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日常に溶け込むような製品をつくりたい

三菱電機株式会社 デザイン研究所
プロダクトデザイナー
飛田 真理子

メンテナンスのしやすさを究めた業務用プリンターの仕事

私は家庭用機器から業務用機器まで幅広く担当するチームの一員として、様々なプロダクトを担当しています。その中でも最近手がけた製品は、コンビニエンスストアや写真展で使用されている業務用プリンターです。開発にあたり、従来品を様々な方に使ってもらいヒアリングしたところ、「インクリボンやペーパーの取り付け口が別々の場所にあり、消耗品の交換のたびにどこを開けばいいのかわからなくなる」「ペーパーダストの回収箱も気付きづらい位置にあり、覚えるのが大変」という問題点があげられました。

そこで、インクリボンとペーパー、ペーパーダストのレイアウトを集約し、一度にアクセスできる開閉構造を立案。紙で原寸のプロトタイプを作り、使い勝手を検証しました。この製品は他のシステム機器に内蔵されることもあるものなので、外寸は変えられません。中身もたくさんのパーツで構成されているため、何かを1ミリ移動することさえも難しい。こうした制約がある中で、設計者と何度も打ち合わせをし、微調整を繰り返しながら仕上げていきました。

結果、開閉部分をひとつにすることによって、従来消耗品の交換のために15ステップ必要だった作業を9ステップに削減することができました。

思い込みにとらわれずに、ユーザーを理解したい

もうひとつ、思い入れの深い製品として、入院中の患者さんが使用するペルチェ式冷蔵庫があります。この製品のときも、看護師や営業スタッフ、入院経験者など、たくさんの関係者にヒアリングをし、問題点を一つひとつ丁寧に洗い出していきました。

これらの解決策として、扉の取っ手部分を貫通させることで手をかけやすく、握力がない方でも開きやすいデザインに。本体にはランプを取り付け、冷蔵状態がひと目でわかるようにしました。四つ角を曲線にしたのは、柔らかな印象にするためです。飽きのこない白ベースに、扉の上部分を淡いブルーにすることで、扉の閉じ忘れがないかひと目でわかる工夫も施しました。

先述した業務用プリンターと同様に、デザインの着想はユーザーの声から得ています。ユーザーテストも何度となく実施しましたが、思いもよらぬ使い方をされて予想を覆されることが多々ありました。

どんな人が、どう使っているのか。思い込みにとらわれず、ユーザーの理解を深めることに気を付けています。

人々の暮らしを豊かにする製品をめざして

製品のデザインと並行して進めているのが、将来人々の価値観や生活がどうなっていくのか、という調査です。調査で得られた結果をもとにして、今後はひとつずつ理想的な製品を形にしていきたいですね。

これからは、問題の解決にとどまらず、ユーザーがより豊かな生活を送るためのデザインを提供していきたいです。もともと私がプロダクトデザイナーを志したきっかけは、柳 宗悦が提唱した「民藝」でした。

無名の職人が手がけた日用品の中に息づく美しさ、つまり「用の美」という思想に倣って、人々の生活に溶け込み、暮らしを豊かにするプロダクトを生み出していきたい。

幸いなことに、三菱電機は事業分野が広い。その利点を生かして、ジャンルにこだわらず幅広くデザインを手がけていければと思います。

三菱電機株式会社 デザイン研究所
プロダクトデザイナー

飛田 真理子

2015年入社
ホームシステムデザイン部にて、玄米保冷庫や業務用写真プリンター、病院向けペルチェ式冷蔵庫など、主に業務用製品のプロダクトデザインを担当。
住設機器のアプリデザインなどUIデザインも手掛ける。