技術系 1985年入社 文理学部 平岡 利枝 住環境研究開発センター 副センター長 兼 製品化技術開発部長 その他企画・管理等技術系 1985年入社 文理学部 平岡 利枝 住環境研究開発センター 副センター長 兼 製品化技術開発部長 その他企画・管理等

技術系 1985年入社

文理学部

平岡利枝

住環境研究開発センター
副センター長 兼 製品化技術開発部長
その他企画・管理等

※記事、所属・役職及び写真は取材当時のものです。

幅広い製品と技術を持つ
自分たちの強みを集め、
家電の新時代をつくる。


「ものづくり」の奥深さに感動。

私の最初の配属先は、静岡製作所の冷蔵庫製造部・技術課。それから23年間、冷蔵庫の設計や技術開発に携わりました。三菱電機では、各製作所が担当製品の商品企画から営業までを担う体制になっており、技術課は「来年の冷蔵庫をどうするか」を、社内の研究所や大学の研究室などの力も借りながら企画し、具体化する役割を担っていました。その中でも主になるのは設計で、私も10年近くは部品設計が主な担当業務でした。

自分に身近な製品の「ものづくり」に携わりたいと思って三菱電機に入社したのですが、設計者の一員になって驚いたのが、ものづくりの奥の深さ。庫内のラックは牛乳パックならここ、缶ジュースならここに入れようと自然に導く高さになっている、卵ケースの穴はL・M・Sのどの大きさでも安定して収まる大きさになっている。設計図の1本1本の線にさまざまな意味と想いが凝縮していて、その結果、ユーザーは何も考えなくても使える冷蔵庫ができ上がっていることに感動すら覚えました。

私が入社したのは男女雇用機会均等法が制定された年で、各社とも女性総合職の採用を増やし、三菱電機にも技術系の女性総合職が100人ほど入社しました。それでも男女比は8:1程度で、静岡製作所に配属されたのは私一人。製造現場に近い設計部門の技術者として女性総合職が配属されたのは私が初めてという状況でした。そのため、上司も私の扱いに戸惑ったのではないかと思います。均等法が制定されたとはいえ、当時はまだ「女性は結婚や出産で退職する」という意識が強かった時代。最初の1年は自分の立場が定まらず、いろいろな仕事を任されていました。同期で入った男性技術者を見ると、早い段階で断熱材のウレタンといった一定の担当領域が決まり、技術を蓄積していくのですが、私にはそういった方向性が見えません。しかし、それが貴重なチャンスをつかむことにつながりました。入社2年目に入ったある日、上司から「次のモデルに新しい機能を盛り込むことになった。その開発を担当してくれるか?」と告げられたのです。

「ものづくり」の奥深さに感動。

入社2年目で偶然巡ってきた責任ある仕事。

おそらく、急遽開発が決まったため、担当できる技術者がいなかったのでしょう。調湿機能に優れた新素材を取り入れるという方向性は決まっており、毎日野菜を買っては保存実験を行い、レポートにまとめました。急遽決まったことなのでスケジュール的にも厳しく、休日も返上して実験を繰り返しました。そんな苦労もありましたが、おかげで新機能の導入を決める重要な会議に出席するなど、若手にはなかなかできない貴重な経験もできました。妥当性を高めるため、さまざまな文献で原理原則まで調べたレポートが部署全員に回覧されたのも、仕事の達成感を感じる最初の経験になりました。

この実績が認められ、部品設計と並行して食品の保存性に関する機能開発に携わるようになり10年ほどが経った頃、大きな転機が訪れました。「切れちゃう冷凍」という、多くの方に注目していただいた新機能の開発を担当することになったのです。

入社2年目で偶然巡ってきた責任ある仕事。

冷蔵庫の本質を見直して生まれた「切れちゃう冷凍」。

このアイデアは、部署の若手を集めて行われた、企画力を高めるための研修の中で生まれました。企画立案をする上では、まず対象製品の在るべき姿をとらえることが重要だという話があり、まずは冷蔵庫の本質とは何かをとことん考えることにしました。その結果、思い至ったのが「冷蔵庫の価値とは、時間をつくる」こと。冷凍であれば、スーパーでまとめ買いして長期間保存できるため、買い物に行く頻度が減り、時間をつくることができます。しかし、本当にそうなっているのか。実生活では、使うときのことを考え、小分けにして冷凍室に入れます。その小分けにするという作業時間が取られていることに疑問を感じたのです。冷凍室から出した食材をそのまま包丁で切って使えるのが、本来の在るべき姿ではないか。そうして「切れちゃう冷凍」のアイディアは生まれました。研修で発表したところ、実際に開発を進めることになり、1999年に製品化に至りました。

「切れちゃう冷凍」では、既成概念の壁を感じることもありました。主婦の方を集めた開発途中の調査では、「冷凍したままの食品が包丁で切れる」と説明するだけで、ほとんどの方が「そんな冷蔵庫があれば買いたい」と評価してくれました。ところが、営業現場の説明に行くと、「そんな冷凍ではおいしく保存ができない」と否定的な反応ばかり。冷凍の温度帯を上げるので、確かに従来ほどの長期保存はできません。しかし、日々家事を行っているユーザーほど真の価値を理解してくれたのです。「この冷蔵庫で冷凍したお肉を切って食べてみてください」。実際に切れることを体感いただき美味しく召し上がっていただくことで、営業担当にも販売店のバイヤーの方にも理解が広がり、「切れちゃう冷凍」は三菱冷蔵庫の商品競争力の一つになりました。

冷蔵庫の本質を見直して生まれた「切れちゃう冷凍」。冷蔵庫の本質を見直して生まれた「切れちゃう冷凍」。

「ものづくり」から「ことづくり」の時代へ。

2008年に住環境研究開発センターに異動して製品化技術開発部の部長となり、2014年からは副センター長も兼務しています。冷蔵庫の開発に長く携わってきましたが、今は炊飯器やレンジ、クリーナーなどの家電製品にも携わる立場になりました。冷蔵庫製造部の先行開発マネージャーとして設計や特許などの専門家をとりまとめていたように、各技術のプロをとりまとめていけばいい。その上でニーズとシーズ、社会の動きを見て、製品の方向性・コンセプトを押さえていくという自分の役割は、静岡時代も今もそう大きくは変わりません。

「ものづくり」から「ことづくり」へと移りつつある今は、より広い視野を持つことが重要になっています。炊飯器だけでなく、食生活を考える。エアコンも住宅や住環境とともにとらえ直す。他事業とも手を組み、新たな価値を創造していく。幸いにも、三菱電機には多彩な製品と技術があります。それらの横のつながりを強化し連携していくことで、新たな価値を創造し、三菱電機の存在感をより一層高めたいと思っています。

「ものづくり」から「ことづくり」の時代へ。

※写真及び記事は取材当時のものです。


Career Profile

1985年
入社。静岡製作所の冷蔵庫製造部・技術課に配属。家庭用冷蔵庫の開発を担当。
2004年
冷蔵庫製造部に新たに設けられた先行開発グループのマネージャーに。
2008年
住環境研究開発センターに異動。製品化技術開発部の部長に任命される。
2014年
住環境研究開発センターの副センター長に。製品化技術開発部部長との兼任。
2016年
住環境研究開発センターのセンター長に任命。

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