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必要換気量の求め方

必要換気量の求め方は、部屋の種類や用途などにより異なりますが、大きく分けて建築基準法に定められる方法と、部屋の必要換気回数から求める方法、室内の汚染進度から求める方法などがあります。

1. 1人当りの占有面積から求める方法

1人当りの占有面積から求める方法

右式は建築基準法施行令第20条の2第2号に基づいています。

  • 上式の「20」は20(m3/h・人)の意味であるが、この根拠は成人男子が静かに座っている時のCO2排出量に基づいた必要換気量です。
  • 1人当りの占有面積が10(m2)を越える場合は、10(m2)でよい。

業務用施設での換気設備の基準となる1人当り占有面積例

建物区分 1人当り占有面積(N) 備考
レストラン・喫茶店 3m2 営業の用途に供する部分の床面積
キャバレー・ビヤホール 2m2 営業の用途に供する部分の床面積
料亭・貸席 3m2 営業の用途に供する部分の床面積
店舗マーケット 3m2 営業の用途に供する部分の床面積
ダンスホール・ボウリング場 2m2 営業の用途に供する部分の床面積
旅館・ホテル 10m2 営業の用途に供する部分の床面積
集会場・公会堂 0.5〜1m2 単位当り算定人員と同時に収容し得る人員
事務所 5m2 事務室の床面積
1人当りの占有面積から求める方法

●計算例
居間における必要換気量を求めます。
部屋の広さ13.2m2(8畳)、人員4人の場合

2. 床面積当り必要換気量に基づく方法

必要換気量(m3/h)=室の床面積当り換気量(m3/m2・h)×室面積(m2

床面積当り必要換気量

室名 標準在室密度(m2/人) 必要換気量(m3/m2・h)
事務所(個室) 5.0 6.0
事務所(一般) 4.2 7.2
銀行営業室 5.0 6.0
商店売場 3.3 9.1
デパート(一般売場) 1.5 20.0
デパート(食品売場) 1.0 30.0
デパート(特売場) 0.5 60.0
レストラン・喫茶(普通) 1.0 30.0
レストラン・喫茶(高級) 1.7 17.7
宴会場 0.8 37.5
ホテル客室 10.0 3.0
劇場・映画館(普通) 0.6 50.0
劇場・映画館(高級) 0.8 37.5
休憩室 2.0 15.0
娯楽室 3.3 9.0
小会議室 1.0 30.0
バー 1.7 17.7
美容室・理髪室 5.0 6.0
住宅・アパート 3.3 9.0
食堂(営業用) 1.0 30.0
食堂(非営業用) 2.0 15.0
  • (備考)必要換気量は、室内炭酸ガス許容濃度0.1%になるよう、1人あたりの換気量を30m3/hとして算出。
    居室の必要換気量参考値(抜粋):(空調・衛生工学会規格「HASS 102 1972」より)

3. 室内に発熱量(kW)がある場合の求める方法

室内に発熱量(kW)がある場合の求める方法

変圧器やモーターなどの発熱体のある場合は熱量より必要換気量を算出します。

  • (参考)夏の日射量 = 837W/m2
室内に発熱量(kW)がある場合の求める方法

(例)
以下の条件で目標室温40℃に保つための必要換気量

設備容量 1,000kVA
外気温 30℃
負荷側の力率 0.95
変圧器内の発熱は全部室内に放出
変圧器発熱能力 3%
変圧器…油入自冷式

4. 必要換気量の計算式(その他の例)

換気因子 計算式 備考
水蒸気 水蒸気の計算式 W = 水蒸気発生量[kg/h]
Xi = 許容室内絶対湿度[kg/kg]
Xo = 導入外気絶対湿度[kg/kg]
ガス ガスの計算式 M = ガス発生量[m3/h]
K = 許容室内ガス濃度[vol%]
Ko = 導入外気ガス濃度[vol%]
じんあい じんあいの計算式 M = じんあい発生量[mg/h]
C = 許容室内じんあい濃度[mg/m3
Co = 導入外気じんあい濃度[mg/m3
  • たばこ煙の場合はC = 0.15[mg/m3]になります。

5. 局所換気(フード吸込み)の場合

局所換気(フード吸込み)の場合

必要風量Q(m3/h)= A・VF・3600
VF:面風速(m/s)
A = a × b(m2

●面風速の推奨値
VF = 0.9 〜1.2m/s(四周開放)
= 0.8〜1.1m/s(三辺開放)
= 0.7〜1.0m/s(二辺開放)
= 0.5〜0.8m/s(一辺開放)

  • 上記の計算による必要換気風量よりも安全率をみて、若干多い風量に設定してください。特に発生ガス、蒸気などの速度が早かったり、粉じんの種類によっては面風速を大きくとらないとフードからの漏れが大きくなりますからご注意ください。
  • フードから換気扇までのダクトが長い場合や曲りのある場合は、ダクトの圧力損失を求め、必要静圧を決めて機種を決定することが必要です。

〈参考〉部屋の必要換気回数から求める方法

必要換気量(m3/h)=毎時必要換気回数(回/h)×部屋の容積(m3

換気回数のめやす

「空気調和設備の実務の知識」オーム社より

部屋の種類 換気回数[回/h]
ちゅう房(大) 40〜60
ちゅう房(小) 30〜40
湯沸し室 10〜15
ボイラ室 給気10〜15・排気7〜10
美容室 5〜10
配ぜん室 15〜20
浴室 15〜20
自動車車庫 10〜15
変圧器室 10〜15
発電機室 30〜50
地階倉庫 5〜10
洗たく室 20〜40

空調・衛生工学会規格「HASS 102 1972」より

部屋の種類 換気回数[回/h]
便所(使用頻度大) 10〜15
便所(使用頻度少) 5〜10
機械室 4〜6
オイルタンク室 4〜6
バッテリー室 10〜15
エレベータ機械室 8〜15
乾燥室 4〜15
書庫・金庫 4〜6
暗室 10〜15
映写室 8〜10

換気扇・送風機の基礎知識