振動板のジレンマ
理想的なスピーカーに求められるのは、2つの相反する性能をもった振動板です。ひとつは、原音の音信号に基づいて振動板全体にすばやく振動を伝える伝搬速度。もうひとつは、音信号が消えたときに余分な残響を残さないですぐにその振動を抑える適度な内部損失です。しかし、従来の振動板は、この2つの性能を同時に満たすことができませんでした。
チタンを用いた高音域用スピーカーは、伝搬速度は速いのですが、内部損失が少なく、音が濁りやすいという欠点がありました。一方、適度な内部損失をもつ紙や樹脂のスピーカーは中音域では性能を発揮しますが、伝搬速度が遅く高い周波数の振動に対応できないため、高音域の再現性に劣っていたのです。
新素材が可能にした独自のスピーカーを開発
この問題を解決したのが、三菱電機の素材技術です。カーボンナノチューブと数種類の樹脂を最適に配合した新素材を使った振動板によって、チタンに匹敵する高速伝搬性と、紙と同程度の内部損失を初めて同時に実現することができました。
DIATONEのエンジニアたちが、その技術とノウハウを惜しみなくつぎ込み、この振動板の特性を最大限に活かす優れたスピーカーを開発しました。それが、DIATONE NCVスピーカーです。
高解像度の音を楽しむ
すばやく振動し、すばやく止まる — 高速伝搬性と適度な内部損失を備えたDIATONE NCVスピーカーが生み出すもの。それは、どこまでもクリアでピュアな音世界です。
登場人物一人一人の息遣いから、雨粒一つ一つの音、多重録音された複数の効果音まで、すべての音にピントが合い明確に聞き分けられます。いままでのテレビでは実現が難しかった「高解像度の音」を楽しむことができるのです。
もちろん、すぐれた高速伝播性で、従来の紙製振動板では難しかった高音域もリアルに再生。可聴域を超えた再現性を実現しています。
