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  3. 勤怠管理システムとは

働き方改革関連法が順次施行し、年次有給休暇の取得義務や時間外労働の上限規制など、従業員の勤怠に関わる多くの法改正が行われてきました。

2024年4月1日には運送業や建設業、医師に対しても時間外労働の上限規制が適用され、勤怠管理システムの導入やリプレイスを検討する企業・法人が増えてきています。

本コラムでは、勤怠管理システムの導入によって実現できるメリットや導入時のポイントを社会保険労務士の立場から詳しく解説します。

勤怠管理システムとは?主な機能とメリット

勤怠管理システムとは、出退勤時刻の記録や休暇申請・承認、シフト管理など、勤怠管理に関する業務全般を支援するシステムです。

従来は多くの企業でタイムカードや出勤簿を用いて勤怠管理を行っていましたが、近年では、勤怠管理システムの導入が進んでいます。

まずは勤怠管理システムの主な機能や導入するメリットを知っておきましょう。

勤怠管理システムの主な機能は以下のとおりです。

  • 正確な出退勤時刻の記録
  • 休暇の申請・承認
  • シフト管理
  • 勤務状況や労働時間の集計・分析
  • 給与計算システムとの連携

それぞれの機能を詳しく解説します。

  • 正確な出退勤時刻の記録

    紙の出勤簿やExcelなどは、従業員が自ら出退勤時刻を記入するため、時間の客観性がなく不正打刻などのリスクがあります。

    勤怠管理システムでは、ICカードや静脈認証、顔認証などの打刻方法を導入しているものが多く、従業員が自分で出退勤時刻を入力する必要がありません。

    そのため、正確な出退勤時刻を記録できるとともに、不正打刻のリスクも軽減することができます。

  • 休暇の申請・承認

    勤怠管理システムを導入すると、従業員が休暇の申請をシステム上で行うことが可能です。

    紙で申請書を作成する手間や承認のため回覧する手間を省き、システムによっては申請の履歴をシステム上で確認することもできます。

  • シフト管理

    勤怠管理システムは、シフトを月別や曜日別、時間帯別で自動割り当てができるなど、さまざまな機能が搭載されており、シフト表の作成やシフト調整の手間を省くことができます。

    また、スマートフォンからシフトの申請や共有ができれば、従業員の利便性も向上します。

  • 勤務状況や労働時間の集計・分析

    勤怠管理システムでは、出勤日数や有給休暇の日数、残業時間などを自動的に集計・分析することができます。

    たとえば、36協定の上限に達しそうな従業員がいる場合は、事前にアラート機能で知らせてくれたり、有給休暇が年5日取得できていない従業員には警告を出したりといった機能もあります。

    労働時間に関連したさまざまな規制が設けられている昨今では、勤怠管理システムの活用によってコンプライアンスを強化する企業が増えています。

  • 給与計算システムとの連携

    勤怠管理システムは、既存の給与システムにあわせた勤怠データの出力ができ、そのデータを給与システム側で取り込むことができます。また、メーカーによっては勤怠管理システムと給与システムのAPI連携も可能で、自動的に勤怠データを取り込むことも可能です。

    このように勤怠管理システムを導入することで、給与計算の業務効率化が図られるだけでなく、給与計算担当者の負担が軽減され、計算の精度も向上します。

勤怠管理システムの種類

勤怠管理システムには、大きく分けて「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類があります。

勤怠管理システムを導入する際には、自社の規模や勤務形態、予算などを考慮して、適切な方式を選ぶことが大切です。

ここでは「オンプレミス型」と「クラウド型」のそれぞれの違いを解説します。

  • オンプレミス型

    オンプレミス型とは、自社内にサーバーを設置して、システムを運用する方式のことです。自社でシステムを管理・運用できるため、カスタマイズ性に優れています。

    また、外部からのアクセスを制限することができるため、セキュリティ性が高く、情報漏洩のリスクを低減することができます。

    ただし、自社内にサーバーを設置して運用するため、初期費用やメンテナンス料がかかります。またシステムの運用には、専門知識やスキルが必要となります。

  • クラウド型

    クラウド型とは、インターネット上でシステムを運用する方式のことです。初期コストを抑え、比較的簡単に導入ができます。

    サーバーの設置コストがない分、初期費用が抑えられますが、ユーザー数に応じてランニングコストがかかります。

    また、多くのクラウド型システムはカスタマイズができず、パラメーターで調整する形なので自社の業務や就業規則にあわせてシステムを最適化することが難しい場合があります。基本的には自社で設定を行うため、稼働責任は利用者側にある点も注意が必要です。

