和食シリーズ企画第3弾

これからの和食を考える。

ユネスコ無形文化遺産に登録された和食文化。 未来へつなぐために、今できること。ユネスコ無形文化遺産に登録された和食文化。 未来へつなぐために、今できること。

第4回かつお節
伝統技が今も生きる、
かつお節工場を見学!

かつお節ってどうやって作られているの?
編集部一同、静岡県焼津市にある、株式会社にんべんの協力工場へ見学に行きました。
昔ながらの伝統の技が今も受け継がれている、ダイナミックなかつお節製造工程をご紹介します。

カツオさばきはお手のもの

かつお節作りは鮮度が命。焼津港で水揚げされたカツオは、焼津市内に点在するにんべんの協力工場で加工されます。編集部が訪れた「山七」さんでは、一日に3トン、約1,000尾ものカツオを処理しているそうです。大量のカツオを次から次へとさばくのは、熟練の職人さんたち。機械で頭とはらわたを取ったあと、一尾一尾、手作業で3枚に下ろしていきます。

「8人のうち、ベテランの職人は20年も続けた名人。質の良いカツオは、ベテランが頭もはらわたも手で切り落とします。質にはこだわっています」と話す山七社長の鈴木隆さん。

じっくり煮熟(しゃじゅく)

処理されたカツオはカゴに並べて、通常92~3℃のお湯で1.5時間~2時間ほどじっくり煮ます。沸騰すると煮崩れしやすくなるので、沸騰の手前の温度でじっくり煮るのがコツです。温度や時間は、カツオの鮮度や脂肪分などの魚質と季節、獲れた場所などにより調整をします。

焙乾(ばいかん)でじっくり乾燥

煮熟して骨抜きしたあと、焙乾といって何度も燻して乾燥させます。工場には2種類の乾燥機があり、伝統的な焙乾装置が「手火山(てびやま)式乾燥機」。下から薪を燃やして、途中でセイロの上下および左右を入れ替えながらじっくり燻します。昔ながらの手法で、節の形状で販売する本枯節 の焙乾の始めは、こちらを使います。大きい乾燥機は「焼津式乾燥機」(左写真)(下写真)。熱風と燻煙をファンで強制的に循環させ、乾燥させます。薪は山梨や長野産のナラ材を使っています。

カビ付け

乾燥後、形を整えた節をしばらく寝かせたのち、カビ付けを行います。優良カビの胞子を噴霧し、2~3週間ほど室で寝かせるときれいなカビに覆われます。カビは自然の力でじっくり乾燥を促し、4回目のカビを付け終わった段階で水分は15%ほどになり、身が締まった節になっていきます。ただしカビ付けを行う「本枯節」はかつお節全量の3割未満だそうです。

天日干し

晴れた日に屋外に並べて天日干しします。干したかつお節は、ブラシを使って丁寧にカビを落とし、カビ付けと天日干しを繰り返します。通常、カビ付けと日干を2回行ったものを枯節とJASで規定していますが、にんべんでは4回以上繰り返し行うことで、深みのある風味に仕上げます。

「こうして一通りの作業を終えるまでには半年ほどかかります。かつお節加工は時間のかかる作業です。でもかつお節は焼津の文化を作ってきたものですから、昔ながらの伝統を守るため、いまも昔と変わらぬ手法を取り入れています」機械化が進む一方で、伝統文化としてのかつお節作りに誇りをもって取組んでいる山七社長、鈴木さんは、そう語ります。

でき上がったかつお節は、赤茶のカビに覆われていて見た目も美しい味の芸術のようでした。

「いいかつお節はカビの色でわかるんです」というベテランのかつお節選別士。こうしておいしいかつお節が頂けることに、特別な感謝の気持ちがあふれる工場見学でした。

株式会社にんべん 新しいウィンドウが開きます

2017.02.06