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先進レーダ衛星「だいち4号」
こちらは、
地球の表面を観測する人工衛星で三菱電機製じゃ。電波を使って観測するので、夜間でも、雲があっても観測できる。
ここが便利!
従来機にくらべ観測範囲が4倍に広がり、観測頻度もアップしたぞ。
ここがスゴい!
発災後の状況把握のみならず、火山活動の異変や、地盤沈下、地すべり等の災害の予兆の早期発見などの減災への取組みの他、気候変動対策、安全な船舶の航行などにおいて重要な役割を担っておるぞ。
人工衛星ですね。真ん中にある大きな板を地球の方に向けて飛んでいますが、何のための人工衛星ですか。
- 電波を発信することにより、対象物の方向や距離を測る装置
電波で観測するって、いまひとつピンとこないんですけど、ちゃんと物を見ることができるんですか。真っ暗な夜の時間帯でも見えるのでしょうか。
電波観測
その速さでちゃんと観測して、そのデータを地上に送ってくるんですよね。どのくらいの範囲(広さ)の観測ができるんですか。
音声なし。再生時間:44秒
まずは、地殻変動の観測じゃ。観測した日時の異なる2つのデータを比べて、その違いから地表がどれだけ動いたかを計測することで、火山活動による微小な変化をとらえて事前の避難活動につなげることができるんじゃ。
「だいち2号」が観測した御嶽山噴火前後カラー合成画像
すばらしい! 日本は火山が多いので、日々宇宙から観測してくれると安心です。
続いて災害状況の把握も重要なミッションじゃ。夜間や悪天候下でも観測できるので、豪雨被害の迅速な把握にも役立つぞ。観測画像から浸水箇所を自動検出して、各防災機関、自治体による復旧活動や被害調査に役立てる取組みも進められているぞ。
最近は以前に比べ、豪雨による被害が多くなってきているので、だいちからの情報が役立ちますね。
さらに森林保全や農業といった分野でも活躍しておるぞ。だいちが観測した世界の森林分布やその変化、水田の作付面積等のデータが、森林に蓄積された炭素量の推定や、東南アジアの国を中心とした農業政策の改善等に役立っているのじゃ。
「だいち2号」が観測したブラジル熱帯雨林の様子
「だいち2号」が観測した流氷
博士、、、寒い!? 😊
先進レーダ衛星「だいち4号」
だいち4号は、三菱電機が宇宙航空研究開発機構から受注し、2016年度にだいち4号の開発を開始し、鎌倉製作所(神奈川県鎌倉市)で全体の設計・製造・試験を担当してきました。広域観測と高分解能を両立させるために不可欠である「PALSAR-3*1」も、三菱電機が開発を担当しました。
PALSAR-3は、現在運用中の陸域観測技術衛星2号「だいち2号」に搭載されたレーダと同等の高分解能を維持しつつ、観測幅を拡大したもので、高度約628kmから全地球規模での高分解能観測を行います。だいち4号による広域の地殻・地盤変動の観測情報は、平時・災害時における地殻・地盤変動の監視、火山活動や地盤沈下、地滑り等の異変の早期発見、森林資源の管理等に活用されます。
1.新方式・新技術を採用した PALSAR-3 を開発、高分解能・広域観測を実現
- 世界初*2の帯域分割方式*3採用による高分解能化を実現
- だいち 2 号の優れた空間分解能(3m)を維持したまま、世界で初めて*2レーダ衛星にデジタルビームフォーミング技術*4を採用し、観測幅を世界トップレベルかつだいち2号の4倍にあたる200km まで拡大
- 1回の観測で取得できる画像の観測幅が広がるため、広域災害発生時の迅速な情報収集に貢献
- だいち2号でも採用・軌道上実証された世界トップレベルの高出力窒化ガリウム(GaN)増幅器(当社開発)によるレーダの出力向上で、観測幅を広げても高画質を維持
2.観測幅の拡大により日本全域での観測の高頻度化を実現、防災・減災に貢献
- 観測幅がだいち2号の4倍に拡大したことにより、日本全域において、同一地点の観測頻度がだいち2号での年4回からだいち4号では年20回の5倍に向上
- 災害発生時には、通常観測から緊急観測に切り替えることで、被災地の状況を迅速に把握。観測が高頻度化されることで得られる災害発生直前のデータと緊急観測のデータを比較し、変化を抽出・分析することで、より正確で迅速な被災状況の把握に貢献
- 平時においても地盤沈下や火山活動などの地盤・地殻変動監視やインフラの変位監視に活用され、高頻度観測が日本全域における多様な異変の早期発見に寄与
- 電波を地球の表面に照射し、反射波の受信により地表面を観測するレーダ。PALSAR-3は、Phased Array type L-band Synthetic Aperture Radar-3の略称。だいち4号に搭載
- 2024年8月6日時点、当社調べ。実用衛星として
- 異なる周波数の信号を異なるアンテナから送信し、受信時に信号を合成する技術
- オンボードでの高速演算により、アンテナのビーム指向方向を任意に生成する技術
「だいち4号」による初観測画像 (2024年7月)
諸元
取材協力
三菱電機株式会社
衛星情報システム部 技術第一課
佐藤 文彦
「佐藤さん、だいち4号の開発に携わって印象に残ったことを一言お願いします。」
だいち4号はPALSAR-3を始めとしたアンテナ、センサや電子機器等、数多くの機器で構成されています。私はこれらの全構成品を統合し、一つの衛星に作り上げるシステム技術者として開発に携わりました。
システムという全体を担う立場上、各機器を搭載する上で満足すべき要求、衛星自体の組立性やロケットへの搭載性等、多岐に渡る観点を考慮する必要があり、社内外の多くの関係者と調整しながら設計したことが印象的です。8年という長い開発期間中は苦労も多かったですが、だいち4号の今の姿が完成し、宇宙に向け打ち上がっていく姿を見た時には感慨深いものがありました。
防災・減災に長く貢献できる衛星として、だいち4号の今後の活躍を期待しています。