推論過程のブラックボックスを解消し、
人が理解しやすいAIの実現に貢献します。

MaisartMaisart関連技術「Maisart」

概要

ディープラーニングをはじめとするAI技術の多くは、その推論過程がブラックボックスになっており、制御の根拠を明示することが困難なため、信頼性や説明性が求められる制御分野にAIを適用する上での大きな課題となっています。

三菱電機では、国立研究開発法人理化学研究所と共同で、AIが制御を行った際に、その制御の根拠や将来の状態を明示する「制御の根拠を明示できるAI技術」を開発しました。

本技術により、AIによる制御の根拠や将来の状態を明示することで、ブラックボックスを解消し、人が理解しやすいAIの実現に貢献します。今後は当社AI技術ブランド「Maisart®(マイサート)※1」に加え、実用化に向けた開発を進めます。

従来技術と本開発技術との比較従来技術と本開発技術との比較

ニュースリリース

技術ポイント

AIの段階的な利用により、制御の根拠を明示可能

従来はAIが過去の学習結果と現在のセンサー値をもとに根拠を明示せずに機器を制御するため、導入がためらわれるケースがありました。本技術により、プラントや工場などの社会インフラ、空調機などは制御の根拠が明示できることで納得性を高め、精度を可視化し、機器の動作を確認できるようになるため導入のハードルが下がります。また、設備の管理者が空調のクレーム対応などでユーザーに制御の根拠を明示しなければならない場合などでも活用できます。

本技術は、AIが機器の設置環境の特性を推定することで、センサーで計測できていないシミュレーター上の物理パラメーターを特定し数値化します。シミュレーターを利用することで、理論的に意味のある物理量を段階的に計算し、この物理量を見ることで人が機器の周辺で起きている現象を理解することが可能になります。さらに制御対象機器のセンサー値など過去の実働データをAIが学習し、将来のセンサー値とともにセンサーでは計測できない将来の物理量を予測できるようになります。

これにより、将来の機器の設置環境の状態変化をより正確にシミュレーション可能となり、スケジューラーが最適な制御を計画できます。制御計画とそれによる将来の状態を可視化でき、AIのブラックボックスを解消することで、ユーザーが制御の根拠を理解できます。

例えば、まず空調機ではセンサーが計測していない設置環境の特性を示す部屋の大きさや断熱性などの物理パラメーターをAIが数値化します。次に過去のセンサー値などの実働データ(部屋の在籍人数など)を学習し、将来の各時刻に出入りする人数や、センサーでは計測できていない将来の室内熱量などの物理量を予測します。

その結果、空調機が動作した場合に、設置環境の状態を表す室温がどのように変化するのかシミュレーションでき、そのシミュレーション結果を用いてスケジューラーが最適な制御計画(機器の稼働率など)を導きます。ユーザーは、将来の出入りする人数などのシミュレーション結果と制御計画を見ることで、制御の根拠と制御計画の妥当性を理解できます。

空調機への適用した場合の制御の根拠や制御計画の明示イメージ空調機への適用した場合の制御の根拠や制御計画の明示イメージ

機器の不調発生時に、AIが不調の根拠を明示可能

AIにより今までセンサーで計測できなかった物理パラメーターや将来の物理量を予測できるようになったため、「予測したセンサー値や物理量、設置環境の状態、制御計画」と「実測したセンサー値や推測される物理量、設置環境の状態、実際に運転した制御量」を比較することを可能としました。

機器が正常に稼働しなかった場合、予測と実際のセンサー値の乖離を調べ、不調※2の根拠となっているセンサー箇所や物理量を特定し、明示できるようになりました。また、予定どおり制御しているにも関わらず、計画どおりの状態にならかった場合は機器の異常や設置環境の変化が発生している可能性があり、ユーザーがこれらを認識でき、早い段階でのメンテナンスや素早い復旧が可能です。

※1Mitsubishi Electric's AI creates the State-of-the-ART in technologyの略。
全ての機器をより賢くすることを目指した当社のAI技術ブランド。

※2故障や設置環境の変化により、機器が本来の機能を実現できなかった状況。

SDGsへの取組

  • 産業と技術革新の基盤をつくろう

SDGsとは?