プラスチックの大規模・高純度なリサイクル技術を開発し、
家電製品への適用を進めています。

研究ジャンル

  • 空調
  • 暮らし

研究の目的・特長・期待する効果

  • 環境対策

概要

使用済み家電製品の破砕処理により発生する混合プラスチック(破砕片)から、高純度な単一プラスチックを回収し、新たに製造する家電製品に再利用するマテリアルリサイクル技術を開発しました。

破砕処理で発生する混合プラスチックは、複数種のプラスチックが混在するため素材価値がほとんど無く、焼却や埋立により処理されていました。

当社はこの混合プラスチックから家電製品の主要3大プラスチックであるポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)を大規模・高純度に自動選別する独自の比重選別技術、静電選別技術とRoHS指令対象物質除去技術を開発し、さらにリサイクル材の高付加価値化のための改質技術や意匠部品適用可能な調色技術も開発しました。

これらにより使用済み家電から回収されるプラスチックの約70%の再利用が可能になります。

技術ポイント

ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂を純度99%以上で回収

混合プラスチックから独自の比重選別、異物除去でポリプロピレン樹脂を高純度に回収(99%以上)、さらに独自の比重選別、静電選別、異物除去でポリスチレンやABS樹脂を高純度に回収(99%以上)する技術を確立しました。

X線吸収効果を利用してRoHS指令対象物質を除去

X線透過像方式を用いて、RoHS指令対象物質である臭素系難燃剤を含有するプラスチック破砕片の全数を高速で検知し、除去する技術を確立しました。

赤外光を利用して回収プラスチックの純度を自動検査

株式会社島津製作所と共同で、赤外線の反射スペクトルから、瞬時にプラスチックの種類を判別する技術を開発し、リサイクル現場での自動純度検査を実現しました。

リサイクル材の調色による意匠性向上

混色プラスチック破砕片から、白色系プラスチック破砕片を選別し、選別された白色系プラスチック破砕片に白色顔料を適量配合することにより、意匠部品に適用可能な白色系リサイクル材を開発しました。
更に、リサイクル材に改質剤を添加し、難燃性(UL94 0.8mm V-0)、耐候性および耐熱性(70℃10年相当)を付与した高付加価値材料を開発。リサイクル材の適用を拡大しました。

新たな家電製品での再利用を推進

耐久性や機能性を付与する改質技術を用い、耐久消費財である家電製品(当社製ルームエアコン、テレビ、冷蔵庫、掃除機等の部品)でのリサイクル材の再利用を推進しています。

表彰実績

「2017年(第27回)日経地球環境技術賞 優秀賞」を受賞

「家電リサイクルにおけるプラスチック循環の拡大」で日経地球環境技術賞 優秀賞を受賞しました。

詳しくはこちら (PDF:488KB)PDFが開きます

「第45回 市村産業賞 功績賞」、「資源循環技術・システム表彰 経済産業大臣賞」を受賞

産業分野の進展に貢献があった者に授与される「市村産業賞」において、当社の「循環型社会を創生する家電プラスチックの高度選別回収・再生技術」は、2013年4月に「第45回功績賞」を受賞しました。
また、同年10月には、「平成25年 資源循環技術・システム表彰」において、最高位の経済産業大臣賞を受賞しました。

その他の受賞歴

(財)日立環境財団/日刊工業新聞社「第37回 環境賞」環境大臣賞・優秀賞(2010年)
(社)エネルギー資源学会「第23回技術賞」(2010年)
(社)プラスチック成形加工学会 第21回「青木固」技術賞(2011年)
(公財)発明協会 平成27年度近畿地方発明表彰 発明奨励賞(2016年)