世界で注目されるパワーデバイスで、脱炭素社会の実現に貢献する

2024.09.04

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三菱電機には全国に支社、支店、製作所など多くの活動拠点があり、それぞれの場所で様々な活動を行っている。各所でどのような活動を行い、そこに従事する従業員はどのような思いを持っているのだろうか。今回は、パワーデバイス製作所 熊本事業所でパワーデバイスの製造に対して別々の役割で携わっている向井健太さんと山田真揮さんに話を伺った。

目次

電力損失を減らし、電力を効率よく使えるために

左から、パワーデバイス製作所 熊本事業所の向井健太さんと山田真揮さん

ー まずは、パワーデバイス製作所 熊本事業所がどのようなところなのか教えて下さい。

向井:近年、環境保護意識と省エネ意識の高まりを背景に、家電のインバーター化(*)が進んでいます。同時に、風力発電や太陽光発電、ハイブリッド車なども普及していますが、これらの電力の効率的な利用の鍵を握る部品が、パワーデバイス(電力用半導体)です。三菱電機では1952年に中央研究所でパワーデバイスを開発して以来、電気機関車や電力会社など時代のニーズに応えた製品を供給しながら技術を磨いてきました。熊本事業所では現在、従来のSi(シリコン)素材から、より電力損失が発生しにくいSiC(炭化ケイ素)へと研究を進め、より良い製品の開発に尽力しています。「より良い」とは具体的にどのようなものかというと、いかに電力損失を減らし、効率よく電力を使えるかを追求している、ということです。これは国内だけにとどまらず、世界が抱えている電力問題に大きく貢献していると思います。

  • 家電にモーターの回転を制御するインバーターを内蔵すること。それによって電力消費を抑えることができる。

ー 向井さんはどのような業務を担当しているのですか?

向井:資材部ウエハ資材第二課に所属しており、パワーデバイス製造になくてはならない部材を集める仕事をしています。

ー どのような思いで仕事に取り組んでいますか?

向井:私が携わっているSiCは、今世界で最も注目されている部材です。これからパワーデバイス製作所でもこの部材を使った製品の生産量を増やそうとしており、SiC専用の工場を新設する予定もあります。全世界がサステナブルな社会を実現していこうとしている中で、家電から鉄道まで幅広い分野に関わっている三菱電機が、環境負荷の低い製品を率先して作っていくことは非常に重要なことです。社会のロールモデルとなるべく、仕事に邁進しています。

ー 向井さんはSiCにどのような可能性を感じていますか?

向井:一般的にSiCの特徴は「小さいサイズで高出力」と表現されますが、私自身も、従来のシリコン素材に比べてSiCはサイズ自体が小さいことが魅力だと感じています。なぜかというと、例えば自動車メーカーがこの部材を使う場合、部材が小さくなる分、自動車全体の重さも若干減ることになります。そうすると、車を動かすのに必要なエネルギーも削減でき、石油やガソリン、電力の使用量も少なくなる。SiCの開発が進むことで、自動車を含めあらゆる分野でこうした環境に配慮した製品を開発していくことができます。ですので、SiCは今後ますます世界規模で必要とされていく部材だと感じています。

ー 仕事のやりがいや喜びを感じるのはどのような時ですか?

向井:当社におけるパワーデバイスの研究・開発の歴史は長く、そのぶんノウハウや知見もありますので、常に時代の最前線で、最先端の技術をもって業務に取り組めることに誇りを持っています。また、調査機関などから開発段階の資材の情報を得たり、市場では次にどんなものが注目されるのか、という最新のデータについて教わったりすると、非常にワクワクします。まだ世の中に広まっていないものに触れられる喜び、というのでしょうか。自分たちが社会に伝えていくんだ、浸透させていくんだ、という責任感と共に、楽しみだな、という思いを抱きながら仕事に取り組んでいます。

ー 日々の生活で、仕事で携わった製品を目にすることもありますか?

