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水を止めないために──三菱電機が挑む日本の水インフラ最前線

水環境ソリューション〈上下水道篇〉 水を止めないために──三菱電機が挑む日本の水インフラ最前線水環境ソリューション〈上下水道篇〉 水を止めないために──三菱電機が挑む日本の水インフラ最前線

朝、顔を洗い、トイレを流し、コーヒーを淹れ、出勤の準備をする。何気ない日常の中で、私たちは無意識のうちに「水が出ること」をあたりまえのものとして受け止めている。蛇口をひねれば必ず水が流れ、浄水場や下水処理場が休むことなく動き続けている──その裏側には、長い年月にわたりインフラを支えてきた人々の努力と技術が息づいている。
こうした「あたりまえ」の生活を支えるために、50年以上にわたり日本の水インフラを守り続けてきたのが三菱電機だ。今回は、現場の最前線で官民連携の水事業に携わるお二人にお話を伺い、社会の根幹である水を守る取り組みの現在地と未来への展望を探った。

危機が現実になる前に──
PPPで築く新たな水インフラモデル

全国的な少子高齢化により、地方自治体や公営企業では、インフラの老朽化と人手不足、そして財源の減少が同時に進行し、“三重苦”とも呼べる状況が深刻になっている。水道・下水道は一度整備されれば永続的に使えるわけではなく、専門的な知識と技術を持つ職員による継続的な維持・管理が欠かせない。だがその担い手は確実に減りつつあり、地域によっては水インフラが限界を迎えようとしている。

大石:全国の自治体では人口減少に伴い、人材不足が深刻化しています。熟練技術者の退職によって、水処理のノウハウが途絶えてしまうケースもあり、このままでは公共事業が立ち行かなくなるのではないか──国も強い危機感を抱いています。

そのため国土交通省は、PPP(Public Private Partnership)と呼ばれる官民連携の推進により、インフラ維持の取り組みを進めています。官だけでは解決が難しい課題を、民間が持つAI技術やデジタルソリューションで補完することが求められているのです。

三菱電機のPPPによる水インフラ支援
三菱電機のデジタル×AIソリューションを活用したPPPで官民が協働し、水インフラの持続可能な運用を実現します。

「絶対に止めない」──
水を守る現場の覚悟と三菱電機の矜持

水インフラ設備は、24時間365日動き続けることが前提であり、止まることが許されない。三菱電機は水を止めないという使命のもと、長年にわたり、浄水場や下水処理場が途切れることなく稼働し続けるよう、電気設備の開発・提供を担ってきた。

橘 大樹さんの写真

三菱電機株式会社 神戸製作所
社会システム第一部 技術第二課

橘 大樹(たちばな ひろき)

浄水場や下水処理場に導入されている受変電設備から制御系のシステムまで、上下水道に関わる幅広い領域の電気設備のエンジニアリングを担当。

橘:自治体の担当者の方から感じるのは、「絶対に水の流れは止めない」という強い使命感です。地域の人々の生活を守るという意識は、まさにプロフェッショナルそのもの。一方で当社にも「絶対に設備を止めない」という矜持があります。お客さまと三菱電機で“インフラを支える”という意識を深く共有できていると感じます。

水事業における当社の強みは、高い耐久性と信頼性です。1960年代からアップデートを重ねながら、24時間365日止まらない堅牢な設備を提供してきました。厳しい自然環境下で使われるため、インフラ向け設備は極めて高い品質で製造されています。

また水インフラの設備やサービスは、自治体ごとに規模も仕様も異なり、同じものは一つとしてありません。そのため担当者と対話を重ね、最適な設備を設計し作り上げていきます。なかでも三菱電機は、水処理プラント全体を俯瞰し、一貫したトータル設備を構築することに長けています。

官だけでは立ち行かない課題に危機感。設備を維持していくために必要なこととは。

橘:現在の制御システムは、どうしても熟練者の経験や勘に依存してしまう側面があります。若手がそのノウハウを継承できず、技術伝承の断絶が起きつつある。そこでAIを導入し、経験に基づく判断を数値化・最適化することで、若手でも扱いやすい環境を整え始めています。属人化をなくすことで、持続可能な設備運用に近づけると考えています。

大石:上下水道事業には、設計・建設・オペレーション・メンテナンスというライフサイクルがあります。自治体はそれぞれのフェーズに様々な課題を抱えています。そのため、こうしたライフサイクル全体に対してサービスを提供し、トータルサポートできる体制を取ることが重要です。三菱電機ではデータを活用したO&M(オペレーション&メンテナンス)ソリューションを展開し、O&M業務の高度化・効率化・省人化を支援する取り組みを進めています。

未来への展望──
水から、さらに広がるインフラの連携へ

最後に、今後の展望をお二人に伺った。

大石 名那子さんの写真

三菱電機株式会社
社会システム第一部 PPP・PFI推進グループ

大石 名那子(おおいし ななこ)

上下水道事業における官民連携(PPP)の事業推進に携わり、行政のみでは解決が難しい課題を民間の立場から解決を図る。

橘:技術で支えられる領域は確実に広がっていますし、国土交通省による官民連携の推進で自治体の動きも活発化しています。「水を止めない」ために奮闘している自治体とともに、私たちも技術面から支援していきたいと考えています。

大石:当社は総合電機メーカーとしてハードウェアの印象が強いですが、長年の事業で蓄積された膨大なデータと水処理技術のノウハウがあります。今後はこれらを当社のデジタル基盤「Serendie®︎(セレンディ)」に集約し、水だけでないエネルギーインフラ等のデータと連携し、異なる領域の課題を一括して解決するソリューションサービスの実現も構想しています。

あたりまえのように流れる一滴の水。その裏側で、少子高齢化や設備の老朽化という現実と向き合いながら、「絶対に止めない」という想いで支え続ける人たちがいる。三菱電機は自治体と共に、技術と情熱で水インフラの未来を守り、デジタルやAIの力で次の世代へと継承する仕組みを育てている。水を使えるあたりまえを、これからも絶やさないために。

※本記事内の製品やサービス、所属などの情報は取材時(2025年10月)時点のものです。

蜂巣 稔さんの写真
取材・文/蜂巣 稔
大学卒業後、外資系ITを経て日本コカ・コーラのサプライチェーンマネジメント部門へ。53歳で独立起業。企業取材、経営層インタビュー、事例紹介などビジネス領域で活動中。通関士、グリーンロジスティクス管理士。日本インタビュアー協会認定プロインタビュアー。生成AI関連の執筆実績も増加中。
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