2024.08.05
#世界で働く従業員の声 #ブログ #ヨーロッパ・中東 #トルコ共和国 思い込みを捨てた積極性が強い信頼関係を築く
世界各国にある三菱電機グループの拠点で働き、多様な文化と環境の中で生活をする従業員の方々は、どのような思いを持って日々を送っているのだろうか。今回は、三菱電機の海外OJT研修でトルコに派遣された栗原弘季さんに、1年の研修期間での経験や感じられた思い、そしてこれからについて、ご自身の言葉で綴っていただいた。
目次
その国のコミュニケーションスタイルを学ぶ大切さ
Mitsubishi Electric Turkey Klima Sistemleri Üretim A.Ş(以下、MACT)の栗原弘季と申します。
私は2018年に三菱電機に入社し、静岡製作所のルームエアコン生産技術部門に配属されました。そこでの担当は熱交換器というエアコンの性能を左右するキーパーツで、この部品の製造技術開発、新規設備導入、生産性改善などを行っていました。
2023年から派遣先のトルコにあるMACTでは、製造部門のアドバイザーとして、これまで担当してきた熱交換器に加えて、板金、樹脂部品の生産性改善も行っています。
生産性改善のために、各工程の稼働率を見える化し、分析を実施、改善策を立案、工程変更及び設備の改善や増強を実施し、高効率と高品質の生産を目指して日々業務に取り組んでいます。
私が最初にトルコに来て驚いたことは「会話が始まる時の挨拶」で、次のような会話からコミュニケーションが始まります。
「Günydün. Nasılsınız?(おはよう。元気ですか?)」
「Iyiyim Teşekküler. Siz Nasılsınız?(調子いいですよ。ありがとうございます。あなたは?)」
「Ben de iyiyim teşekküler.(私も調子いいです。ありがとう。)」
仕事中話し掛ける時や、電話をする時も必ずこの挨拶から始まるので「毎回笑顔でお互いの調子を確認し、感謝し合うとは何て素敵な文化だ!」と思いました。この挨拶ができるようになってから現地スタッフとの距離も縮まったので、その国のコミュニケーションスタイルを学ぶ大切さを実感しました。
快適で働きやすい活発な職場
MACTはトルコ・マニサ県の工業団地に位置しており、2017年にできた比較的新しい工場です。エントランスは多くのお客様をお出迎えできるよう広々としたつくりで、製造現場には自動化された設備が多く、見学者にも好評です。
オフィスには最新の機器が導入されており、レイアウトも工夫されています。4つの机を1ブロックとして設置されているので、コミュニケーションが取りやすく、スタッフ同士も和気あいあいと仕事をしています。立ち上がって仕事ができるように机の高さを調節できる機能が付いていますので、デスクワークをしても腰が痛くならず、ちょっとした打合せもしやすい快適な環境です。
スタッフの平均年齢は31歳と非常に若く、新しいことに挑戦するチャレンジ精神にあふれており、実行力が高い人が多いと感じます。
ある時、生産ラインでとある改善をスタッフに提案したことがありました。準備期間や導入の検討などに1週間くらいかかるだろうと思っていましたが、そのスタッフは丸一日ですぐに実行してしまったので、とても驚きました。
日本の場合、十分計画を練ってリスクを潰し実行に移しますが、トルコでは、上手くいかなければその都度修正しながら進めていくスタイル(場合)が多いので、その実行スピードは半端ではありません。彼らのスピード感は私も学ばなければと思っています。
親切で優しいトルコの人たち
1日のタイムスケジュール
6:00
起床
自宅から会社手配のバスで通勤します。
7:15
出社後
会社のカフェテリアでパンを買って食べます。
7:30
就業開始
就業時間は7:30-17:30と朝は早め。
日本とは時差がマイナス6時間なので、午前中は日本との打合せがあることが多いです。
12:00
昼食
会社のカフェテリアで食べます。出来たてで美味しいトルコ料理が品数も豊富に食べられます。
13:00
休憩
時々チャイを飲む休憩を挟みながら業務に取り組みます。一息入れると頭もリフレッシュされて効率よく仕事を進めることができます。
17:30
退社
その日の業務を終了し、退社します。
18:30
帰宅後
夜は毎日手料理をしたトルコ料理を食べています。時々現地でできた友達と一緒にお茶したり、イズミルの綺麗な夕焼けを見に行ったりして時間を過ごすこともあります。
22:00
就寝
