INTERVIEW

インタビュー

SCROLL

自身の経験を活かしながら、
エールのバトンをつなぐ思いで
女性活躍推進に取り組む

松原 公実さんの写真松原 公実さんの写真

自身の経験を活かしながら、
エールのバトンをつなぐ思いで
女性活躍推進に取り組む

開発本部 開発業務部 部長
松原 公実

第9回女性技術者育成功労賞表彰式の写真

統合デザイン研究所における女性デザイナーの採用拡大と育成、そして女性が活躍できる環境構築に力を注いできた開発本部 開発業務部長の松原公実さんは、その取り組みが評価され、女性技術者・研究者育成の功績をたたえる「女性技術者育成功労賞」を三菱電機として初めて受賞しました。

自身がデザイナーとしてキャリアをスタートし、結婚や育児などのライフイベントを経験しながら自分らしい働き方を模索し続けてきた、その歩みについて聞きました。

松原 公実さん インタビューを受ける様子

社会を変える仕事に携われる、
そこに魅力を感じて三菱電機を選ぶ

──── 学生時代、どのような将来像を思い描いていましたか?

子どもの頃から宇宙が大好きで、宇宙飛行士になりたかったですね。それから獣医、ジャーナリストなどいろいろ夢見たことがありました。ずっと絵や工作は好きでしたからデザイナーという仕事も頭にはあったのですが、いつも第3希望くらいでした。

デザイナーを目指そうと決めたのは高校2年の終わり頃。近所の町工場からスチール缶のゴミ箱のデザインを頼まれ、アルバイト感覚で引き受けたところ、本当に採用されたのです。通学途中にその缶でゴミ出しをしている人を見かけ、自分が考えたものが誰かの生活に入っていくことに感動を覚えて、デザイナーが一気に希望の進路となりました。

──── その後、大学ではプロダクトデザインを専攻されました。三菱電機への入社を決めた理由を教えてください。

一言でデザインといってもグラフィックや空間デザインなどさまざまなジャンルがありますが、私はものづくりの仕事に魅力を感じていたので、迷わずプロダクトデザインを専攻しました。

就職を考えるときにも“社会に役立つものづくり”がしたいという思いがあり、またワクワクするような最新のテクノロジーにも興味があったので、電機メーカーを希望しました。三菱電機を第一志望にしたのは、家電から社会インフラ、宇宙まで幅広い事業を手掛けていることを知り、ここなら社会にプラスの影響を与え、社会を変えていく仕事に携われると考えたからです。この時の直感は、間違っていなかったなと思います。

──── 実際に三菱電機のデザイン研究所(現在の統合デザイン研究所)に入られて、いかがでしたか。

まず驚いたのがプロの仕事のスピードです。一日の中で複数の製品のアイデアを考え、スケッチを描き、図面を書いて……といった作業を先輩たちがどんどんこなしていくのを見て、ついていくのに精一杯でしたね。

最初に配属されたのがビデオデッキやテレビを扱うグループでした。その後は冷蔵庫など白物家電のデザイン、人中心の考え方に基づく製品コンセプトの考案、顧客企業向けに新たな事業コンセプトを提案するソリューションデザインなど、いろいろなグループで仕事を経験していきました。とくに人中心のコンセプト考案はグループ立ち上げから志願して取り組んだ仕事です。成果の一つ、高齢者が増えていく時代のアクティブシニア研究は、本質価値を追求するコンセプトが高価格帯の家電製品群に活かされました。

松原 公実さん インタビューを受ける様子

PLANNING &
ADMINISTRATION DEPT.

社会課題が複雑化する中でデザインの役割が拡大

──── 2015年から2017年にかけて内閣府の科学技術・イノベーション政策を作る組織に3年間出向されました。

会社からいったん離れて三菱電機を客観的に見られたのはいい経験でした。他の民間企業からの出向者は研究職中心で、デザイナーの私は異色でしたが、国の科学技術政策ができる過程を経験しながら、垣根なく意見交換ができました。

省庁や各企業の独自の見方や考え方に触れる中で、いくつもの大きな刺激を得られました。そこで知り合った仲間たちとは今でも頻繁に交流していますし、私にとってこの3年間は貴重な財産になりましたね。

──── デザイン研究所に戻り、2022年に統合デザイン研究所所長に就任。出向期間を除き一貫してデザインに携わる組織で活躍されてきましたが、松原さんにとって「デザインする」とはどういうことですか?

日本では、モノの美しさや使いやすさを創出するといった「狭義のデザイン」だけをイメージされがちですが、デザインの役割はそれだけではありません。社会課題や人々の困りごとから真の課題を捉え、ユーザー起点でアイデアを創出し、ブラッシュアップを繰り返して新しい価値を創出していくアプローチが「デザイン」であり、その対象はモノに限らず、サービスや新事業(ビジネスコンセプト)に至るまで拡大しています。社会が複雑化し、従来のアプローチだけでは課題すら見つけるのが難しくなる中で、デザインの役割は今後さらに広がっていくのではないでしょうか。

──── マイパーパスとして「美意識と心のしなやかさ」という言葉を掲げていらっしゃいます。ここに込めた思いを教えてください。

デザインは技術と異なり、達成度やクオリティーを数字では測れない分野だからこそ、「美しい」「正しい」「良い(善い)」といった判断基準を自分の中にしっかり持つことがとても大切で、私はそれを「美意識」と呼んでいます。

