二つの展示会で示す、「イノベーティブカンパニー」への変革の姿

2025.12.17

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三菱電機グループは、さらなる事業発展と社会・環境貢献に向け、既存事業の拡大に経営資源を集中する「オペレーショナルカンパニー」から、リスクを恐れず新たな価値を創出し続ける「イノベーティブカンパニー」への変革を推進している。変革への取り組みを紹介する展示会運営を担当した河野真智子さんと李婷婷(りていてい)さんに、三菱電機グループの姿勢をグローバルに発信した手応えと変革を伝えるブランドコミュニケーションの在り方について話を聞いた。

目次

李婷婷(左)河野真智子(右)

INTERVIEWEE

三菱電機(中国)有限公司 広報宣伝室 主管

李婷婷(写真左)

2018年入社。広報宣伝担当として、中国域内の展示会、社内報、リージョナル会議などを手掛ける。

INTERVIEWEE

三菱電機 ブランドコミュニケーション部 CXコミュニケーショングループ

河野 真智子(写真右)

2019年入社。展示会ブランディングの担当として、グローバルにおける展示会の企画・運営支援などを行っている。

イノベーティブカンパニーへの変革を伝える二つの展示会

2025年5月、三菱電機グループはリスクを恐れず新たな発想で価値を創出し続けるイノベーティブカンパニーへの変革を宣言。デジタル基盤「Serendie®(セレンディ)」による「ビジネスモデル変革」、IT・DX・AIの積極活用に向けた組織・業務プロセスの改革やグローバルでの協業を推進する「デジタル基盤強化」、DX人財を拡充し新たな組織風土を醸成する「マインドセット変革」を三本柱に、今まさに改革を加速させている。

2025年秋には、日本と中国、二つの展示会において、三菱電機グループの変革への取り組みを紹介した。まず日本では、10月14日から10月17日まで開催されたデジタルイノベーションの総合展「CEATEC 2025(シーテック 2025)」に出展。三菱電機グループが注力する5つの社会課題のうち「ウェルビーイング」に焦点を当て、『「働く」を自分らしく。~Serendieで生み出すイノベーション~』をテーマに、オフィスや工場など様々な職場で誰もがいきいきと働ける環境の実現を支援するソリューションや最新技術を紹介した。河野さんは狙いをこう語る。

「三菱電機グループには先進的なソリューションが多くありますが、BtoB事業が中心のため、一般の消費者にはその提供価値や先進性が伝わりにくいのが現状です。『CEATEC』は、ビジネス関係者だけでなく、一般の方や学生も来場する展示会であるため、三菱電機グループの技術を直感的に感じていただけるように工夫しました。

例えば、オフィスエリアで展示した『心とテクノロジーが共鳴するオフィス空間』のデモンストレーションでは、当社の独自センサーで体験者の脈拍情報を測定し、集中度を推定。結果に応じてAIが機器を制御し、一人ひとりにあった最適な空間づくりに貢献します。具体的には、集中度が高かった人にはロボットがコーヒーを届けたり、疲れている人にはリラックスのために照明の色を変えたり、空調機の風を当てて覚醒を促す、といったように、体験者のパフォーマンスをより良くするためのソリューションを提供します。デモンストレーションを通じて、お客様には楽しみながらソリューションの提供価値や先進性を理解いただけたのではないかと思います」(河野さん)

「工場エリアでは『AIで自律的に進化する未来の工場』と題し、自転車の模擬塗装ロボットのデモンストレーションを展示しました。こちらでは、クラウドAIとエッジAIを使い、塗装作業中のトラブルに自律的に対応したり、デジタル空間でのシミュレーションをもとに自律的にロボットの動きを改善したりする様子をご覧いただきました。クラウドサービスに強みを持つAWS(Amazon Web Services)社と、コンポーネント分野で培ってきた当社の強みを掛け合わせた共創事例です。こうしたパートナー企業との共創もイノベーティブカンパニーへの変革に向けた取り組みの一つであり、共創により新たな価値を創出していることをお伝えできました」(河野さん)

「CEATEC」終了からおよそ3週間後、中国では、11月5日から11月10日まで中国政府主催の総合見本市「第8回 中国国際輸入博覧会」(以下、「輸入博」)が開催された。この展示会は「輸入」をテーマに、外資企業が多数出展する国家レベルの総合博覧会であり、三菱電機グループにとって「自社の先進的なソリューション、技術革新、未来志向を訴求するための重要な展示会だった」と李さんは話す。

