省エネを実現するパワーデバイスで明るい未来へスイッチ

2024.09.04

#全国で活躍する仲間たち #九州 #製作所 #サステナビリティ #全国の拠点から #コツコツワクワク世界をよくする 省エネを実現するパワーデバイスで明るい未来へスイッチ

三菱電機には全国に支社、支店、製作所など多くの活動拠点があり、それぞれの場所でさまざまな活動を行っている。各所でどのような活動を行い、そこに従事する従業員はどのような思いを持っているのだろうか。今回は、パワーデバイス製作所 福岡事業所で、省エネにつながるパワーデバイスの技術マーケティングや開発に携わる山本翔太さんと井芹果奈さんに話を伺った。

目次

社会貢献に直結するパワーデバイス

左から、パワーデバイス製作所 福岡事業所の商品戦略部の山本翔太さんと、パワーチップ設計部の井芹果奈さん

ー パワーデバイス製作所 福岡事業所はどのようなところですか?

山本:世界的に省エネ意識が高まる中、電力を効率よく利用するためのキーパーツであるパワーデバイスは、電力の制御や供給を行うためのスイッチに当たる部分です。この製作所は、私が所属している鉄道のような大きな電圧を取り扱う電力変換に使われるものから、電気自動車、産業用のロボット、家電用のインバーターに使われるものまで、大きく分けて4つの分野の事業で成り立っています。そのようなパワーデバイスの開発・設計から製造、販売まで全て担っています。

ー 山本さんのお仕事内容について教えてください。

山本:先ほど申し上げた通り、様々な場所で使われているパワーデバイスですが、私は鉄道車両などの電力変換装置に使用される、大容量パワーデバイスの顧客サポート、拡販、技術マーケティングに携わっています。

ー 技術マーケティングというのは、市場動向をリサーチするマーケティングとは違うのでしょうか?

山本:いわゆる営業のマーケティングとは違い、我々はエンジニアという技術職ですので、お客様からの技術的なお問い合わせなどに対して回答をしたり、お問い合わせ内容についての評価を行ったりするなど、技術的なサポートを行っています。そういった活動からお客様のご要望を知り、商品企画と連携することでより良い製品作りに活かし、お客様との橋渡しをする、いわゆる戦略的な業務に携わっています。

ー 井芹さんのお仕事内容も教えてください。

井芹:他部門と協力しながら、電気自動車やハイブリット車に搭載するパワーデバイスの開発に携わっています。より電力損失が少なく、小型で高出力な製品を作ることが目標です。

ー これからの未来でより重要になっていく電気自動車に関連するということで、非常に社会的意義の大きいお仕事だと思いますが、社会や未来に対して、どのような思いをお持ちですか?

井芹:小・中学校の頃から環境問題の話はよく聞いていて頭にはありましたが、規模が大きすぎて実際に自分が何か貢献できるという感覚は持っていませんでした。誰かが解決してくれるだろうと漠然と考えていましたが、就職活動を通じてパワーデバイス製作所が環境に貢献しているということを知りました。同時に、世界的に資源や環境を大事にしようという動きが強くなっている今、自分も少しでも貢献できたらいいなと思い、入社しました。今では、少しは貢献できているはずだと信じて頑張っています。

ー 環境問題や社会への貢献を実感できることは何かありますか?

井芹:段階的にメディアなどで発表されつつある、次世代のSiCという素材を使ったパワーデバイス開発に携わっています。実際に開発に携わったSiCパワーデバイスを搭載した車が走るのは、少し先の話になるかもしれませんが、関わっている最先端の開発について発表されるのを見ることで、環境問題に貢献できているのでは? と感じます。

ー 公共事業である鉄道事業に携わっている山本さんはいかがですか?

山本:井芹さんと同様に、私も昔から地球温暖化などの環境問題に関しては日常的にテレビなどで見聞きして、頭では分かっているものの、実際に自分が地球温暖化に何かできるとは、正直思っていませんでしたが、入社してパワーデバイスの勉強を続けていく中で、自分の仕事が環境問題に貢献しているということを知りました。今では、そういったパワーデバイスを実際にお客様に使ってもらえるようにサポートをしていくことで、環境問題の解決につながっているということを日々感じながら仕事ができていることに誇りを持っています。

ー 例えば鉄道会社が使用する電気量は、個人に比べて大きいですよね?