向井:たくさんあります。例えば、新しい電車の車両に当社の製品が搭載された、というニュースを見聞きすると、我々が作っているものが世の中にしっかり普及して使われているんだなという実感を得られて、うれしくなります。より良い製品を作っていこう、これからも頑張ろう、というモチベーションにもつながります。

製品の安定した製造に欠かせない装置のメンテナンス

ー 山田さんにもお話を伺っていきたいのですが、まずは現在のご担当内容を教えて下さい。

山田:私はウエハ製造第一部装置課に所属しています。主に工場勤務で、パワーデバイスを製造している装置のメンテナンス業務を行なっています。

ー 向井さんのお仕事とつなげるのであれば、向井さんが集めた部材を使って製品を製造していく中で、その製造するための装置を山田さんが管理しているイメージでよろしいでしょうか。

山田:そうです。

ー 世の中に役立つ製品を製造していく上で山田さんの存在は欠かせない、ということですね。

山田:自分ではそのように自負しながら、責任感を持って仕事に取り組んでいます。製造設備の業務担当になって4年目ですが、今もまだ一人前とは言えない部分もあります。周りの作業者の人は40代50代のベテランの方がほとんどですので、緊張感はもちろんありますが、熟練の技術や知識を学ぶ機会に恵まれたと思い、日々の仕事に取り組んでいます。

パワーデバイス製作所 熊本事業所のD棟

ー お仕事をされる上での目標はどのようなものですか?

山田:今は装置のメンテナンス業務に専念していますが、ゆくゆくは設備の構造についての知識を深めて、自分が行える業務の幅を広げたいと思っています。例えば、今は限られた作業しか行えませんが、対応できる範囲や内容が増えれば、工場内のあらゆる装置トラブルに対応できるようになります。そうなれば、工場としては実質的に設備管理の作業者が増えることになりますので、トラブル発生による設備の停止時間が減って、今より多くの製品を製造できるようになります。その結果、世の中にSiCを使った製品が今よりもっと普及し、エネルギーの効率化がはかられて地球環境への負荷が軽減し、次の世代にきれいな地球を残すことにつながっていきます。そういった形で、社会に貢献できるようになりたいと思っています。

ー ありがとうございます。目の前のお仕事が未来の社会や世界につながっていくイメージを持たれているのですね。ところで話は変わりますが、山田さんは三菱電機のソフトボール部に所属しているそうですね。

山田:はい。入社前からソフトボール部に入ることは決めていました。

ー 会社選びの際に、ソフトボール部があることが大きな魅力になったのですか?

山田:はい。私は熊本出身で、県内で就職したいと考えていたんです。工業高校を卒業したのが2013年なのですが、その時期に「半導体は今後ますます成長していく分野だ」と感じていました。その中で、三菱電機は熊本にパワーデバイス製作所があり、かつソフトボール部がとても強くて有名だったので、半導体製造に携わりながらソフトボールでも活躍できたらこんなに楽しいことはないな、と思って入社しました。

ー ソフトボール部での成績はいかがですか?

山田:毎年、全国実業団選手権大会に出場していて、国体の県選抜選手の一員にもなっています。

ー ソフトボール部での活動の中で、うれしかった出来事はありますか?

山田:地域の人から応援していただけることです。グラウンドで練習していると散歩で通りかかった人や、家族連れで公園に遊びに来ている人の目に触れる機会があるのですが、そういった時に「新聞で、三菱電機の熊本事業所がソフトボールの大会で優勝したっていうのを見たよ」と声をかけていただく機会が結構あります。こうしたことがあると、「熊本県に明るいニュースを提供できるよう、これからも頑張ろう」と前向きな気持ちになれるんですよね。やはりスポーツというのは無条件に人を元気な気持ちにしてくれる魅力を持っていますので、こういったところからも地域の人の豊かな生活に貢献していきたいなと考えています。

ー ありがとうございます。今回は地球規模の課題を解決する大きなテーマから、地域の人とのコミュニケーションまで、幅広いお話をお聞きすることができました。今後も頑張って下さい。

山田:はい。向井と私は担当業務こそ違うものの、携わっている製品は同じですし、地域や世界に貢献していきたいという思いも共通しています。それぞれが自分のスキルをレベルアップし、担当している業務のプロフェッショナルを目指しながら今後も邁進していきたいです。

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