「心のしなやかさ」ですが、社会人になると、ときには意に沿わない仕事や思ってもみなかった役割を任せられることもあるかと思います。しかし、自分の経験を振り返ると、そのときの頑張りは必ず次のステップにつながりました。ですから、変化をしなやかに受け止め、面白がって挑戦することが自分の幅を広げるためには大事だと思うのです。これからもその「しなやかさ」を育てていきたいとの思いでパーパスに入れています。

松原 公実さん インタビューを受ける様子

女性に限らず若い世代すべての応援に
つなげていきたい

──── 仕事に取り組む一方で、結婚、2人のお子さまの出産、そして育児とライフイベントを両立してこられました。

1人目の長女が生まれた当時、デザイン研究所で産休・育休を取得したのは私が2人目。育休を1年ほど取ったのですが、職場に復帰すると環境がまるごと変わっていて、新人に逆戻りした感覚でした。それを取り戻すために無理して働き、体を壊しかけてしまったとき、当時の上司が「焦るな」と言ってくれたのです。このひと言にどれほど救われたことか…。

同僚にも助けられ、ようやく自分のペースを取り戻すことができました。2人目のときは育児に余裕もできたので、育休中に色彩の資格を取得するなど仕事につながる勉強を無理なく続け、半年後、スムーズな復帰ができました。

──── そうした経験をもとに、自身が上司となってどのようにサポートしてこられたのでしょうか。

子育ては一人ひとり、環境や条件が異なります。ですから私の経験をもとに、こうやって育児と仕事を両立すべき、などと教えるつもりはありません。かつての上司が言ってくれた「焦るな」のひと言と配慮は本当にありがたかったので、私も後輩や部下には、自分のペースで、焦らずに復帰すればいいよと励ましてきました。

先輩の経験談は後輩の指針になりますが、「あなたにもできるはず」というアドバイスは、ときには重荷にもなるのではないでしょうか。経験を伝えつつ、一人ひとりが自分らしい両立の仕方を見つけられるようにエールのバトンをつないでいきたいですね。

──── 女性技術者育成功労賞は、三菱電機が女性活躍を積極推進していることに加えて、松原さんがそうした思いを常に抱いているからこその受賞だと思います。

仕事と家庭の両立はたしかに大変ではあるけれど、実は楽しいこと。それを意識して伝えていかなければと思っています。この受賞とたまたま同じタイミングで、女性活躍を後押しするワーキンググループを開発本部内に立ち上げました。

まだ数名で話を始めたばかりですが、女性だけでなく多様な立場の人たちと意見交換しながら、働きやすさに加えて働きがいもしっかりつくっていきたいとの思いで臨んでいます。この場で新しい施策を作り、実施できれば、女性に限らず若い世代の人たちすべての応援につながるという意識で取り組もうと話しています。

“はじめの一歩”を踏み出して。変化を楽しめるしなやかさも大切に

──── 三菱電機の魅力はどのようなところにあると思われますか?

入社時に感じた魅力は今もそのままですね。幅広く多彩な事業で社会に影響を与え、良い方向に大きく変えていくことができる会社――、それが魅力だという考えは、今も根本的に変わっていません。

──── 今後の目標を教えてください。

2023年4月に統合デザイン研究所から開発本部に異動しました。ここで改めて三菱電機の持つ技術の幅の広さや深さを驚きとともに実感しているところです。そして、その技術の進化を牽引していく組織が開発本部。ですから、これからはさまざまな技術、知識、知見を持つ部門を結びつけ、そのシナジーによって新たな価値を生み出していけるよう、取り組んでいきたいと考えています。

松原 公実さんの写真

PLANNING &
ADMINISTRATION DEPT.

──── 最後に、これから社会人になる学生たちへメッセージをお願いします。

世の中はものすごいスピードで変わっていきますから、どの仕事が自分に最適で一生続けられるのかなど、今の時点で分かるはずがありません。今はとりあえず、やってみたい!と思えることに向かって「はじめの一歩」を踏み出してみてください。気負うことはありません。もし違っていたら、気づいたときに方向転換すればいいだけです。変化を楽しめるしなやかな感性を大切にしながら、あなたの人生を歩んでいってください。

休日の過ごし方

2人の娘とよくショッピングやランチに出かけます。「素敵なパフェの店があるよ」とかいつも面白いものを見つけてくるので、いろいろ連れ回されるのが楽しいですね。
チワプー(チワワとトイプードルのミックス犬)とトイプードルを飼っているのですが、この2匹と遊んだり、散歩に行ったりするのも楽しみ。近所の公園のワンワン集会で知り合いがたくさんできました。

休日を過ごす松原 公実さんの写真

PROFILE

松原 公実さんの写真

開発本部
開発業務部 部長
松原 公実

東京藝術大学を卒業し、1992年4月入社。デザイナーとして家電製品のデザインにとどまらず、製品企画のアイデアづくりや事業コンセプト提案など広義のデザインに携わる。2015~17年内閣府へ出向。2022年統合デザイン研究所所長、2023年4月から現職。

東京藝術大学を卒業し、1992年4月入社。デザイナーとして家電製品のデザインにとどまらず、製品企画のアイデアづくりや事業コンセプト提案など広義のデザインに携わる。2015~17年内閣府へ出向。2022年統合デザイン研究所所長、2023年4月から現職。

※記事、所属・役職及び写真は取材当時のものです。