勤怠管理システムの導入が進んでいる理由

勤怠管理システムの導入が進んでいる理由は、働き方改革関連法の施行にあります。

働き方改革関連法では、長時間労働の規制や有給休暇の取得を促進させる法令が施行されており、企業には法令を遵守しながら働き方改革を実現することが求められています。

このため、従業員の勤務状況をより正確に把握し、管理する必要が生じているのです。

働き方改革関連法での主な規制は以下のとおりです。

  • 労働時間の客観的把握
  • 有給休暇の年5日取得義務化
  • 時間外労働の上限規制

それぞれの事項を詳しく解説します。

  • 労働時間の客観的把握

    2019年4月の労働安全衛生法改正により、「労働時間の客観的な把握」が義務付けられました。これにより、管理職を含めすべての従業員に対し、タイムカードやICカード、パソコンの使用時間などによって労働時間を把握することが義務付けられています。

    手書きの出勤簿や自己申告で勤怠管理をしている企業は、パソコンの使用時間などから把握した時間との間に大きく差がある場合は、労働時間の補正をするなど、ガイドラインに基づいた運用を行わなければなりません。

    また、勤怠管理システムなどを用いて労働時間を申告していた場合でも、定期的に実態調査を行い、パソコンの使用時間(ログ)と申告時間に大きな差が生じていた場合には労働時間の補正が必要になります。

    なお、勤怠管理システムによっては、申告時間とパソコンの使用時間が一定時間の差がある場合にアラートが出るものもあるため、労働時間の適正な把握が自動的にできるようになります。

  • 時間外労働の上限規制

    時間外労働の上限規制とは、労働者が法定労働時間(1日8時間、1週間40時間)を超えて働く時間(時間外労働)の上限に対する規制制度です。

    2019年4月から大企業に適用が開始され、2020年4月からは中小企業にも適用されています。

    時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間以内となり、臨時的な特別な事情がある場合は原則の上限を超えることができます。

    ただし、臨時的な特別な事情がある場合でも以下の上限を超えることはできません。

    • 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
    • 時間外労働と休日労働の合計が2〜6ヶ月平均80時間以内
    • 時間外労働が年720時間以内
    • 時間外労働が月45時間を超える月が6ヶ月以内

    上記に違反した場合は、罰則が科されます。企業は、すべての従業員の時間外労働時間を把握し、かつ上限を超えないよう対策を講じる必要があります。

  • 有給休暇の年5日取得義務化

    2019年4月の労働基準法改正により、年10日以上の有給休暇が付与されるすべての従業員に対して、年5日を企業側が時季を指定して取得させることが義務付けられました。

    企業の担当者は、従業員一人ひとりの有給休暇取得日数を確認し、対象となる従業員が全員年5日取得できるよう管理しなければなりません。

    有給休暇の年5日取得義務化に違反した場合、企業に従業員1人につき30万円以下の罰金が科せられるため、徹底した管理が必要です。

    なお、勤怠管理システムを利用すれば、有給休暇の取得日数がリアルタイムで確認できます。また5日を取得していない従業員がいる場合はアラートが表示されるため、有給休暇管理の業務が大幅に効率化できます。

勤怠管理システム導入に向けて人事担当者が直面する課題

勤怠管理システムを導入するメリットを理解していても、実際に導入する過程でさまざまな課題に直面します。

ここでは、勤怠管理システム導入に向けて人事担当者が直面する以下の課題と解決方法を解説します。

  • 製品の差別化ポイントがわからず比較検討できない
  • オンプレミスとクラウド、どちらがよいかわからない
  • 導入後の負荷やリスクがわからない
  • スムーズに問い合わせができるか不安
  • 既存の就業ルールにあわせられるか不安
  • 製品の差別化ポイントがわからず比較検討できない

