スポーツわくわく研究所
調査レポート1

アーチェリーを 知ろう!

研究員たちから
「アーチェリー」 についての
リサーチ結果を紹介するぞ。

ルーツは古く、狩猟時代の弓矢から

的を射る正確さを競うアーチェリー。約2万年前の旧石器時代、人類が狩猟道具として弓矢を使い始めた起源にさかのぼると言われています。スポーツとしての発祥は、イギリス各地で競技が行われるようになった16世紀ごろ。18世紀に入るとリージェント王子(後のジョージ4世)がルールの基準を定め、現代アーチェリーの原型ができました。

7000年以上の歴史を持つタッシリ・ナジェールの洞窟壁画(アルジェリア)のイメージ図。弓矢を使った人々の姿が描かれている。

人間の遠い祖先も、獲物を確実に射止める弓矢の工夫や、射手の技術向上が欠かせなかったのだと思うわ。

的の中心を射れば最高得点

アーチェリーは、射撃の正確さを競うスポーツ。的(まと)には中心から外側に向けて何重にも円が描かれ、10点から1点まで付けられています。的の中心を狙って決められた本数の矢を放ち、合計で高得点を出した選手が勝ちとなります。

日本の弓道の場合、競うのは「的を射たか、射られなかったか」。アーチェリーのように、的の中心から外側に点が付けられてはいないよ。

形の異なる3種類の弓がある

アーチェリーの弓には3種類あり、競技スタイルや的までの距離が異なります。「リカーブボウ」は一般的なスタイル。的を射る精度を高めるさまざまな器具をつけて使います。「コンパウンドボウ」は、弦を引く力を滑車で軽減する仕組みが備わり、矢速は時速300~400㎞にも達します。「ベアボウ」はほぼ弓と弦だけのシンプルな形状で、リカーブボウの入門編にも使われます。

滑車付きのコンパウンドボウは、欧米ではハンティングにも使われるほど強力な弓だそうね。

強い弓を引けば、速い矢が射てる

弓(ハンドル)の上下に弦を取り付けて張り、「リム」のしなる力で矢を飛ばします。トップアスリートの上山友裕選手が使用しているリカーブボウで弦を引く力を計ってみると、約20kg。これはボーリングの15ポンド球(約6.7kg)3つ分の重さに相当します。重い弦を引くほど矢速は速くなり、風の影響なども受けにくくなります。

リムを取り替えて、弦を引く強さを自由に調節できるのがリカーブボウ。選手としての力を付けるにつれ、どんどん弓を引く力を強くしていけるんだ。

弦の強さは、ねじりが生む

アーチェリーの弦は、防弾チョッキに使用されるケプラー繊維などからできています。細い弦がねじれるように合わさり、一本の太い弦になっているのが特徴。何本もの細い弦を幾重にも束ね、ねじりを加えながら細い弦同士を一体化させ、強靭な弦にしています。

重いものを吊り上げる太いロープも、何本も細いロープをねじり合わせて作られているから、同じ構造ね。

頭が重い矢は、絶妙なバランス

とても軽いアーチェリーの矢。手にしてみると、前方が重く、かなり重心がかたよっています。矢の先端に取り付けるのが、金属製の「ポイント」と呼ばれるパーツ。矢の硬さ(スパイン)によってポイントの重さは変わり、このバランスが軽い矢を遠くへ飛ばす秘密になっています。

そういえば、軽い紙飛行機も先端に重りを少しつけるとよく飛んだりするなぁ。

飾りじゃない、回転を生む

アーチェリーの矢には「羽」が斜めに付いています。この羽は空気抵抗を利用して矢をスクリュー回転させ、まっすぐに安定させながら飛ばす役割を果たします。羽はゴム製のものや、羽自体にカーブが付いたプラスチック製のものなどさまざま。中には鳥の羽を使用したものもあります。

斜めになった羽が生み出す回転は、コマを回して軸を安定させるのと同じ働きなのね。

ど真ん中の「X」を狙え!

中心に向かって点数が高くなる的。最高値の10点の円を見ると、さらに中央には「X」の文字があります。同点の選手が出たときに、10点に当たった数で競うのがアーチェリーのルール。もし、その数も同じだった場合、「X」の円に矢がいくつ当たったかで勝敗が決まります。

的の真ん中に、さらにど真ん中の印があるなんて! 本当に高い精度が要求されるスポーツだとわかったよ。

ビリビリにならない紙の的

アーチェリーの的は紙製ですが、そこにはナイロンのような糸が格子状に張りめぐらされています。これは矢が何本当たっても破れないようにする工夫。さらに的の裏側には専用クッションを使って、矢を受けた衝撃を抑えます。日本の場合は、古畳を使っている練習場も多いようです。

弓道では稽古用に藁を束ねた「巻藁(まきわら)」を使うわね。自然素材の有効活用、いいと思うな。

肉眼で見えない遠さを射抜くために

試合で選手の脇に置かれているのが「フィールドスコープ」と呼ばれる望遠鏡です。選手は70m先の的を見て、矢がどの点数の円に刺さっているか、刺さった位置は中心に対して上寄りか右寄りかなどを確認し、狙いを修正するために利用します。弓矢と同じく、選手にとって欠かせないアイテムです。

フィールドコープはその名前の通り、バードウォッチングにもよく使われているよ。

所長のコメント

二人とも、精密さが要求されるアーチェリーというスポーツの醍醐味がわかってきたようだね。選手から競技の見どころや道具へのこだわりを聞くと理解がさらに深まるよ。さあ、行っておいで。

2017年9月公開