山本:そうですね。お客様である鉄道事業者様から、使用するパワーデバイスが電気代に直結するというお話もよく聞きます。加えて、最近では猛暑が連日続き、冷房の使用の増加により電力がひっ迫しているというニュースもよく目にします。パワーデバイスの性能を上げれば、電車などで使用する電力量を抑えられる……つまり地球温暖化を防止するのにダイレクトに効いてくると考えています。また、少し前に大規模の受注が獲得できたことで、自分も社会の環境問題に貢献していることを実感できた気がしました。私の業務は顧客サポートが主で製品設計などとは違って自身の貢献が目に見えにくいのですが、自分が担当したお客様から、我々のサポートも評価してくださった上で受注できたことが、仕事のやりがいにもなっています。

大事なのは、さまざまな部署としっかり連携すること

ー 山本さん、井芹さんのどちらのお仕事も数年単位の息の長いプロジェクトだと思いますが、マラソンのようなお仕事でも途中で立ち止まらないためのコツはありますか?

山本:もし、案件もお客様も一つであれば、それだけに注力できますが、実際はそうではありません。一つの案件に集中しすぎて、他の案件が置き去りになってしまうというのは良くないので、優先度を考えつつ、全ての仕事を並行して進めていくことが大事だと感じています。

井芹:一つの製品を作り上げるために、設計の段階では、サンプル1、2、3のようにいくつもサンプルを作って、徐々に進化させていくイメージで仕事を進めています。サンプルの進化と合わせて、自分ができることも少しずつ増えていきます。そうして自分も進化しているのではないかと自分を褒めながら取り組んでいます(笑)。実際に製品として完成するのは、数年後ですね。

ー トライ&エラーを繰り返して、少しずつ山を登っていくようなイメージですね。

井芹:サンプルを作るたびに、その時はそれが1番いい、完璧なものだと思って、みんなで作るのですが、実際に作ってみると、欠点が見えてくるんです。サンプルをみんなでチェックし、そのダメな要因がどこなのかをそれぞれの視点で徹底的に洗い出して、その情報をシェアして、次に活かすようにしています。

ー チームの皆さんで共通して持っている意識はありますか?

井芹:私たちの仕事は、自分たちの部署だけでは、絶対にできない仕事です。例えば、苺のショートケーキを作る時に、スポンジを焼く人、生クリームを塗る人、苺をのせる人、最後に箱に入れる人など、役割が細分化されているのと同じです。どれか一つだけがうまくいってもケーキにはならないのと同じで、最初から最後まで、関わる全ての部署や人とうまく連携することが大事だということは、入社時から教えられてきたことです。だからでしょうか、チームの雰囲気も良くて、失敗やうまく行かなったところを改善するというのは基本ですが、開発の中で失敗があろうとよりよい方向にみんなで向かうという一体感があり、ポジティブな雰囲気を感じています。

山本:私の部署は戦略を練る役割であり、設計や製造はできません。なので、製品に関して一番詳しい設計部門の方々ともたくさんやり取りをしますし、アドバイスをもらってお客様に回答することも多く、私の部署だけでは絶対に受注を取ることはできません。他の部署も含めて、様々な方とコミュニケーションを取ることが大事というのは、私の部署でも常に言われています。

ー これからの目標や実現したいことは何でしょうか?

山本:私の部署は、顧客サポートに限らず、技術マーケティングや拡販業務、戦略立案を担う部署として生まれ変わったばかりです。これからは、より良い商品企画を作るためにお客様の思いや市場ニーズを集約するという業務を行う予定です。そうした業務を通して、実際に自分で発見したお客様の思いやニーズを汲み取って、受け身ではなく自らアクションを起こしながら、商品企画につなげられたらと考えています。

ー 理想を言えば、お客様自身も気付いていないような、潜在的なニーズも感知できると強いですよね。

山本:そうですね。そのために意識しているのは、例えば、お客様から技術的な質問を頂いた時に、単純に答えるだけではなく、なぜこの質問をされたのかという質問の意図をお客様に確認して、そこからお客様がどんな情報やスペックを求めていらっしゃるかを読み取ること。それがお客様の思いやニーズに一番つながっているのだと考えています。

ー 井芹さんの今後取り組みたいことも教えてください。

井芹:今携わっている新規開発のプロジェクトを100%の状態まで持っていき、それが実際に車に搭載されることが1番実現したいことです。ニュースなどでご存知かもしれませんが、自動車用のパワーデバイスが不足している現在、様々な会社が製品を量産しようとしています。その中で、お客様が他社よりも三菱電機のパワーデバイスを選びたい、と思ってもらえるような製品を作れるように頑張りたいです。

ー そのモチベーションとして、環境問題への思いもあるということですね。

井芹:そうですね。今はとにかく周りから学ぶ時期なので、まずは自分ができることを増やしていきたいです。後輩が入ってきたら、その教えを伝えられるように、一生懸命勉強して自分の力をつけるように心がけています。

この記事をシェア

関連タグ