人物の向きや姿勢の変化に影響を受けにくい、
高精度な同一人物の特定・追跡・検索を実現。

MaisartMaisart関連技術「Maisart」

概要

普及が進む監視カメラにおいて、特に公共用途では不審者や迷子などの特定人物を高速に特定・追跡・検索する技術が求められています。その一方で、広いエリアを監視するカメラに映る人の向きや姿勢はさまざまで、従来のAIでは似ている服を着た人を後ろ向きや横向きの映像のみで見分けることは困難でした。また、大量のカメラ映像に映る人物を一人一人照合する必要があるため、多数の人物が対象となる場合、人物の特定に時間がかかるという課題がありました。

三菱電機では、複数台の監視カメラに映る同一人物について、データサイズを圧縮するAIを用いない場合と比較して、10分の1の時間で高速に特定し、人物の向きや姿勢の変化に影響を受けにくい高精度な同一人物特定・追跡・検索を実現するAIを開発しました。

今後は、本技術を当社AI技術ブランド「Maisart®※1」に加え、不審者や迷子の発見・追跡などのセキュリティー分野や動線分析などによる顧客サービス分野における映像解析システムの実用化に向けた開発を進め、早期の製品化を目指します※2

複数台のカメラ撮像画像から高速・高精度に同一人物を特定・追跡・検索

複数台のカメラ撮像画像から高速・高精度に同一人物を特定・追跡・検索

ニュースリリース

技術ポイント

独自のデータ圧縮技術により、同一人物の特定時間を10分の1に短縮

人物を特定するためには、まず人物画像から特定の有用な特徴をAIで抽出します。次に異なるエリアで撮影された人物画像間の特徴を比較し、類似度を計算することで同一人物か否かを判定します。一般的にAIは1画像から数千の特徴を抽出するため、対象となる人数の増加に伴い、類似度の計算処理が膨大になるという課題がありました。

本開発では、AIが抽出した複数の特徴の相関を分析し、人物の特定に重要な見た目の特徴を保持したまま不要な特徴を削除することで、データサイズを最大10分の1に圧縮することに成功しました。これにより、同一人物の特定時間をデータサイズを圧縮するAIを用いない場合と比較して10分の1に短縮しました。

人物の向きや姿勢の変化に影響を受けにくい高精度な人物追跡・検索を実現

特徴のデータサイズを圧縮したことで、向きや姿勢が異なる複数の人物画像の中から、高速かつ高精度な同一人物の追跡・検索を実現しました。

その結果、同一人物に対して、1枚の画像のみから特徴を抽出したときに比べ、同一人物の追跡・検索の精度が約10%向上することを確認しました。

従来と今回開発した技術の比較

従来と今回開発した技術の比較

※1Mitsubishi Electric's AI creates the State-of-the-ART in technologyの略。
全ての機器をより賢くすることを目指した当社のAI技術ブランド。

※2実用化に際しては、プライバシーへの配慮や関連する法令を遵守し、対応して参ります。

SDGsへの取組

  • 産業と技術革新の基盤をつくろう

SDGsとは?