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イノベーションの創出が目的、アート思考ありきではない 顧客が想像できない価値を創造できる人材育成がカギイノベーションの創出が目的、アート思考ありきではない 顧客が想像できない価値を創造できる人材育成がカギ

 数値で表せられるような商品仕様では、差別化できない時代になってきている。人々は、商品仕様だけでなく、気持ち良い使い心地や製造プロセスでの匠の技へのこだわりなど、自身の主観から導かれる暗黙的な部分に価値を見出している。このような顧客に対して企業としてイノベーションを創出するためには、これまで主流であった論理的アプローチではなく、創造的で柔軟な視点を用いた思考法が重要となる。
 思考法の代表的なものにアート思考やデザイン思考などがあるが、このような思考法を実際の製品、サービス開発にどのように活かしていくべきなのか。製造業の経営に詳しい同志社大学 大学院ビジネス研究科の延岡健太郎特別客員教授に話を聞いた。

イノベーションは技術革新ではなく価値の創出

――新たな思考法が必要とされるのはなぜでしょうか。

 今、多くの企業で必要とされているのは「イノベーション」です。イノベーションとは「技術革新」ではありません。「社会に役立つ新たな価値の創出」、言い換えれば、技術革新などの手段ではなく、結果として「社会や顧客の繁栄に結びつく新しい価値を創出すること」がイノベーションです。

 たとえばイノベーションによって、10万円の原材料から多くの顧客が50万円を出してでも欲しいよというものを造ることともいえます。つまり、「顧客が高くても喜んで買いたいと熱望する価値を提供する」こと。そのためには何よりも、大きな価値を創り出すために何をすればいいのかを構想することが先決です。そして構想するために必要となるのが、これまでの開発アプローチと異なるアート思考やデザイン思考です。

 では構想を造りあげたうえで、ものやサービスとして実現するためには何が必要となるか。私はそこに、「サイエンス」「エンジニアリング」「デザイン」「アート」の4つの手段が必要だと考えています。これを組み合わせることが、私が提唱している「SEDA(シーダ)モデル」で、アート思考はそのモデルを構成する1つの要素です。

 ここで重要なのは、4つの手段のうちすべてを上手く使えなければならないということ。つまり、アート思考に偏重してはダメですし、アート思考から始めるのもダメなのです。

※SEDAは、Science、Engineering、Design、Artの頭文字。

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