「『輸入博』は、政府や国有企業の関係者、バイヤー、メディアなど、専門知識を持つ来場者が多い傾向があります。実は、中国では三菱電機という社名は浸透していても、具体的な事業についてはまだまだ知られていない状況です。そのため、三菱電機グループが進めているイノベーティブカンパニーへの変革を中国市場にPRする上で、国内外から注目を集める『輸入博』はとても効果的な場となりました。

イノベーティブカンパニーへの変革に向けた取り組みを体験していただけるように、私たちは中国ローカルのAI・ロボット企業『鹿明ロボティクス』と共創している生産現場のソリューションを紹介しましたが、この工場の外観検査ラインには大きな反響がありました」(李さん)

「工場などの製造現場では、製品の品質を保証・維持するために、外観に不具合がないかを確認します。今回紹介した外観検査ラインは、三菱電機製のロボットアームが生産や運搬を行い、鹿明ロボティクス製のロボットが外観を最終チェックするというものです。このロボットは、エンボディドAIと呼ばれるもので、物理的な身体を通じて現実世界と相互に作用することができるので、指定された動作を繰り返すだけでなく、周囲の環境を認識して状況に応じて身体を制御することができます。中国政府がAIや人型ロボット産業に注力していることもあって、大きな注目を集めました。AIや人型ロボットの開発が世界的にも進んでいる中国において、現地パートナーとの共創によってイノベーション創出に取り組む姿勢をアピールできたと感じています」(李さん)

リアルの体験だからこそ得られる、深い共感

展示会というお客様と直接接点を持つ場だからこそ、オンラインでは得られない大きな手応えを感じた。

「『CEATEC』は、普段の生活では直接触れる機会が少ない当社の先進技術やソリューション、パートナー企業との共創を、デモンストレーションやスタッフの説明を通じて、分かりやすく直感的に体験していただくことができる貴重な機会です。『三菱電機ってすごいんだね!』と話しながらブースをあとにするお客様もいましたし、来場者アンケートでは先進的な取り組みへの好意的なコメントを多くいただくなど、イノベーティブカンパニーへの変革に向けた三菱電機グループの姿勢が伝わったのではないかと感じています。また、私たちにとってもお客様のリアルな反応に触れられる貴重な機会となりました」(河野さん)

「複数のメディアで『輸入博』での出展物が紹介されたほか、来場者からは『三菱電機の製品は品質がいいね』との声も寄せられました。最近、中国では買い替えブームが起きていますが、『次は三菱電機の製品を購入したい』という感想をいただき、来場者の期待感を感じることができました。さらに、工場の外観検査ラインで共創しているパートナー企業の、人型ロボットによるデモンストレーションがSNSで拡散されるなど、三菱電機グループブースに多くの注目が集まったと思います」(李さん)

三菱電機の姿勢を伝えるブランドコミュニケーションの重要性

これからも、さまざまな機会で三菱電機グループの取り組みを伝えたいと語る二人。社外はもちろん、社員に向けたインナーコミュニケーションも促進していきたいと話す。

「イノベーティブカンパニーへの変革は、2025年5月に発表されたばかりです。現在は、社外はもちろんグループ各社や海外の社員を巻き込みながら社内の理解・浸透も進めていく段階にあると思っています。『CEATEC』のように様々な部門の社員が一丸となる総合展示会は、社内への発信の場としても非常に効果的だと考えていますし、その他のコミュニケーション施策も含めて、三菱電機グループの変革に向けた取り組みを社内外に広く発信していきたいと思います」と河野さん。

「“イノベーティブ”という言葉は、中国でもトレンドになっています。ですから、三菱電機グループにおけるイノベーティブカンパニーの定義や、他社とは異なる三菱電機グループならではの独自性を伝えることが、ブランドコミュニケーションにおいて重要になると思います。私自身もしっかりと理解した上で、グローバルに発信していきたいと思います」と意欲を見せる李さん。

イノベーティブカンパニーへの変革に取り組む三菱電機グループ。グローバル一体となって取り組む姿に、ぜひ期待してほしい。

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