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  3. 保険薬局向けオールインワンプラットフォーム

高齢化と長期にわたる人口減少過程に直面する日本では、保険薬局のデジタル変革も新たな局面を迎えています。三菱電機デジタルイノベーション株式会社は、40年近いレセプトコンピュータ(レセコン)の開発・運用で培ったノウハウに加え、東京大学発ヘルスケアAIベンチャー、株式会社mediLabと提携することで、「保険薬局向けオールインワンプラットフォーム」の開発を進めています。処方箋の内容を入力し、窓口負担額の計算を実施し、診療報酬明細書(レセプト)を作成するレセコンと電子薬歴をAIエージェント技術を活用して統合し、処方受付から薬歴作成まで一気通貫で支援する画期的なサービスです。薬剤師不足と業務負担増に悩む薬局業界に、根本的な業務効率化をもたらす革新的ソリューションが誕生します。

左から、三菱電機デジタルイノベーション株式会社 流通・ヘルスケア事業
次世代コミュニケーションサービス開発センター 次世代コミュニケーション開発第二グループマネージャー 峰川 和之 氏、
次世代コミュニケーションサービスビジネスセンター コミュニケーションサービス 第一グループ 主任中山 浩二 氏、
次世代コミュニケーションサービスビジネスセンター コミュニケーションサービス マネジメントグループ 前田 栞里 氏

保険薬局を取り巻く環境40年の実績が生む薬局DXへの確かな道筋

少子高齢化が進む日本において、保険薬局を取り巻く環境は大きく変化しています。薬局には、従来の「薬を渡す場所」から「地域の健康管理を担う中核プラットフォーム」へと進化が求められており、薬局DXのニーズが急速に高まっています。

一方、三菱電機デジタルイノベーションは、これまで40年近くにわたって「調剤Melphin」を中心とした保険薬局向けシステムを開発・販売してきました。次世代コミュニケーション開発第二グループマネージャーの峰川和之氏は、同社の保険薬局向けシステムの強みについて、次のように語ります。

「1つ目は制度改正・法改正への対応力です。保険薬局業界では2年に1回法律が大きく変わります。法改正の内容が明確になるのは例年2月頃で、施行は6月のため、わずか4カ月程度で正確な要件定義と高品質な開発を完了させる必要があります。そのため、超短納期での開発において、長年のノウハウが威力を発揮しています。2つ目の強みは医療DX推進への対応力です。オンライン資格確認や電子処方箋といった国の共通基盤との連携において、スピード感を持った対応を実現しています。そして、3つ目の強みは業務ノウハウを活かした高品質な開発力です。患者の負担金計算や保険請求処理といった高精度が求められる機能を確実に提供しています」

次世代コミュニケーションサービス
「AnyCOMPASS」による薬局DXの加速

こうした強みを基に、同社は2023年6月に次世代コミュニケーションサービス「AnyCOMPASS」の第1弾となるクラウド版電子薬歴サービスをリリースしました。「しっかり」「スピーディー」「つながる」をコンセプトに開発され、複数の特許技術を用いた独自機能で差別化を図っています。

AnyCOMPASSの開発では、展示会での参考出展を通じて薬局関係者から直接意見を収集するアプローチを採用しました。コミュニケーションサービスマネジメントグループの前田栞里氏は、「展示会でお客様から実際のUIに関する素直な意見をいただきながら、薬剤師の先生方や事務の方の声を反映して開発を進めました」と説明します。

2025年1月には生成AIを活用したAIアシスタント機能もサービスインしました。「AnyCOMPASSが保有する指導内容データベースと過去の指導実績から、処方情報と照らし合わせて患者さんに合った指導内容をアドバイスする仕組みで、薬歴作成の大幅な時間短縮を実現しています」(前田氏)

導入実績は着実に拡大しており、新規顧客が全体の3割を占めるなど順調に推移しています。次世代コミュニケーションサービスビジネスセンター コミュニケーションサービス第一グループ主任の中山浩二氏は、「引き合いは非常に増えています。実際の業務で使われることを想定した機能開発により、薬剤師の業務を補完する機能を実現できています」と手応えを語ります。

AIアシスタント機能の開発で重要な役割を果たしたのが、東京大学発のヘルスケアAIベンチャーmediLabとの業務提携です。2024年6月から本格協業を開始しました。「mediLabはAIのスペシャリストに加え、薬局現場で日々患者さんと向き合っている医療従事者が開発メンバーにいることが他社との大きな違いです」と峰川氏は説明します。開発体制では、UIなどフロントエンド部分を同社が、AI処理などバックエンドをmediLabが担当し、効率的な共同開発を実現しています。

AIエージェントが実現する3つの革新的機能

蓄積したノウハウと技術基盤を活かして現在開発中なのが、「保険薬局向けオールインワンプラットフォーム」です。このプラットフォームは、「AIエージェントが生みだす新たな薬局体験」をコンセプトとし、レセコンと電子薬歴のシステムを融合するもので、次の3つの特長があります。

1つ目は「AIエージェントサポート」です。利用者のスキルレベルに関わらず自動入力と業務提案により入力業務を完結でき、処方内容の確認、疑義照会の提案、加算の提案など、包括的なサポートを提供するシステムです。疑義照会とは処方薬の重複や相互作用の可能性がある場合に医師に確認を取る業務ですが、医師への問い合わせの際に説明が困難なケースもあります。そこでAIが「このような処方が出ているので疑義照会をした方が良いのではないでしょうか?」といったコミュニケーションの支援を行い、業務の円滑化を支援します。

2つ目は「オートレセプション」です。現在の薬局では受付に人員を配置することが一般的ですが、薬局業務は一定のスキルが必要なため人材の確保が難しいという課題があります。そこで、受付端末と薬剤師アバターを活用した受付システムにより、少人数での業務遂行を実現します。

3つ目は「オールインワン」です。レセコンと電子薬歴をシームレスに連携・統合するものです。峰川氏は「薬局業務を徹底的に検証し、調剤業務や服薬指導がよりスムーズにできるように設計しました」と開発のポイントを説明します。

AIエージェントが各種サービスを束ねて薬局業務全体を効率化

2026年度サービス開始へ向け展示会でのフィードバックを活かす

新サービスにおいても、顧客の声を取り入れるべく、2025年秋に複数の展示会に参考出展し、そこで得られた声をサービス開発にフィードバックしています。さらに、販売代理店からも意見収集を進めており、こうした声を開発に反映させながら、2026年度のリリースを目指して開発を進めています。

薬局業界のデジタル変革を牽引する同社の取り組みは、単なるシステム統合を超えた業務革新を目指すものです。AIエージェント技術を活用し、人材不足という構造的課題への解決策を提示するとともに、薬局が「薬を渡す場所」から「地域における健康管理の中核プラットフォーム」へ進化を遂げるよう支援していきます。

  • 保険薬局向けオールインワンプラットフォーム

    三菱電機デジタルイノベーション株式会社は、「AIエージェントが生みだす新たな薬局体験」をコンセプトとし、レセプトコンピュータと電子薬歴2を融合した「保険薬局向けオールインワンプラットフォーム」の開発に着手しました。

    AIエージェント(自律的に最適な手段を選択し必要な作業を遂行する技術)分野については、株式会社mediLabからの技術協力を得ることで開発の加速を図り、2026年度中のサービス提供開始を目指しています。

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