を切り取る事が出来た時の歓びは格別ですし、やはり美しい画面で鑑賞したいですよね。

寺と紅葉という、いかにも京都らしい風景を美しく表現するポイントは大きく2つ、「コントラスト」と「階調性」です。
例えば宝厳院の写真において重要なのは、黒や茶色を貴重とした建物と紅葉の鮮やかな赤や黄色、それぞれの色の微細な階調をきちんと再現しながらも、メリハリの効いたコントラストでおたがいの美しさを際立たせる事。
そのようなとても難しい表現を、REAL 4Kはレーザーによる広い色再現性と画面のエリアごとの明るさを細かくコントロールする事で可能にしました。

色と明るさの関係性を立体的にとらえ、写真の美しさを細部にいたるまで忠実に再現する事が私たちのこだわりです。

  • 春がゆく
  • 夏の夜の夢
  • 実り色
  • 紅の記憶
  • 今年もよい年
  • 溢れ