ごく普通の映画好き編集部員による試写会レポート

第89回
『ムーンライズ・キングダム』

今回レポートをするのは…

※2020年6月より当面の間、おすすめ映画ブルーレイソフトのレビューとなります。

編集部員T(男性)

最近炭酸水メーカーを買いました。好みの強さの炭酸水が作れるのが楽しくて、ほぼ毎日飲んでいます。ペットボトルゴミも出ないので一石二鳥です。

編集部員M(女性)

夏休みと言えば、子どもの頃は朝顔を育てていた記憶があります。最近は外があまりにも暑いので、せめて家の中だけでも涼しく感じられるようにと、新たに観葉植物を購入して緑を楽しんでいます。

M今回のレポートは、2013年に公開された『ムーンライズ・キングダム』です。

T『ダージリン急行』や『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』などで知られるウェス・アンダーソンが監督を務め、脚本はアンダーソンと、ロマン・コッポラが共同執筆した作品です。

Mロマン・コッポラと言えば妹のソフィア・コッポラも有名ですよね。キャストにはブルース・ウィリスや、アンダーソン作品にたびたび出演するビル・マーレイ、他にもエドワード・ノートン、ティルダ・スウィントンら豪華な顔ぶれがそろいます。
では、早速あらすじをご紹介しましょう。

あらすじ

1965年、アメリカのニューイングランド沖に浮かぶ全長26kmの小島、ニューペンザンス島。周囲の環境になじめない12歳の少年サムと、少女スージーは、ある日駆け落ちすることを決意する。島を一人で守っているシャープ警部(ブルース・ウィリス)や、ボーイスカウトのウォード隊長(エドワード・ノートン)、スージーの父・ウォルト(ビル・マーレイ)と、口うるさく、いつもせわしない母・ローラ(フランシス・マクドーマンド)ら、周囲の大人たちは2人を追い掛け、小さな島に起こった波紋は瞬く間に島中に広がっていく。

Mウェス・アンダーソン監督らしい独特の空気感と、どこを切り取っても絵になるカラフルな映像は観ていてとても心地よく感じました。衣装や小道具など、全てにこだわりを感じました。Tさんはご覧になっていかがでしたか?

T公開が2013年と比較的新しい作品ですが、物語の1960年代に合わせた映像のテイストはレトロで美しかったですね。本作にはボーイスカウトの子供たちが登場するのですが、私も小学生のころ林間学校で、みんなと食事を作ったりキャンプファイヤーをした思い出が蘇って、なんだか懐かしい気持ちになりました。

M子どもの頃のキャンプは、普段と違う環境にとてもワクワクしましたよね。この作品の舞台は小さなニューペンザンス島。その島で行われているボーイスカウトのキャンプ中に、主人公サム・シャカスキーは突然姿を消します。ボーイスカウトの中でも少し異彩を放つ存在のサムは隊員からも少し疎まれている存在でした。

Tそんなサムが居なくなった理由は、1年前に出会った少女スージーとの駆け落ちなんですよね。そんなかわいい駆け落ちから始まり、周りをも動かす大騒動にまで展開するストーリーは観ていて新鮮でした。

M子供の割に、なかなか大胆でしたよね。(笑)

T確かにそうですね。まだ12才の子にしてみたら、とてもスケールの大きい冒険譚だなとも思います。全体を通じて、少年と少女が少し頑張って大人のように振舞うシーンがちりばめられており、かわいらしくて見ていてほっこりしました

M少しシリアスなシーンがあっても、会話の内容があまりにも可愛らしくて思わずクスッとしてしまうんですよね。誰にでも少し背伸びをして大人のように振舞いたい時期ってあったと思うのですが、やっぱり中身はまだまだ幼い。サムとスージーも複雑な家庭環境や将来への漠然とした不安、大人への不信感など、成長過程のモヤモヤとした気持ちが、とてもリアルに描かれていたように思います。

Tそうですね。それと、登場人物たちがある意味完璧じゃないところもこの作品の魅力かもしれないですね。シャープ警部が子供に「ビール飲むか?」と勧めたり、少年がパイプを普通に吸っていたり、いろいろと規則が厳しい現代では「それはダメ!」と言いたくなるようなシーンがありましたが、その世界観がなんとも面白かったです。

M主役の子供たちについ気を取られてしまいますが、子供にビールを勧めていた島でたった一人の警官こそが、大物俳優のブルース・ウィリスなんですよね!今までの強くたくましいイメージとは少し違っていて、ちょっとダメな部分はあるけれど温かい人柄がとても魅力的でした。

Tブルーレイの特典映像では、撮影中の様子や監督や出演者の裏話などもたっぷりご覧いただけます。

Mとても可愛らしくて最高に愛おしい冒険の旅の結末はいったいどうなってしまうのか?!ぜひブルーレイでご覧ください。

次回もお楽しみに!

2021.08.23