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先人の知恵や歴史、日常に役立つマナーを掲載しています。

知っ得マナー
東南アジアのビジネスマナー
-【シーン別】海外進出時に押さえておきたい、やってはいけない事例集 -

2015年4月公開【全1回】

ローカル文化を尊重してこそグローバル企業となれる

SCENE 1 挨拶

NG
「まずは情報交換できれば」と現地メーカーを訪れたところ、「お話があると伺い、お待ちしておりました」と先方の取締役がそろい踏み。プレゼンテーションを促されたが、当方は何の用意もなく大恥をかいてしまった。

すぐに真剣勝負(フィリピンなど)

成長著しい東南アジアに進出しようと視察を重ねる中で、コーディネーターが現地企業とのミーティングを数多く設定してくれるケースがある。こちらからすれば数多く訪れるうちの一社であっても、先方は「外国からわざわざ話があって来社する」と認識する。何のビジネス上の手土産もなく訪れることは、避けなければならない。
東南アジアは所得格差が大きい。日本のサラリーマン以上に所得を得ているマネージャー層も少なくない。そんな彼らには欧米の影響が色濃く「時間はコスト」という考えが浸透している。ミーティングでは自社紹介のみならず、目的説明や何かしらの企画提案を用意するべき。一度現地メーカーから信頼を失うと、回復には時間がかかる。

SCENE 2 部下との対話

NG
日本人の部下が仕事でミスをしたため、他のスタッフもいる場で叱責したところ、「感情を抑えられない人」「怒られた人が可哀想」と現地スタッフから嫌われてしまったようだ……。

人前での叱責はダメ(タイ)

人前での叱責はダメ

タイは現在も階級制度が続いている社会だと認識すべき。過去に植民地支配を経験せず、第二次世界大戦の敵国条項も対象外。敗戦国としての裁きを受けず現在も「タイ王国」である。そのためタイの上流階級とは、家柄の良い人々であることが多い。
このようなことが関係しているからか、大きな声で話すだけでも粗暴な印象を与えてしまう。タクシーのドアを閉めるとき、大きな音を立てるだけで「下品な人」と評される。人前で叱責しないのも、面子を重んじる文化が浸透しているからだ。たとえそれ相当の失敗があったとしても、人前で叱責すれば面子を潰した側を礼儀知らずと見る。日本人同士のやりとりであっても人前での叱責は、同様の印象を与えるので注意したい。

人前での叱責はダメ

SCENE 3 言葉

NG
商談中、身内同士のふとした私語が気に障ったらしく、相手の態度が硬化してしまった。「日本語だから分からないだろう」と思ったのだが……。

日本語使用に注意(ベトナム・タイ・マレーシアなど)

ベトナムが顕著だが、タイやマレーシアでも同様の話が頻出する。キャリアアップのために日本語を勉強している人も多いので、例えば「この話を信じて大丈夫かな?」などと思っても、口にしてはいけない。疑問には、「事前に調べた数字と違うので確認してほしい」など、丁寧な言い回しを。通訳に対しても「これは伝えなくてもいい」などとうっかり言わないようにしたい。

SCENE 4 華僑

NG
中国での人件費高騰や政治的問題を受け、移転先候補地探しへ。視察中に訪れた現地企業に理由を説明したら、急に相手が憤りの表情を浮かべた……。

中国を尊重すべし(マレーシア・タイなど)

華人・華僑が現地民族との融和がうまくいき、自分を中国人だと言わないケースがある。東南アジアの華人・華僑は体制による迫害で移り住んだ人も多い一方で、祖父は中国に住んでいたなど、ルーツとして中国を意識している人は多い。特にタイやマレーシアでは、有力者が華人・華僑であることは多い。そのため中国をネガティブに感じさせる言動は避けたほうがよい。

SCENE 5 宗教・儀式

NG
商業施設で視察中、祠に祈りを捧げている人たちがいた。こちらは仕事中だからと割って入るように移動していたら、「失礼な行為」と指摘されてしまった。

宗教の儀式や建造物に敬意を(カンボジア・ラオス・インドネシアなど)

敬虔な仏教徒が多いカンボジアやラオス・タイなどでは、仏像を見ても敬意を払わない日本人に対し、「同じ仏教徒なのに」とショックを受ける人もいるという。デパートなどにも祠があるのでご注意を。
インドネシアやマレーシアなどイスラム教徒が多い国では、街中にモスク(礼拝堂)がある。また、深くブルカを被った女性には声をかけるべきではない。敬虔なイスラム教徒は親族以外の男性との接触は禁じられている。

SCENE 6 接待

NG
せっかくなら接待相手が食べたことがないものをご馳走しようと料亭にお連れした。しかし、食が進んでいない。「和食には興味があるが酒を使っているので……」。

おもてなしが侮辱に?(インドネシア・タイ・マレーシアなど)

インドネシアやマレーシアはイスラム教徒が多く、豚肉や酒類をとらない。タイでも徐々に減ってはいるが、牛肉を避ける傾向がある。会食やおみやげを持参する際は注意が必要だ。また商習慣でも独特の考えがある。「利子」はイスラム法では禁止されている。取引での利益や、事業への配当という形をとるように注意したい。

おもてなしが侮辱に?(インドネシア・タイ・マレーシアなど)

おもてなしが侮辱に?(インドネシア・タイ・マレーシアなど)

監修/タイランド通信 イラスト/Satoshi Nakamura

※この記事は、2014年9月発行の当社情報誌掲載記事より再編集したものです。

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