    製品のパンフレットやWebサイトには、さまざまな機能が羅列されているものの、それらが自社に合致しているのかどうかを判断するのは難しいものです。

    導入する企業の規模や業種、働き方などによって製品を比較検討する必要があります。

    コストパフォーマンス・簡易オペレーション重視のクラウド型か、カスタマイズ性にすぐれ、自社独自のシステムを組めるオンプレミス型か、といった前提から各種記録・アラートなどの付加価値機能まで、自社の状況や従業員のニーズを明確にしたうえで、製品の比較検討項目を決めるとよいでしょう。また、製品の機能や使い勝手を実際に確認するために、デモサービスや無料トライアルを利用するのも課題を解決する一つの方法です。

  • オンプレミスとクラウド、どちらがよいかわからない

    勤怠管理システムの提供形態には、前述の通りオンプレミス型とクラウド型の2種類があります。どちらの提供形態を選択するかは、自社の状況やニーズによって異なります。

    オンプレミス型はシステムを自社で購入・運用する形態で、カスタマイズも可能です。最近では、ハードウェア部分のみIaaSやPaaSなどのクラウドサービスを利用することもあり、自社にあわせた運用もできます。

    一方、クラウド型は、インターネットを介してサービスを利用する形態です。自社でサーバーを用意する必要がなく、導入・運用コストが抑えられるというメリットがあります。

    導入の際は、どちらの提供形態が自社に適しているか把握したうえで検討しましょう。

  • 導入後の負荷やリスクがわからない

    勤怠管理システムの導入後には、システム運用のルール整備や従業員への教育など、本稼働まで担当者に大きな負担が生じます。

    システム導入前に運用ルールを明確に定め、従業員への教育までスケジュールを立てることが大切です。

    また、実務的には、システム導入の際は既存システムと新システムを数ヶ月並行稼働させ、結果に差異がないかなどの確認をしてから本稼働に移るのが一般的です。

  • スムーズに問い合わせができるか不安

    導入後には思わぬ疑問点やトラブルも発生しがちです。アフターサポートの充実具合や問い合わせ方法なども確認しておいたほうがよいでしょう。

    一般的にはクラウド型は利用者が内容を整理し、コールセンターに問い合わせる必要がありますが、オンプレミス型は専任SEによる導入フォローがついていたりと、アフターケアも手厚くなっています。

  • 既存の就業ルールに合わせられるか不安

    勤怠管理システムは、就業規則に基づいて勤怠情報を管理するシステムです。そのため、自社の就業ルールにあわないシステムを導入してしまうと、勤怠管理に支障をきたす可能性があります。

    たとえば、自社では変形労働時間制を採用しているのに対し、導入するシステムが変形労働時間制に対応していない場合は、正しく勤怠を管理することができません。

    • 変形労働時間制:繁忙期の所定労働時間を長くする代わりに、閑散期の所定労働時間を短くするといったように、業務の繁閑や特殊性に応じて労働時間を配分し、全体の労働時間の短縮を図る仕組み。

    このように、勤怠管理システムを導入する際には、自社の就業ルールを十分に確認し、システムが対応しているかを確認することが大切です。

    導入前に資料請求やデモサービス無料トライアルなどを利用し、不安な場合は社会保険労務士などの専門家の意見を聞きながら導入しましょう。

勤怠管理システムを選定するときのポイント

勤怠管理システムは、就業規則や現状の運用によって、適しているシステムが異なります。

ここでは、勤怠管理システムを選定するときのポイントとして以下の5つを紹介します。

  • 自社に適したシステム提供形態を選定する
  • 就業規則や運用に適用できるシステムを選定する
  • 既存システムとの連携ができるか確認する
  • 自社に適した打刻方法が実現できるか確認する
  • サポート体制が整っているか確認する
  • 自社に適したシステム提供形態を選定する

