0その4

いまさら聞けない人工知能・その4
「GANって何?」

1 正解に自分で
たどり着くAI
[GAN]

ディープラーニングがさらに進化した?

これまで何度も登場した[ディープラーニング]。AIの[ディープラーニング(特徴表現学習)]により、何かと何かを「分ける」精度が格段に高まったお話はしましたね。

さて、いよいよAIの実用化の流れが高まるなか、そこには新たな壁がありました。それは「特徴を抽出するための学習データ」の問題です。ディープラーニングは、大量のパターンを学習することで、特徴を導き出すプロセスが不可欠。その、大量の学習データを準備する人の時間や労力のコストを、どうにかできないか。そこで生まれたのが[GAN]と呼ばれるもの。いわば学習データを、自分で作り出してしまうかのようなAI。一体、何のことでしょうか?

2つのAIが競い合うAI

2014年ごろから研究が進められてきたGAN〈ガン、ギャン〉。GANとは[敵対的生成ネットワーク(=Generative Adversarial Network)]と呼ばれるディープラーニングの進化形のこと。これは名前の通り2つのAIが「敵対」して存在しているAIで、「生成するAI」と「監視するAI」がともに競い合い、学習を重ねていくアルゴリズム(数学的な計算手順)である、というもの。

2つのAI、人に例えると、こんな感じになりますね。
「生成するAI」→ 本物そっくりな偽物をつくる人
「監視するAI」→ つくられたものが本物かどうか監視し、見分ける人

作り出された本物そっくりな偽物を監視していくうちに、偽物をつくる精度を学習し、さらに本物に限りなく近いものを生み出していく…つまり、相互作用で本物に自分たちの力でたどり着くAIなんですね。
と、いきなり言われても…ですよね。では、GANが使われている実際の例について見てみましょう。

CHECK!

[GAN]とは「生成」と「監視」の2つのAIが競い合って学習を重ねていく、ディープラーニングの進化形AIのこと。

2 GANが変える未来

創造性を持ちはじめるAI

昔のモノクロの写真を読み込めば、当時のような本物に見間違うほどの鮮やかなカラーを着彩して出力してくれる…そんなAIの話を聞いたことがあるかもしれませんね。そう、これがまさにGANの技術によるもの。当時の色合いをAIが生成・監視しながら、本物の色に究極まで近づけていく。これが、学習データを大量に覚えさせなくても自分で正解にたどり着くことが期待される、GANの力なのです。

GANの技術はほかにも、解像度の低いものを読み込ませて、粗い部分を描き足して解像度の高い美しい動画に変換したり、情景を説明するテキストを読み込むだけで、その画像を生成して出力したり、さまざまな人のパーツを組み合わせて、本当にいるかのような人の画像を合成して作り出したりと、さまざま。人間にしかできなかった創造性・独創性を、AIが持ちはじめたといってもいいのかもしれません。

GANはあなたのすぐ身近に

これからのGAN活用としては、主に「画像認識」の分野でよりその力を発揮すると言われています。例えば来たるべき自動運転用の走行を想定する画像の生成であったり、製品検査をするための学習データとしてGAN自身がサンプルの画像を生成したりするなど、ビジネスへの貢献も広い分野で期待されています。

私たち三菱電機も、AI技術「Maisart(マイサート)※1」を進化させて、画像生成に必要な計算と、メモリーの量を10分の1まで減らした※2[コンパクトなGAN]を世界で初めて開発しました。これにより、ノートパソコンなどでも効率的にAIの学習用画像の生成が可能になっていきます。

GANは、ディープラーニングの活用のうえで、非常に大きな障壁となる「膨大な手作業の必要性」を解消する可能性がある画期的なAI。
みなさんがGANにふれる機会も、すぐそこかもしれませんね。

※1 「Maisart」は三菱電機株式会社の登録商標です。
※2 学術論文などで世間に公開されているGANを当社で再現したものと比較

CHECK!

「画像認識」の分野で活躍が期待されるGANは、学習に手作業の手間が少なくなる画期的なAIなんですね。

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