トルコに来て半年以上が経ちますが、トルコ人は誰に対してもとても親切だと感じます。ある日、出張で空港に向かう電車が途中で急に止まってしまったことがありました。車掌のアナウンスは全てトルコ語で、かつ早口で話されたので、理解することができず困っていたところ、私の向かい側に座っていたトルコ人が、「もう数分で動くから大丈夫だよ!」と状況を説明してくれました。また子供連れや年配の方が電車に乗って来ると誰かが必ず席を譲りますので、トルコ人はみんな親切で優しい心を持っているのだと思います。
積極的に行動することから始まる
生産ラインの改善を進めるためには、オペレーターに生産設備や作業内容の調査協力をお願いすることがあります。私は赴任当初トルコ語が話せなかったので、英語を話せる現場責任者に内容を説明した後、現場責任者からオペレーターにその内容を伝えてもらっていました。
しかしある時、オペレーターに内容が正確に伝わっておらず「この調査に何の意味があるのか? 仕事を増やすな!」と怒られてしまいました。現場責任者はその時不在で焦りましたが、私は覚えたてのトルコ語と、身振り手振りを交えて説明したところ、意図が伝わり事なきを得ました。
その後は、その方と極力トルコ語で話すようにして、今では一緒にチャイを飲みながら休憩をしたり、問題があると些細なことも直接教えてくれたりと、信頼関係を築けたと感じています。
大切なのは、言葉の壁を理由に伝えることを諦めないことだと思います。今は翻訳アプリも充実しているので、十分に現地語が話せなくても「あなたとコミュニケーションを取りたい!」という気持ちを持てば、関係性は築けていくはずです。
赴任当初からいくつか改善提案をしましたが、担当者は「OK」と返事をしてくれるものの、誰も何も対応してくれないことがほとんどでした。日本の場合「NO」と明言されずとも、雰囲気で察することが多いですが、はっきり「OK」と言ってくれるのに何もアクションがないことには戸惑いました。
そこで自ら率先して現場に赴いて手を動かし、自分で改善に取り組み、成果を出していきました。また、一方的に改善提案を主張するのではなく、改善内容が正確に伝わるように絵を書いて説明したり、どれだけのメリットがあるかデータで示したりと、丁寧な説明に努めるようにしました。
細かいことですが、こういった積み重ねを通じて徐々に現地スタッフと信頼関係が出来てきて、次第に協力してくれるようになりました。
仕事を円滑に進めるには、お互いの信頼関係が最も大事であるということ、そのためには相手に信頼してもらえるように自ら行動で示すことがいかに大切であるかを学びました。
またトルコで生活していると、周囲に対する感謝の気持ちが自然と増えます。例えば、道端で物を落とした時近くにいた人が拾ってくれたり、道に迷っていた時偶然通りかかった人が道を教えてくれたり、電車やバスで席を譲り合うのをよく見かけたりと、トルコ人は誰か困っている人がいるとすぐに助ける、隣人愛にあふれています。私も困っている人をみたら手助けしようという気持ちが高まりましたので、人としても成長しているように感じます。
今MACTでは主に欧州向けに空調製品を出荷しており、トルコ向けの増加にあたってはシェア拡大が課題となりますが、トルコでは欧州よりもより安価な空調製品が求められるのではないかと思います。
そのためには安価な材料を使いながら安定した生産を実現し、省人化を進めて加工費を下げるなど、一段高いレベルの生産技術が求められます。
MACTの現地スタッフと連携し生産技術力の底上げを図り、その結果トルコ全土にもっと安価な三菱電機の空調製品が行き渡り、トルコ人のQOL(Quality of life)が向上することを願っています。
皆さんは「海外で仕事をする」と聞いた時、どのようなイメージを持ちますか? 帰国子女の方、学生の頃に海外留学した方などが働く場所と思われるかもしれませんが、三菱電機では誰にでもチャンスはあります。
現に私も海外留学や海外旅行の経験すらなく、自分の英語力が海外で通用するのか不安でしたが、現地で学びながら挑んだところ、社内での英会話は大方支障がない程度には出来るようになりました。大切なのは思い込みや固定観念を捨てて、まずはチャレンジしてみることではないでしょうか。
PROFILE
Mitsubishi Electric Turkey Klima Sistemleri Üretim A.Ş(MACT)
栗原 弘季
MACT工場の生産ライン(熱交換器、板金、樹脂部品)における、生産技術を担当しています。
2018年
静岡製作所入社 ルームエアコン製造部 生産管理課 配属
2022年
静岡製作所 ルームエアコン製造部 生産技術課 配属
2023年
現職
- 掲載されている情報は、2024年4月時点のものです。
制作: Our Stories編集チーム