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三菱電機のFA技術や、ビジネスに役立つ各種レポート・コラムをご紹介します。

セミナーレポート
IoT/M2M展 セミナーレポート

2016年2月公開【全1回】

三菱電機名古屋製作所 e-F@ctory推進プロジェクトグループ マネージャ 楠和浩 ※講演者の所属は2015年10月時点のものです。

ものづくりのデジタル化が現実的になった3つの理由

ものづくりのデジタル化は、実は今に始まったものではありません。CIM(Computer Integrated Manufacturing)など、似たようなコンセプトのものは過去にもありました。それが今になって再び脚光を浴びるようになったのには、主に3つの理由があります。

一つは高速なデータ通信技術です。データの転送速度が飛躍的に高まりました。二つめはデータの収集技術です。センシングの技術とアルゴリズムの両面で進化が進んでいます。三つめはデータの解析技術です。データを集めても解析に1週間もかかるようでは意味がありません。コンピュータの処理能力向上だけでなく人工知能なども具体化したことで、解析結果を利用しやすくなりました。CIMという考え方が登場した頃にはなかったこれらの技術が、ものづくりをデジタル空間に展開可能にしたのです。

デジタル空間でのものづくりでは、設計開発から試作、生産から出荷まで、すべての工程がつながります。デジタル空間でつながることでそれぞれの工程の効率化や、トータルでの納期短縮が期待できます。

工場や工程の間をつなげて付加価値を高めようと、グローバルでさまざまな活動が立ち上がっています。Industrie4.0は欧州発の一つの動きですが、日本では2015年5月に設立されたロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)や同6月設立のIndustrial Value Chain Initiative(IVI)があります。RRIにはIoTによる製造ビジネス変革のワーキンググループがあり、またIVIではものづくりに関連した技術をつなげる仕組み作りを目指しています。三菱電機は前者には共同主査の一人として、後者には理事の一人として参画しております。

3層構造で現場の工夫を踏まえたデータ分析を可能に

デジタル化したものづくりの効果を最大化するために、三菱電機が提供しているソリューションが「e-F@ctory」です。FAとICTを活用し、開発から生産、保守に渡るトータルコストの削減と、それによるものづくりの高度化を支援するソリューションです。ものづくりを可視化し、分析とそれによる改善を可能にすることで、生産性や品質の向上、省エネや安全性の追求をはかります。

e-F@ctoryは生産現場を経営側で分析・制御できるようにするために、コントローラや駆動製品など生産現場のFAと、シミュレータやCADなど管理側のICTを連携させますが、その間に連携インタフェースを置いた3層構造にしているのが特徴です。

工場の生産・品質・安全に関わる全てのシステムをネットワークで有機的に結合しどこで何が起きているかを可視化し、そのデータを使って最適な経営を実現

連携インタフェースを置かず、生産現場のデータを直接ICTのシステムに渡したり、ICTから直接FAへフィードバックしたりすることは、原理上は可能でしょう。しかしものづくりは、機器のデータだけでは見えない部分があります。同じ製造装置を使っているユーザなのに、現場によって生産性に差が出たりするのはその現れです。現場の「使い方」が違うからです。現場による使い方の工夫を加味せずに、単なる生のデータだけながめて分析しても有効な答えは出てこないのではないかと考えます。

そこでe-F@ctoryでは、現場の状況を加味できるようにFAとICTの間に一次処理のシステムを置き、それをインタフェースとしているのです。またFA機器が発するデータは製造業にとってノウハウの塊であり、いくらセキュリティを担保していると言っても、そのままICTの環境に渡すのには抵抗のあるユーザも少なくありません。FAとICTの連携インタフェースは、一次処理によりデータを秘匿するという役目も持っています。

e-F@ctoryがFAとICTの間に連携インタフェースを置くのには、もう一つ理由があります。ICT側のアプリケーションが多種多様なためです。ERPやスケジューラ、MESやSCMなどアプリケーションのプロトコルがバラバラのため、もしFAを直接これらに連携させようとすると、それぞれの機器にそれぞれのプロトコルのインタフェースを対応させなくてはなりません。これでは工数がかさんでしまいます。

IT連帯技術

しかしこれらのアプリケーションにつなぐ目的は、いずれもデータベースアクセスという点で共通しています。ならばデータベースアクセスのためにSQLでデータを読み書きするシステムを、FAとICTの間に置けば目的は達成できるわけです。3層構造のe-F@ctoryの中間に位置する連携インタフェースはその機能を持っており、生産現場の機器が統一的なインタフェースでICTのシステムに連携可能にしています。

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