    勤怠管理システムを選定するうえで、オンプレミス型かクラウド型にするかは、自社の状況と、それぞれの特性を理解することが大切です。

    オンプレミス型とクラウド型の違いは以下のとおりです。

    オンプレミス型は大企業、クラウド型は中小企業で導入される傾向がありますが、導入時のカスタマイズや導入後のフォローが充実していて担当者がリソースを割かずに済むなど、長い目で見ると中小企業でもオンプレミスが型のほうが利点があるケースもあるので、長期の運用を見据えて検討しましょう。

  • 就業規則や運用に適用できるシステムを選定する

    勤怠管理システムは、就業規則や運用に基づいて、従業員の勤怠情報を正確に管理することが求められます。そのため、自社の就業規則や運用に適したシステムを選ぶことが大切です。

    たとえば、変形労働時間制を導入している企業であれば、変形労働時間制に対応していない勤怠管理システムでは管理できません。

    また、代休や振休が独自のルールで運用されている企業では、勤怠管理システムが適用できない場合もあるため、導入前に対応できるか確認する必要があります。

    就業規則や運用に適用できないシステムを導入してしまい、就業規則を変更したり、運用ルールを追加することになった事例もあるため、自社に適用するシステムを慎重に選びましょう。

  • 既存システムとの連携ができるか確認する

    勤怠管理システムは、給与計算システムや人事管理システムなど、他のシステムと連携し、より効率的に業務を進めることができます。

    他のシステムとの連携は、データ入力や転記の手間が省けたり、ミスの防止につながるなどのメリットもあります。

    導入の検討段階で、既存システムにCSVファイルの取り込みやAPI連携ができるかなどを確認することが大切です。

  • 自社に適した打刻方法が実現できるか確認する

    打刻方法は、自社の働き方や従業員のニーズにあわせて、適切なものを選択しましょう。

    ICカードや静脈認証、顔認証、スマートフォンでの打刻などがありますが、勤怠管理システムによって対応している打刻方法が異なります。

    勤怠管理システムを選定するうえでは、自社の運用ルールや働き方にあわせて最適な打刻方法が実現できるかを確認しましょう。

  • サポート体制が整っているか確認する

    勤怠管理システムを選定する際には、サポート体制が整っているかを確認することが重要です。クラウドは、初期設定は自分でやらなければならないことや、サポートはチャットのみであることがデメリットとして挙げられますが、オンプレは専任SEがいることが多く初期設定からお任せすることができます。また、本稼働後も専任SEがついているため、問い合わせ窓口も明確、レスポンスも早い傾向があります。

    初期設定やテスト運用、本稼働後など、どこまでサポートしてくれるかでスケジュールや担当者の負担に影響します。検討の際には必ず確認しておきましょう。

導入から保守まで万全のサポート<オンプレミス型>勤怠管理システム「ALIVE SOLUTION TA」

「ALIVE SOLUTION TA」は、三菱電機ITソリューションズ株式会社が提供するオンプレミス型の勤怠管理システムです。

専用のシステムエンジニアのサポートにより、企業の実態にあった勤怠管理システムを提供するだけでなく、導入後も安定した運用ができるよう徹底したサポート体制を構築しています。

機能面も充実しており、36協定や有給休暇管理などの法令を遵守するための機能に加え、「始業・終業時間」「PC使用時間」「在場時間」の3つの時間の差異をチェックし、差異が生じた場合はその理由を入力させる仕組みを導入しています。

また、フレックスタイム制や変形労働時間制、裁量労働制など、多様な勤務形態や制度に対応しており、PCやICカード、スマートフォンなど、さまざまなデバイスで勤怠入力が可能です。

過重労働の防止や多様な働き方の実現など、勤怠管理の課題を解決したい企業は、ぜひ「ALIVE SOLUTION TA」を検討してみてはいかがでしょうか。

  • 執筆:北 光太郎

    きた社労士事務所 代表。大学卒業後、エンジニアとして携帯アプリケーション開発に従事。その後、社会保険労務士資格を取得し、不動産業界や大手飲料メーカーなどで労務を担当。労務部門のリーダーとしてチームマネジメントやシステム導入、業務改善など様々な取り組みを行う。2021年に社会保険労務士として独立。労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。読者にわかりやすく信頼できる情報を伝えるとともに、Webメディアの専門性と信頼性向上を支援している。