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先人の知恵や歴史、日常に役立つマナーを掲載しています。

知っ得マナー
「いつもの言葉」を言い換える 使えば好印象な大和言葉入門

2016年5月公開【全1回】

スピーチやプレゼンで大活躍 “きらりと光るつなぎの言葉&枕にしたい言葉”

No.1すごく「いたく」「この上なく」

「すごく」「超」は卒業しよう。褒めるなら、この上なく~。感激したときは、いたく。

No.2その上(さらに)「あまつさえ」

「予算が乏しく、あまつさえ時間も限られ」など。語源は量の過剰を指す「余りさえ」。

No3.まさに「まさしく」

「まさに」「全くその通り」というときなどに言い換えると上品。話に重みも出る。

No4仮に「よしんば」

この「よし」は仕方がないという意味。「よしんば負けても」など、悪い方向の仮定に使う。

No.5結局は「つまるところ」

「結局」は、どんなに頑張っても・・・という負の印象も。それを和らげる効果がある。

No.6適切に(まことによく)「いみじくも」

「~言い表す」など、言葉で表現されたことが的を射ている場合に使う。格調高い大和言葉。

No.7少し(やや)「いささか」

「やや不安」を「いささか心もとない」など。程度が標準よりも少し外れているときに使う。

No.8無益に「いたずらに」

「さすがベテラン」と褒められた際などに、謙遜して「いたずらに齢(よわい)を重ねまして」と使う。

No.9ますます「いやがうえにも」

「いや」は嫌ではなく、「弥」。物事の程度がはなはだしいこと。思いの強さが伝わる言葉。

No.10中でも「なかんずく」

複数の要素を並べ、その一つを強調する際に使う。「中に就くに」が変化した言葉とされる。

知性と余裕を印象づける “仕事で使う言葉を柔らかく表現する”

No.1ご理解ください「お含み置きください」

漢語できっぱり言い切ると角が立つことも。「ご推察ください」は「おくみ取りください」に言い換えよう。

No.2~を参考に考える「鑑みる」

「鏡」から生まれた言葉。照らし合わせて考える。「参考に~」より、深く検討している印象。

No3.妥協する「折り合う」

妥協は結果への不満や不足も見えるが、「折り合う」は両者が大人の対応をした意味合いに。

No4ご足労いただく「お運びいただく」

同様に「お手数(お手間)をかける」は、たまには「お手を煩わせる」と言い換えてみよう。

No.05仲裁する「とりなす」

トラブルを抱えた二者の間は「とりなす」。交流のない二者を仲介するなら「とりもつ」。

例え表現に大和言葉の粋あり! “思いを伝える言葉”

No.1ご遠慮なく「お心置きなく」

「遠慮なく」は厚かましさを連想させてしまうことも。もてなし場面で重宝する言い換え。

No.2(気の毒で)つらい「身につまされる」

他人の不幸などが我がごとのように思われつらく感じる場合に。より切実な思いが伝わる。

No3.感動する「胸に染みる」「胸に迫る(打つ)」「ほだされる」

ジーンと来たら「染みる」、ぐっと来たら「迫る」、ズシンなら「打つ」。感じ方で使い分けたい。「ほだされる」は話を聞いて心が動き、思いが変わったときなどに。

No4安堵する「胸を撫なで下ろす」

胸・腹は気持ち表現の要。「胸を開く」「痛める」「腹を割る」「くくる」など、積極的に活用したい。

No.05憤慨する「憤る」

激昂(げっこう)は「昂(たか)ぶる」、倦怠(けんたい)は「倦(う)む」。言い換えに困ったら漢字を訓読みしてみるのも手。

大和言葉で実践!印象に残る手紙術

メールで済ますことが増えたが、やはり手書きの便りをもらうとうれしい。美しい大和言葉でつづられていればなおさら。相手の印象に強く残り、思いもしかと伝わる。

其の一「拝啓」などの冒頭の言葉を省き、短めの「季節の言葉」を置く。

拝啓 ますますご清祥のことと御慶び申し上げます。

「日ましに秋めいてまいりました。○○様には、いかがお過ごしでしょうか」

大和言葉で季節感をさりげなく盛り込むと、「拝啓」「清祥」など漢語中心の定型文よりも風情があって好印象。書き出しで読み手の心をぐっとつかめる。秋なら「秋の夜長」「秋晴れの」「秋が深まる」などが使える。

其の二感謝の思いを大和言葉で粋に伝える

いつも大変お世話になっております。

「○○様には、日頃から何かとお心にかけていただき・・・」
「○○の折には、ひとかたならぬお世話になりまして・・・」

「いつもお世話に~」は便利なフレーズだが、時におざなりな印象も。「お心にかけて」「お引き立ていただき」など、大和言葉で言い換えると丁寧で、印象深い。

其の三結びは「定番」を避けて大和言葉で印象づける

時節柄、どうかご自愛ください。ご健勝をお祈り申し上げます。

「くれぐれも御身(おんみ)おいたわりください」
「お体をお厭(いと)いください」

自分の言葉で素直につづるのが一番。とはいえ、やはり礼は尽くすべき。大和言葉で語彙を増やし、定番フレーズを卒業できれば、手書きの手紙も苦でなくなるはず。

アドバイザー/文筆家 高橋こうじ イラスト/ヤマモトマサアキ

※この記事は、『日経おとなのOFF』掲載記事を再編集して構成したものです。

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